日本書紀・風土記

2023年9月14日 (木)

『歴史人』最新号の特集は「古代史研究最前線」

 『歴史人』の2023年10月号の特集は「古代史研究最前線」です。
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 主な内容は表紙に記されているとおりです。
 富雄丸山古墳から出土した蛇行剣と盾形銅鏡の解説。そして、古代史のあれこれに関する令和の研究最前線です。

 目次は以下の通りです。
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Rekishijin202310c

 蛇行剣と盾形銅鏡に関しての詳細は何も知りませんでしたので、勉強になりました。
 あとは、まあまあでした。←ナゾの上から目線。

2023年5月22日 (月)

昭和37年の『日本神話集』(2)

 昨日の「昭和37年の『日本神話集』」の続きです。
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 昨日は前半の「やまたのおろち」を見ました。
 今日は後半の海幸山幸です。
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 タイトルは「うみひこ やまひこ」となっています。
 「うみひこ」「やまひこ」などという名は記紀には登場しません。
 「うみさちひこ やまさちひこ」が長すぎるならば、「うみさち やまさち」とすべきものと思います。

 山幸彦が海神の宮に着いて歓待される場面
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 山幸は豊玉姫と結婚はしません。

 山幸が兄の釣針のことを思い出した場面。
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 鯛の口の中から釣針が見つかった場面。
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 小さな2匹の鯛がかわいいです。胸びれが手の様に見えます。
 のどに釣針が刺さっていた鯛は巨大ですね。私が抱き枕にしている魚くらいの大きさです。
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 私、これ金魚だと思っていたのですが、違いますね。鯛ですね。
 ま、鯛でも良いです。金魚は大きくなれば鯛になります。←なりません。

 最後の部分です。
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 記紀では山幸はワニに乗って帰って行くことになっていますが、これは鮫の姿ですね。

 文章はこうあります。
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 「わにざめ」とあります。
 新しい説に従っていますね。

 記紀では、山幸は潮の干満を掌る2つの玉を海神から授かって、それを用いて兄を懲らしめるのですが、この絵本では、ここで終わりですので、2つの玉を授かることもありません。
 長さの関係でここで切ってしまったのかもしれません。
 それならば2つの玉のことは不要ですね。

 先日来、端布に関して取り上げた翳が描かれています。
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 豊玉姫が手に持っています。
 2つの画面で、違う翳を持っていますね。お姫様なので、たくさん持っているのでしょう。

 昭和37年当時の子供向けの絵本に日本神話がどのように取り上げられているのか。
 それを知る資料となりましょう。

 なかなか興味深いものが手に入りました。
 同時代資料は面白いです。

2023年5月21日 (日)

昭和37年の『日本神話集』

 昭和37年発行の講談社の絵本『日本神話集』を入手しました。
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 内容は、八岐大蛇と海幸山幸です。
 無難な選択ですね。他に稲羽の素兎あたりが子供向けの神話として取り上げられやすいようです。

 まずは八岐大蛇。
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 タイトルは「おろちたいじ」となっています。
 「おろちたいじ」といっても、上の絵にあるように、物語は高天原におけるスサノオの乱暴から始まりますので、天の岩屋戸も含みます。
 上の絵では、馬の皮を投げ込むことになっていますが、記紀で投げ込んだのは皮か馬か微妙なところと思います。
 「高天原」は「たかまのはら」と読んでいます。
 当時は「たかまがはら」が一般的と思いますので、「たかまのはら」は新しい読みですね。

 天照大御神が天の岩屋戸から姿を現した場面。
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 おろち退治。
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 おろちの姿は龍のようです。

 宝剣出現。
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 物語はここで終わりです。

 上の場面の宝剣に関する文章。
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 ここでは、おろちの尾から出た剣はスサノオが自分の宝としたと書かれています。
 天照大神に献上して三種の神器の1つになったと書いては不都合なのでしょうかね。

 後半の海幸山幸の話は後日(たぶん明日)。

2023年4月 2日 (日)

岩崎本日本書紀の左傍書の読み

 先月下旬にまほろばでとりあげた、岩崎本日本書紀で中大兄皇子が蘇我入鹿に斬り付ける場面の傍書の読みについて、蜂矢真郷先生からご教示頂きました。
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 1行目の下の方、「咄嗟」の左の傍書です。

 私はこれを「ヤアト*ヱテ」と読んだのですが、蜂矢先生は「ヤアト宣テ」と読むのではないかとお考えになり、念のため、築島裕・石塚晴通両氏『東洋文庫蔵 岩崎本 日本書紀 本文と索引』[1978.11 日本古典文学会]を見てくださったそうです。
 同書には、「BヤアCト宣テ」(BCは丸囲み)とあったとのことです。Bは「院政期点」、Cは「室町時代宝徳三年及文明六年点(ともに一條兼良点)」とのことです。

 蜂矢先生に厚く御礼申し上げます。

 私が片仮名2文字と考えた部分は漢字1文字なのでした。
 そして、私がカタカナの「ニ」かもしれないと思った部分は、ウ冠なのでした。
 いろいろとお恥ずかしく思います。

2023年3月30日 (木)

『出雲国風土記-校訂・注釈編-』(八木書店)

 八木書店に直接予約注文していた『出雲国風土記-校訂・注釈編-』(島根県古代文化センター編)が今日届きました。
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 この本は、昨年刊行された『出雲国風土記-地図・写本編-』の続編です。
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 カバーの裏に目次が載っています。
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 全712ページという大冊です。

