創作童話

2023年9月 6日 (水)

創作童話「うさぎのしまこ」

 大好評、創作童話の第7弾です。

 昔々、あるところに子うさぎの男の子、しま子くんが住んでいました。
Shimataro01
 男の子なのにしま子ですから、これは蘇我馬子や小野妹子と同じ頃の時代です。
 しま子くんはまだ生後半年くらいです。好奇心旺盛で、特に海に関心がありました。

 いつものように海を見ていると、ワニ(サメ)がやってきました。
Shimataro02
 「やぁ、しま子くん。また海を見ているね」
 「あ、ワニさん。うん。海の果てはどうなっているんだろうと思って」
 「じゃぁ、これから海の果てに行ってみるかい? ぼくが連れて行ってあげるよ」
 「えーっ。うれしいな。お願いします」

 ということで、しま子くんはワニの背中に乗って海の果てに行きました。
 そこには海の神の宮殿があり、しま子くんは海の神の娘と仲良しになりました。
Shimataro03
 「お姫様。ぼくびっくりしたんだけど、海の神の娘はうさぎなの?」
 「いえ、そういうわけじゃないの。私は、ここに神様が来れば神様の姿に、人間が来れば人間の姿に、うさぎが来ればうさぎの姿に変身することにしているの。その方がお互いに気楽かと思って。おもてなしよ」

 その日から、しま子は手厚い接待を受けました。
 金魚の日本舞踊。
Shimataro04

 カエルたちによる「かえるのうた」の輪唱。
Shimataro05

 アヒルたちによるラインダンス。
Shimataro06

 アップです。
Shimataro07

 しま子くんは楽しい毎日を過ごしましたが、ある時ふと、気づきました。
 「家族が心配している……」
 そこで、海の神の娘に、家に帰りたいと告げました。
 海の神の娘は、こう言いました。
 「分かりました。では、この玉手箱を持って行きなさい。蓋は決して開けてはいけないよ」
 「はい分かりま……。でかっ!!」
Shimataro08
 「お姫様。これ玉手箱というよりつづらですよね。大きいのと小さいのとどちらかを選びなさい、なんてことはないのですか?」
 「いや、それじゃ、また別の話になっちゃうから」
 「分かりました。ではこれで失礼します」
 「じゃあね。またワニに乗せていって貰いなさい」

 しま子は無事に故郷に帰ってきましたが、なんか様子が違います。
 見慣れた家々はすっかりなくなってしまい、懐かしいわが家もあとかたもありません。
 そこにたまたま通りかかったうさぎに聞いてみました。
 「ぼくの名前はしま子といいます。僕の家族を知りませんか?」
 「しま子? 君、男の子でしょ。しま子なの?」
 「え? おかしい? 蘇我馬子や小野妹子っていますよね」
 「それは随分大昔の人ね。今、子のつく名前は女の人よ。今の帝のおおきさき様は彰子様と定子様よ」
 「え? おおきさき様が2人もいらっしゃるの?」
 「そうよ。今の帝はね」

 しま子は途方に暮れました。
 「お父さん、お母さん……」
 どうしていいか分からなくなったしま子は、禁じられた玉手箱の蓋を開けてしまいました。
 すると玉手箱からは白い煙が海の沖の方にたなびいて行きました。
Shimataro09
 *あ、白い紙のようなのは煙です。しょぼいですけど。

 しま子の毛はあっという間に真っ白になってしまいました。
Shimataro10
 「うわぁ。お爺さんになっちゃった」

 そこに、「しま子! しま子!」という声が聞こえてきました。
 目の前には懐かしいお母さんがいました。
Shimataro11
 「しま子、なにか夢を見ていたの?」
 「あっ! 今の夢だったのか。よかった」

 しま子はほっとしましたが、自分の体を見て、叫びました。
 「わああ! 白いまんまだ。お爺さんになっちゃった。まだ生後半年という若いみやこで」
 「みやこ? それ、みそらでしょ。若いみそら。みやことみそらと間違えちゃダメよ。あなた、ずっと冬眠していたのよ。その白いのは冬毛。暖かくなったらまた元のような色になるわ。安心して」

 というお話しでした。
 創作とは言い難いような。(^_^;

