日本書紀・風土記

2024年9月 2日 (月)

飯泉健司氏『播磨国風土記を読み解く』(武蔵野書院)

 少し前になりますが、8月7日に飯泉健司氏の『播磨国風土記を読み解く-住まうための文学』(武蔵野書院)が刊行されました。
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 播磨国風土記の詳細な注釈書です。
 内容はそれぞれの郡里毎に、訓読文、本文(原文)、訳文、解説から成ります。

 それぞれの郡には以下のようなキャッチコピーがついています。
 ・賀古郡-都鄙を循環する文学
 ・印南郡-朝廷と播磨の中間で
 ・飾磨郡-暴れ川が流れる平野の開拓
 ・揖保郡-豊かな土地の切磋琢磨
 ・讃容郡-誇り高き山里
 ・宍禾郡-国を作る
 ・神前郡-川沿いの奪い合い
 ・託賀郡-大河と国境
 ・賀毛郡-国造と開拓民の文学
 ・美嚢郡-都への憧れ
 ・逸文-大国の面影

 末尾に、地理比定一覧、参考地図、索引がついています。
 参考地図は、播磨国全図の他に、各郡がそれぞれ見開きページに収められていて、とても見やすく分かりやすいです。
 全部で800ページを超える大著です。

 今後、播磨国風土記を研究する上で不可欠な著作になることと思います。

2024年5月18日 (土)

今日は古事記学会・上代文学会合同大会

 今日・明日は、岡山で古事記学会と上代文学会の合同大会が開催されています。
 対面と遠隔とのハイブリッドで、私は自宅から参加しました。
 ギリギリで、金魚部屋のノートパソコンでログインしようとしたら、Zoomをバージョンアップしろという表示が出て、これが何度繰り返しても終わりません。
 金魚は「ゴハン! ゴハン!」と暴れています。
 「さっき上げたでしょ」と言っても、「もらってない」「食べてない」と聞きません。
 金魚は無視して、居間のデスクトップパソコンでログインすることにしました。
 そんなこんなで、20分くらい遅刻してしまいました。寝坊じゃありません。

 今日は、ノートルダム清心女子大学を会場に、次のようなプログラムでした。

  大会挨拶    上代文学会代表理事       工藤 浩
  大会運営校挨拶 ノートルダム清心女子大学副学長 豊田 尚吾

  講演会テーマ「古代の吉備・播磨」
   「吉備津采女の歌
         ―柿本人麻呂と「われ」と―」  駒沢女子大学教授 三田 誠司
   「『播磨国風土記』と文化圏 
         ―山の道・海の道、そして吉備」 埼玉大学教授   飯泉 健司
   「吉備と倭王権」              岡山大学教授   今津 勝紀

  古事記学会奨励賞・上代文学会賞贈呈式

 講演会は「古代の吉備・播磨」という共通テーマが設定されていましたので、会場の岡山の地(およびお隣の播磨)に関するお話をたっぷり伺うことができました。

 古事記学会奨励賞は該当者なし、上代文学会賞は根来麻子氏『上代日本語の表記とことば』が受賞しました。
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 下の画像はZoomの画像を勝手にキャプチャーしました。
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 ほんとはイケないかもしれません。

 明日は研究発表会で、会場は岡山大学です。

2024年5月17日 (金)

秋本吉徳氏『播磨国風土記全訳注』(講談社学術文庫)

 秋本吉徳著/鉄野昌弘補『播磨国風土記全訳注』(講談社学術文庫)がこの5月14日に刊行されました。
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 2年前に亡くなられた秋本先生の遺稿に鉄野先生が加筆されて刊行された書です。

 鉄野先生の解説には以下のようにあります。
R06harimafudoki02
 秋本先生の御論文のリストは「略」として割愛しました。

 この本の内容を拝見すると、秋本先生の生前に原稿の大半は完成していたものと思われます。
 秋本先生が書かれた「まえがき」と「凡例」もあります。

 内容は、読み下し文、現代語訳、注、解説から成ります。原文はありません。
 これに、鉄野先生による補注、補説と、巻末の解説が付いています。

 秋本先生にお目に掛かったのは、昭和59年だったと思います。
 この年から清泉女子大学に非常勤講師として勤めることになり、以後、平成22年度まで、数度の中断を挟みながらお世話になりました。
 毎回ではありませんが、度々先生の研究室に「先生こんにちは」とお邪魔しました。本当にお邪魔だったかもしれませんが、楽しいひとときを過ごしました。(^_^;