 校訂本文の冒頭。
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 読み下し文の冒頭。
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 補注の冒頭。
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 どのページも右側のノドの部分が陰になってしまっていて、本書がいかに大冊であるかが知られます。
 今後、この本の校訂本文と読み下し文が基準になるものと思われます。
 勿論、「総論」として収録されている6氏の論考と補注も貴重です。

2023年3月23日 (木)

岩崎本日本書紀の複製(ほるぷ版)

 岩崎本日本書紀推古紀と皇極紀の複製(ほるぷ版)を買いました。
 桐箱。
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 中身。
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 奥付。
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 昭和47年、日本古典文学刊行会の刊行で、製作はほるぷ出版です。

 日本書紀の複製は、戦前の秘籍大観本を持ってはいるのですが、秘籍大観がモノクロなのに対し、ほるぷはカラーですので、意味があるかと。
 あと、お金のことを言ってはなんですけど、ネットオークションでそれぞれ1000円スタートでした。そして、私以外に誰も入札せず、そのまま落札できました。
 2巻で2000円。良い買物をしました。

 推古紀の十七条憲法の部分。
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 皇極紀の入鹿斬殺の部分。
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 その一部のアップ。
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 ヲコト点も見えます。
 1行目の下の方、「咄嗟」の右に朱で「ヤア」続けて墨で「トノタマフ」とあります。
 中大兄が入鹿に斬りつけた部分です。「ヤアトノタマフ」ですね。
 左には「ヤアト*ヱテ」とありますが、「*」が分かりません。「ニ」のように見えますが、「ヤアトニヱテ」では意味が通りません。
 「ヤアトホヱテ」なら分かりますが、「*」を「ホ」とは読めないでしょうねぇ。

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【追記】
 中大兄皇子が蘇我入鹿に斬り付ける場面の左傍書の読みについて、蜂矢真郷先生からご教示頂きました。
 「咄嗟」の左の傍書です。

 私はこれを「ヤアト*ヱテ」と読んだのですが、蜂矢先生は「ヤアト宣テ」と読むのではないかとお考えになり、念のため、築島裕・石塚晴通両氏『東洋文庫蔵 岩崎本 日本書紀 本文と索引』[1978.11 日本古典文学会]を見てくださったそうです。
 同書には、「BヤアCト宣テ」(BCは丸囲み)とあったとのことです。Bは「院政期点」、Cは「室町時代宝徳三年及文明六年点(ともに一條兼良点)」とのことです。
 蜂矢先生に厚く御礼申し上げます。
 私が片仮名2文字と考えた部分は漢字1文字なのでした。
 そして私がカタカナの「ニ」かもしれないと思った部分は、ウ冠なのでした。
 いろいろとお恥ずかしく思います。
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 裏書もきちんと複製されています。
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 推古紀の厩戸皇子誕生の部分です。

2022年10月25日 (火)

『国語と国文学』最新号は上代特集

 『国語と国文学』の令和4年11月号の特集は「上代文学研究の新潮流」です。
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 目次部分をアップにして載せます。
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 壮観ですねぇ。
 わくわくします。
 そして、このメンバーの中に、当ブログの前身というべきHPの掲示板に、当時高校生だった頃からちょくちょく書き込んでくださった方が含まれているのも嬉しいことです。
 研究者も育てる「まほろば」。←いえ、全く育ててはいません。(^_^;

 編集後記には以下のようにあります。
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 なるほど、その通りの執筆陣、タイトルと思います。
 楽しみに読ませて頂きます。

 私も地味に頑張ります。

2022年6月19日 (日)

古事記学会終了&日本武尊の絵本

 古事記学会の2日目、無事に終了しました。
 オンラインでしたが、居眠りをすることなく参加できました。
 耳で聴きつつ、他のことをしていた時間もありました。
 すみません。でも、ちゃんと聴いていました。(^_^;

 それぞれに丹念な研究で、勉強になりました。質疑応答も活溌でした。
 それを聴いて感じたのは、皆さんそれぞれに25分の発表時間には収まらないような内容だったことが伝わってきました。
 それを制限時間に収めるために言葉足らずになってしまったことが多かったように思います。
 論文にして発表されるのを期待しています。ま、論文も枚数制限があるのですけど。

 あと、共通する感想としては、レジュメを画面共有で表示してくれていましたけど、どれも字が小さくて読みにくかったです。
 古事記・風土記を初めとする原文の引用がある関係上、縦書きにすることになりますが、それがPC画面となじまないというか、レジュメ作成の宿命的な難しさと思います。これは人ごとではありません。

 さて、古事記絡みで、最近入手した絵本をご披露します。
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 講談社の『日本武尊』です。
 昭和13年11月発行。50銭。

 川上梟帥殺害。
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 焼津の火難。
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 弟橘媛入水。
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 白鳥となって飛翔。
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 漢字カタカナ交じり文は読みにくい。(^_^;

 ヤマトタケルの話は記紀で相違がありますが、この本では、『日本武尊』という標題の通り、日本書紀に準拠しています。
 兄の殺害、出雲建を騙し討ち、景行天皇の冷たさ、ミヤヅヒメとの歌のやり取り、国偲歌などはどれも書かれていません。
 古事記よりも日本書紀に拠った方が絵本としては作りやすかったことでしょう。戦前でもありますし。

 そういう観点から、こういう絵本もなかなか興味深いです。

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