 ちなみに、「うさぎのしま子」を省略して「うさのしま子」。それが音韻変化を起こして「うらのしま子」。「子」が女性に使われる時代になったので、「うらのしま太郎」。さらにそれが約まって「うらしま太郎」になったとなむ語り伝えたるとや。
 知らんけど。

 余談ですが、さきほどのアヒルのラインダンス。大将がいれば真田日本一の兵になります。
Shimataro12

2023年8月16日 (水)

創作童話「隠れ里の決闘」

 久しぶりの創作童話です。第6弾になります。

 うさぎの生き肝を食べると空を飛べるようになる、などというデマが広まり、命を狙われることを恐れたうさぎたちは、人里離れた隠れ里に暮らすようになりました。
 腕に自慢の5人のねこたちが用心棒を引き受けてくれました。
 名付けて「神セブン」。
Kakurezato08
 5人しかいないのですが、あと2人加わることを願って「セブン」です。
 「七人の侍」に憧れているとのことです。
 詳しくはこちらをご覧ください。

 たにぐくのさ渡る極み、諸国をめぐっているカエルのけろきちくんは、3ヶ月ぶりにうさぎの隠れ里に行ってみることにしました。
 連絡したら、うさぎのぴょん太くんが迎えに来てくれていました。
Kakurezato03
 「やぁ、ぴょん太くん、久し振り。元気?
 神セブンはちゃんと7人になったのかな?」

 「久し振りだね。けろきちくん。
 用心棒の件、ちょっと厄介なことになってしまって。
 もの凄く柄の悪いのが3人やってきて、雇ってくれって言うんだよ。
 こんな連中だよ。」
Kakurezato09
 「わ! ほんとにガラ悪いね。
 ま、加わってくれたら、用心棒は8人になるから、神セブンじゃなくて里見八犬士になるね。でも、ねこだからなぁ。ねこが八犬士はおかしいよね。」
 「いや、そういう問題じゃなくて。あのガラの悪さ。いくら強そうでも、ああいう連中のお世話にはなりたくなくて。
 それで、知り合いの親分に相談に行ったの。鰹一家の親分だよ。この親分もガラ悪いんだけど。(^_^)」
Nekooyabun01
 「相談したら、親分も、やめた方が良いって。
 ちょうど親分のところにいる浪人さんに頼んで、その3人を追い払ってもらうことになったんだ。このご浪人さんだよ。」
Nekoronin

 「けろきちくん、ちょうどいいところに来たよ。これから3人組とご浪人さんとが戦うんだ。」
 「ひえー! ご浪人さんも強そうだけれど、3対1だからなぁ。大丈夫かなぁ。」
Kakurezato10
 「おい。おめえ、いい度胸してるじゃねえか。たった1人で、俺たち3人に勝てると思ってるのか?」
 「……」
 「黙ってねえで、何とか言え。」
 「……」
 「やっちまえ!」

 浪人が少し体を動かしたと思ったら、3人組はその場に倒れ伏しました。
Kakurezato11

 「つ、強い!」
 「ご浪人様、ありがとうございます。3人とも死んじゃったんですか?」
 「いや、峰打ちだ。そのうち息を吹き返すだろう。俺もムダな殺生はしたくない。
 それに、あいつらがこの噂を広げれば、もう変なヤツらがこの里に来ることもねえだろう。」
 「ご浪人様、ありがとうございます。どうぞこの里の用心棒になってくださいまし。
 大したお礼はできませんが、ごはんは3食食べ放題。3食とも魚は付けます。そして、チュールも食べ放題でいかがでしょうか」
 「3食食べ放題はありがたい。ではしばらくお世話になろう。ただ、チュールはいらねぇ。俺がチュールを食っていたらサマにならねぇ。」
 「わかりました。ありがとうございます。
 遅くなりましたが、ご浪人様のお名前は?」

 浪人はあたりを見回すと、棗(なつめ)の木に目を留める。
 「俺の名は、棗三十郎。とでも呼んでくれ。」

 という次第で、うさぎの隠れ里は強力な用心棒を加えることができたのでした。

2023年5月31日 (水)

創作童話「うさぎとかえる」

 好評の(?)創作童話の第5弾です。

 うさぎの学校ではいろいろなことを学びます。
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 中でも、「いなばのしろうさぎ」と「うさぎとかめ」は、学習指導要領が変わっても、変わらずに教えられています。
 「いなばのしろうさぎ」からは、人をだましてはいけないということを、「うさぎとかめ」からは、どんな状況でも油断してはいけないということを学びます。
 あとは、うさぎの生き肝を食べても何の効能もないということも学びます。デマと戦うためです。