 また、國學院大学の中村啓信先生の研究室で開催された古事記研究会でも秋本先生とご一緒しました。

 あれこれ思い出されます。
 先生の没後になりましたが、お原稿が公刊されたことは本当に幸いだったと思います。

2024年3月10日 (日)

瀬間正之氏『上代漢字文化の受容と変容』(花鳥社)

 3月1日に瀬間正之氏の『上代漢字文化の受容と変容』(花鳥社)が刊行されました。
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 帯にはこのようにあります。
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 文字を持たなかった古代日本人が、中国語を表記するための漢字を用いて、いかにして日本語を表記できるようにしていったのか、その過程を広い視野から多角的に論じています。

 目次は以下の通りです。

  凡例
  初出及び関連論文
  序に代えて

  第一篇 表記と神話-東アジアの文学世界-
   第一章 高句麗・百済・新羅・倭における漢字文化受容
   第二章 〈百済=倭〉漢字文化圏-音仮字表記を中心に-
   第三章 『古事記』の接続詞「尓」はどこから来たか
   第四章 上代日本敬語表記の諸相-「見」「賜」「奉仕」「仕奉」-
   第五章 文字言語から観た中央と地方-大宝令以前-
   第六章 漢字が変えた日本語-別訓流用・字注訓・字形訓の観点から-
   第七章 高句麗・百済建国神話の変容-古代日本への伝播を通して-
   第八章 歌謡の文字記載
   第九章 清明心の成立とスメラミコト-鏡と鏡銘を中心に-

  第二篇 文字表現と成立-達成された文字表現から成立論へ-
   第一章 万葉集巻十六題詞・左注の文字表現
   第二章 『論語』『千字文』の習書木簡から観た『古事記』中巻・下巻の区分
   第三章 藤原宇合の文藻-風土記への関与を中心に-
   第四章 菟道稚郎子は何故怒ったのか-応神二十八年高句麗上表文の「教」字の用法を中心に-
   第五章 欽明紀の編述
   第六章 続・欽明紀の編述
   第七章 『日本書紀』β群の編述順序-神武紀・景行紀の比較から-
   第八章 日本書紀形成論へ向けて

  後記
  総合索引/研究者・辞典類・研究機関索引

 章の下の節は省略しました。
 朝鮮半島における漢字使用も視野に収め、日本の文献も記紀、風土記、万葉集に及び、実に幅広く、圧倒される思いがします。
 じっくり拝読し、勉強いたします。

2024年3月 5日 (火)

奥田俊博氏『風土記文字表現研究』(汲古書院)

 2月29日に奥田俊博氏の『風土記文字表現研究』(汲古書院)が刊行されました。
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 目次は以下の通りです。章の下の節は省略しました。

  序 章 風土記の文字表現-書くことと読むことをめぐる序説として-
  第一章 地名説明記事と地名-『播磨国風土記』を中心に-
  第二章 『播磨国風土記』の表記-文体との関わり-
  第三章 『播磨国風土記』の漢語表現
  第四章 『常陸国風土記』の漢語表現
  第五章 『豊後国風土記』の漢語表現
  第六章 『肥前国風土記』の漢語表現
  第七章 『出雲国風土記』の漢語表現-『文選』の受容をめぐって-
  第八章 風土記の文体と表記
  第九章 風土記と公文-「史籍」としての風土記-
  終 章 公文から古典へ-「史籍」としての文字表現-

 このように、五風土記全てを対象に、そこに用いられている漢語表現を分析されています。
 じっくりと拝読したく思います。

2024年1月16日 (火)

NHK「鶴瓶の家族に乾杯」に淡路の線香

 1ヶ月ほど前、「うさぎの拾った香木」という創作童話を載せました。
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 壬申の乱の頃、淡路島に住んでいた兎が海岸に流れ着いた香木を拾って、亀と2人でそれを少し燃やしてみたところ、よい香りがしたので、香木と分かり、大海人皇子に献上するという話です。

 さて、昨日のNHK「鶴瓶の家族に乾杯」の旅の舞台は淡路島。
 淡路島ではお線香の生産が盛んだということで、それにまつわるこんな話が紹介されていました。
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Tsurube20240115b
Tsurube20240115c

 ねっ。
 NHKに1ヶ月も先行して、しかもこれを踏まえた童話まで作って、いや、立派です。
 と、自画自賛。♪

2023年12月25日 (月)

放送大学学園祭の新聞記事

 一昨日開催された放送大学群馬学習センターの学園祭の記事が、上毛新聞に載っていたといって、学生さんから切り抜きの画像が添付ファイルで送られてきました。
 昔だったら郵送ですが、今は便利になりました。
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 いくつもの展示の中で、風土記同好会が選ばれたのは幸いでした。
 メンバーには良い記念になることでしょう。