 「うさぎとかめ」の話を学んだぴょん太は、うさぎがかめに負けたことが残念で堪りません。大昔のことなのに、この話は多くの人に知られています。何とかして名誉回復したいと思いました。
 でも、今さらかめと再戦しても仕方ありません。足の速さは比べものになりませんので、勝って当たり前です。
 そこで、仲良しのかえるのけろきちくんと競走しようと思いました。
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 「ねえねえ、けろきちくん、ぼくとかけっこしない?」
 「いいね。でも、うさぎとかえるとでは勝負にならないよ。そこで、こういうのはどうだい。今年のNHK大河にちなんで、浜松から豊橋まで競走しない? 途中に浜名湖があるから、ぼくは泳ぎ、きみは浜名湖の北の岸を走る。それでハンディになるんじゃないかな」
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 「けろきちくん、相変わらず日本地理に詳しいねぇ。これは、ほら、あの、……」
 「たにぐくのさ渡る極み」(^_^)
 「あ、それそれ。じゃ、1週間後に」

 その夜、ぴょん太くんは夢を見ました。
 夢に、黒、白、灰色のうさぎが現れました。
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 黒うさぎがこう言いました。
 「この勝負は絶対に勝たないとね。どんな手を使っても。どうだい、知り合いのワニくんに頼んで、背中に乗せて貰うとか、空飛ぶぐんまちゃんに頼んで空を飛ぶか、舞ちゃんに頼んで空飛ぶクルマに乗せて貰うとか」
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Usakae04
Usakae05
 すると、白うさぎがこう言いました。
 「そんなのダメだよ。卑怯な手を使って勝っても意味ないよ。正々堂々と戦わないと」
 「何を言ってるんだい。かめに負けた雪辱戦なんだから、絶対に勝たなくちゃ。バレなきゃいいんだよ」
 「誰も見ていなくたって、お天道様は知っているし、自分だって知っている。ズルして勝ったら、一生後悔するよ」
 「灰色うさぎはどう思う?」
 「それぞれに正しい」

 夢から覚めたぴょん太くんは、正々堂々と競走することにしました。友達のけろきちくんをだます様なことはしたくなかったのです。

 当日、ぴょん太くんは全力で走りました。湖を回り切ったあたりで疲れ果てました。
 ちょっと休憩しようと横になったら、あっという間にそのまま寝てしまいました。
Usakae06
 どれくらい寝たでしょうか。はっと目が覚めると、日は西に傾いています。
 「しまった!」
 大急ぎで立ち上がると、全力で走り出しましたが、けろきちくんは既にゴールしていました。
 何のことはない、「うさぎとかめ」の再現です。
 ぴょん太くんは家に帰ると、泣きながら寝てしまいました。
 その夢にまた3羽のうさぎが現れました。
Usakae02
 黒うさぎは、「だから言っただろ。言われたとおりにすれば良かったんだ」と言いました。
 白うさぎは、「ズルをしなかったのは偉いけど、寝ちゃったんじゃ何にもならないよ」と言いました。
 灰色うさぎは、「正々堂々と戦って、立派だったよ。途中で寝てしまったのは、全力で走って疲れたせいだよね。油断したわけじゃないんだから、仕方ないよ。けろきちくんともずっと仲良しでいられるし、良かったんじゃない?」

 一方、けろきちくんは、ぴょん太くんとは別の道を通ったために、ぴょん太くんが途中で寝てしまったことは知りませんでした。
 もし、同じ道を通っていたら、道で寝ているぴょん太くんに気づいたことでしょう。
 そうしたら、けろきちくんの頭の中にも黒いかえると白いかえるが出てきて、
 「お! チャンスチャンス。ぴょん太くんを起こさないように、そうっと脇を通ろう」
 「ダメだよ。起こしてあげないと」
などと、言い争いをしたことでしょう。別の道を通って幸いなことでした。

2023年5月13日 (土)

創作童話「うさぎの隠れ里」

 好評の創作童話の第4弾です。

 かえるのけろきちくんが山道を歩いていると、向こうに何か赤いものが見えます。
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 近づいて見たら、束ねたにんじんでした。
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 「はて、お百姓さんが収穫したにんじんを運んでいて落としたんだろうか。落とし主が見つかると良いけど」