 記者のかたから、説明しているポーズをしてくださいと言われ、咄嗟にぐんまちゃんの歴史について語りました。
 テレビと違って、静止画では何を話していても支障ありません。♪
 髪、白いですねぇ。染めれば50代。

 記事の中に90歳の方のインタビューの声が載っています。この学生さんも風土記同好会のメンバーです。
 矍鑠としています。見習いたいものです。

2023年12月23日 (土)

放送大学群馬学習センターの学園祭

 放送大学には、各都道府県にそれぞれ学習センターが置かれています。
 群馬県にも、前橋市に群馬学習センターがあります。
 県立図書館の道を挟んで向かい側という好立地です。
 この学習センターで今日学園祭が開催されました。
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 今までブログに書いたことはありませんでしたが、私、平成24年(2012)4月から令和4年(2022)3月まで、この学習センターで客員教授として、ゼミを担当したり、面接授業(集中講義です)を担当してきました。
 ゼミでは、古事記、魏志倭人伝、常陸国風土記を読んできました。いずれも読了しました。
 客員教授を辞めた後も、そのゼミのメンバーが風土記同好会を設立してくれて、Zoomで出雲国風土記を読み、播磨国風土記に突入しました。
 風土記同好会も学園祭に参加しましたので、見に行ったという次第です。

 風土記研究会の展示。
Hosodai2023b
 昔、学園祭の展示というと、模造紙にマジックインキで書いたものですが、この展示は、パソコンでデータを作って、それを学習センターの大きなプリンターで印刷したのだそうです。時代は変わりました。

 一番左の展示物の上半分のアップ。
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 この同好会のメンバーの年齢は、あらかた私よりも上です。
 92歳の方と90歳の方がいます。
 皆さんとてもお元気です。

 メンバーとは、Zoomでは月に1回顔を合わせているとはいえ、直接の対面は4年ぶりではないかと思います。
 久し振りでした。
 私、この4年間で髪の白化が進みました。
 「髪を染めたら40代」と言ったのですが、全く賛同を得られませんでした。
 さすがに40代は欲張りすぎですね。50代って言えば良かったです。(^_^;

2023年12月 8日 (金)

『神典』を入手

 昭和11年に刊行された『神典』を入手しました。
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 これは箱です。

 大きさを示すために、またうちの劇団員さん達に参加してもらいました。
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 大きさ、よく分かりませんね。手で持ってみます。←初めからそうすれば良いのに。
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 手のひら大です。

 小口は三方金です。
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 この1冊の中に以下の通りの本文が収められています。
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 本当かなぁという気がしますが、本当のようです。
 用紙は比較的薄く、全部で2156ページもあります。
 本文は全て訓読文で、原文は付いていません。
 風土記は五風土記の他に逸文まで収めています。
 万葉集は必ずしも多くの歌を収めているわけではありませんが、94ページあります。

 奥付は以下の通りです。
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 この本は、以前、國學院の青木周平さんが持っていらしたのを見て、「便利そうだなぁ」と思ったのでした。
 このハンディな本に、記紀、風土記、古語拾遺、続日本紀宣命、新撰姓氏録の全文を収め、一部とはいえ律令と延喜式、万葉集を収めているのですから、もうもう。

2023年11月22日 (水)

絵はがき「大和と萬葉集」3

 見覚えのある万葉集の絵はがきを6枚入手しました。
 これは、2014年の1月に、当ブログに「絵はがき「大和と萬葉集」1」「絵はがき「大和と萬葉集」2」として載せた6枚の絵はがきと5枚が重なります。

 その時の絵はがきはこういう袋に入っていました。
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 この袋に入っていた6枚の絵はがきと比べて、「香具山:久方の天のかぐ山此の夕べ霞たなびく春立つらしも」の絵はがきがなく、
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 その代わりに次の絵はがきが入っていました。
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 この絵はがきの裏側(というか表側)は次の通りです。
Yamaman07uda02

 左下をアップにします。
Yamaman07uda03

 万葉集ではなく、書紀歌謡から採ったものですね。

 以前に載せた絵はがきの袋には「大和と萬葉集 第二輯」とありました。
 とすると、この宇陀高城の絵はがきは第一輯に入っていたものでしょうか。
 いや、万葉集ではなくて書紀歌謡から採ったものであることを考えると、第三輯以降ということになるのでしょうか。
 調べれば分かりそうな気もしますが、まあ。

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