 そこへ、向こうから慌てたうさぎがやってきました。
Kakurezato03
 「こんにちは。この辺ににんじんが落ちていなかった?」
 「あ、きみが落としたの? ここに落ちていたのをちょうど拾ったとこだよ」
 「うわぁ、ありがとう。助かるよ。あ、ぼくうさぎのぴょん太っていうの」
 「ぼくは、かえるのけろきちだよ。どうぞよろしく」
 「ぼくたちの村はすぐそこなんだ。ちょっと寄っていかない? お礼にご馳走するよ」
 「お礼だなんて、それには及ばないけど、ちょっとくたびれたので、休ませてもらおうか」

 「ここだよ」
 「へー。ぼくは本当にあちこちの土地に行ってきたけど、ここは知らなかったなぁ」
 「けろきちくんは、あちこちの土地に詳しいの?」
 「うん。たにぐくのさ渡る極み、だからね。それにしても、ここは分かりにくいところにあるね」
 「そうなんだよ。うさぎの生き肝を食べると空を飛べるなんていうデマが流れたんで、ぼくたち、狙われかねないんだ」
 「空を飛べる? ぼくが聞いたのは、うさぎの生き肝を食べると、陸上でも水中でも暮らせるっていうことだったけど」
 「最初はそういうデマだったんだけど、それがエスカレートしちゃって。困ったことだよ」

 「すてきな村だね。あ、あそこでにんじんを育てているんだね」
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 「そう。人間の畑から盗んで捕まると、大変だから。ペンフレンドのピー太くんのお父さんはパイにされちゃったんだって。それで、自分たちで作ることにしたんだ」

 「あっちには子供たちがたくさんいるね」
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 「うん。あそこは学校だよ。20人学級で、担任と副担任がいるんだ。みんな真剣に授業を聴いているでしょ。真面目な子供たちだよ」

 「あっちにはもっと小さい子達」
Kakurezato06
Kakurezato07
 「ここは保育園だよ。オレンジ組とレモン組。どちらも、子供たち10人につき、保育士さんは3人付くんだ。手厚いでしょ」

 「ほんと、すてきな村だねぇ。ヘンなデマに惑わされた連中が来ないと良いね」
 「一応、ガードマンもいるよ。オーイ」
Kakurezato08
 「この村の平和は、われわれ神セブンが引き受けた」「おー!」

 「わっ! びっくりした。ガードマンの神セブンさん?」
 「そう。行き倒れていたのを助けたら、この村のガードマンを引き受けてくれたんだ」

 「われわれは勇者たち神セブンです」
 「ふーん。そうか。うさぎさん達と違って、ねこさんは強力な爪や歯があるものね」
 「それだけじゃないさ。象をも倒すねこパンチが第1の武器さ」
 「いや、象は倒せないでしょ」
 「う~ん、当たり所が良ければ。……いや、子象ならば。……えと、生まれ落ちたばかりで、足許もおぼつかない赤ちゃん象ならば」
 「赤ちゃん象にねこパンチ浴びせちゃダメでしょ? あと、神セブンって言ったけど、5人しかいないよね」
 「今はね。あと2人の勇者は募集中」
 「なら、神ファイブって言わなくちゃ」
 「いやいやいや。我々は『七人の侍』に憧れておるわけで、三船敏郎先生、志村喬先生他の先生方を見習いたく、ここは何としてもあと2人集めて7人になる所存でござる」
 「急に侍言葉になっちゃったな。して、報酬は?」
 「この村にある食べ物、なんでも。そして、チュール1日1本でござる」

 というような隠れ里のうさぎ村。
 この先、続きがあるかないか、それは分かりません。

2023年4月22日 (土)

創作童話「空を飛んだ金魚」2大スタァ共演

 ご好評につき、創作童話の第3弾です。

 近畿地方の某N県YK市にある金魚の養殖池にカエルのけろきちが遊びに来ていました。
 けろきちが水面を眺めていると、懐かしい声が聞こえてきました。
 「お~い、けろきちくん、久し振り」
 「あ、きみは金太郎くんだね。久し振り。きみ、用水路にいたんじゃなかったっけ?」
Tobegunmac01
 「そうなんだ。用水路にいたんだけど、ひょんなことで、大冒険してきたんだよ」
 「大冒険?」
 「そう。大冒険。用水路を泳いでいたら、鷲に捕まえられて、どこか遠くの海岸に連れて行かれてしまったんだ」
 「えー! それはエライことだったね」
 「そう。その海岸で鷲に食べられそうになった時に、ねこさんに助けられたんだ」
 「ねこ? どんなねこ?」
 「兜をかぶって、刀を持っていたよ。こういうの」
Tobegunmac02
 「わ! それはひこにゃんだ。有名人だよ。金太郎くんが連れて行かれたのは、海じゃなくて湖だよ」
 「そうなの? けろきちくん、ほんと物知りだね」
 「そうさ。たにぐくのさ渡る極みだからね」

 「それでね、ぼくの話を聞いて、送ってくれることになって、お友達に頼んでくれたんだよ」
 「それはよかったね。それで、そのお友達というのは?」
 「ぐんまちゃんていう人。遠い東の秘境に住んでいるんだって」
 「わ! ぐんまちゃんも有名人だよ」
 「けろきちくん、本当に何でも知ってるね。その遠い秘境にも行ったことがあるの?」
 「残念ながら、まだ行ったことはないんだ。北隣の県には行ったんだけど、県境にこんな看板が出ていて、諦めたんだ」
Gunmakiken

 「うわ! 危なそう」
 「でしょ。怖いよね」

 「ひこにゃんとぐんまちゃんは親友なんだそうで、ぐんまちゃん、とんできてくれたんだよ」
 「へー。ぐんまちゃん、親切だね。とんできてくれるなんて」
 「そう。空を飛んで」
 「なんだって!? ぐんまちゃんが空を飛べるなんて、聞いたことないよ」
 「そうなの? でも、本当に空を飛んでぼくを連れ帰ってくれたんだよ。こんな風に」
Tobegunmac03
Tobegunmac04

 「うわぁ。びっくりだ」
 「マントがあれば飛べるんだって。Gのマークのマントだよ」
Tobegunmac05

 「すごいなぁ。でも、無事に帰ってくることができて、本当に良かったね」

 以上です。ちょっと長くなりました。

2023年4月16日 (日)

創作童話「金魚とカエル」

 また劇団員が増えましたので、創作童話の第2弾を。

 近畿地方のN県YK市を流れる用水路を5匹の金魚が泳いでいました。
Kinkaeru01

 そこにカエルがやってきました。
Kinkaeru02
 「金魚さん達、楽しそうに泳いでいるね」
 「あ、こんにちは。僕たち、養殖池で暮らしていたんだ。だけど、大雨が降って池の水があふれた時に、池を逃げ出して用水路で暮らし始めたんだよ」
 「へー、そうか。用水路の方がいいかい?」
 「う~ん、養殖池にいた時は、決まった時間にゴハンをもらえてたんだけど、今は自分でゴハンを探さなくちゃいけなくて、それは大変。でも、金魚はあまりゴハンを食べなくても元気に暮らせるし、自由が一番さ。カエルさんは?」
 「ぼくたちは、りょーせいるいって言うらしいんだけど、陸でも水の中でも暮らせるんで、あちこち行けるよ。万葉集には「たにぐくのさ渡る極み」ってあるんだって。たにぐくってヒキガエルのことなんだ」
 「うらやましいなぁ。ぼくも陸に上がれたらなぁ」
 「うさぎの生き肝を食べると、金魚も陸で暮らせるって聞いたことがあるよ」
 「えっ! ほんと? うさぎ、うさぎ」

 「こらっ! いい加減なことを言うんじゃない!!」
 「あっ! お父さん」
Kinkaeru03

 「わっ! でかっ!!」
Kinkaeru04
 「そんな密集隊形を作らなくても大丈夫だよ。私が怒ったのは、このけろきちに対してだから」
 「あ、そうでしたか。きみ、けろきちっていうんだ。ぼく、金太郎。あ、それで、カエルのお父さん、いい加減なことって?」
 「うさぎの生き肝のことさ。それはデマだよ。この間はワニがだまされていたなぁ」
Waniusagi01
 「違うの?」
 「違う。全くのデマさ。でも、こんな風に、デマでも繰り返し言われると、ChatDPTがだまされて、ウソを広げることにもなりかねないんだ。それで、けろきちを怒ったのさ」
 「そうなんだ。大事なことだね」
 「そう。今までもネット上の情報は玉石混淆だったのに、無批判に信じてしまう人もいたんだ。今度は、ChatGPTがこう言っているからって、それが葵の御紋の様になってしまっては危ないね」
 「よくわかりました。ありがとうございました。勉強になりました。」
 「じゃ、またどこかで」

 以上です。童話かどうか分からないものになりました。(^_^;

2023年4月 6日 (木)

創作童話「ワニとうさぎ」

 ブルーナさんのうさぎを何体かお迎えしました。
 それを見ているうちに物語が降ってきました。
 でも一応、構想3日です。

 昔、北の海にワニが住んでいました。[見た目はサメですけど、昔、この物語の地ではワニと呼んでいましたので、ワニで行きます。]
Waniusagi01
 ワニは毎日小魚などを食べていましたが、それにも飽きてきました。
 水の中から陸地を見ると、陸にはおいしそうな果物が実っています。
 「おいしそうだなぁ。食べたいなぁ。でも、ワニは陸では息ができないからなぁ。」
 そんなことを考えているときに、うさぎの生き肝を食べるとワニも陸で息ができるという噂を耳にしました。
 「いいことを聞いた。うさぎ♪ うさぎ♪」

 近くの島に行くと茶色の子うさぎがいました。
Waniusagi02
 「ねえ、ねえ。海の中に行ってみない? ご馳走するよ」
 「えー? ほんとかなぁ。隣の島のうさぎがワニにだまされて食べられたって聞いたよ」
 「なんだって!? それは話が逆だよ。うさぎがワニをだましたんだよ。それにワニはうさぎを食べたりしていないよ。毛皮を剥いだだけだよ」
 「そうなの? ま、ワニには近づかない方がいいってお父さんが言ってたから、さよなら。他のみんなにもワニに気を付けるように言っておくね」

 ワニはこの島でうさぎを捕まえることは諦め、別の島に行きました。
 その島には白い子うさぎがいました。
Waniusagi03
 「ねえ、ねえ。海の中に行ってみない? ご馳走するよ」
 「わー、すてき。でもお母さんに聞いてみないと」

 「あ、お母さん!」
Waniusagi04
 「わ! でかい!! 肝っ玉母さんか」
 「なんだい? なんか悪そうなワニだねぇ。近づくんじゃないよ。他のみんなにもワニに気を付けるように言っておくから」

 「ちぇっ! しょうがないなぁ。また別の島に行こう。」

 次の島には灰色の子うさぎがいました。
Waniusagi05
 「ねえ、ねえ。海の中に行ってみない? ご馳走するよ」
 「わーい。連れてって」
 「こっちにおいで」
 ぱくっ!
Waniusagi06
 ワニは灰色の子うさぎの耳に噛みつきました。
 でも、次の瞬間、ワニは口の中に電気が流れたような気がして、口が痺れました。

 灰色のうさぎは金色に光り輝いていました。
Waniusagi07

 ワニはびっくりしてうさぎを離しました。
Waniusagi08
 「私はうさぎ神だ。お前はうさぎたちに何をしようとしているのか?」
 「神様でしたか。すみません。ごめんなさい。私は陸で暮らしたかったんです。それにはうさぎの生き肝を食べる必要があると聞きましたので……」
 「そういうことか。しかし、その情報は間違っている。うさぎの生き肝を食べたとて、ワニが陸で暮らせるようにはならないよ」
 「えー、そうだったんですか。私はだまされていたのか」
 「いいかげんな情報を信じてはいけないよ。ちゃんと考え、確かめないと」

 がっかりしたワニは、うさぎ神に謝ると、すごすごと海に帰って行きました。
Waniusagi09

 その時に、さめざめと泣きながら泳いだので、こののち、ワニはサメと呼ばれるようになったとなむ、語り伝えたるとや。

 登場したうさぎの皆さんです。
Waniusagi10
 このうち、金のうさぎと大きなうさぎは以前ご披露しました。他のうさぎは、今回お迎えした新しい劇団員です。
 以後お見知りおきのほど。

 今回のお話しは完全な創作です。
 ストーリーをお使いくださりたい方は、どうぞご遠慮なく。
 歌舞伎、宝塚、新派、劇団四季、木馬座、NHK、いずれも大歓迎です。

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