『稲荷山古墳出土鉄剣金象嵌銘概報』
ネットオークションに『稲荷山古墳出土鉄剣金象嵌銘概報』が出品されていましたので、買ってしまいました。
これ、持っていたかもしれませんが、行方不明です。(^_^;
銘文発見の5ヶ月後に埼玉県が発行したものです。
目次です。
この鉄剣自体は昭和43年に出土したものでしたが、錆に覆われていて、銘文があるなどということは全く分からなかったようです。
後年、保存処理を元興寺文化財研究所に依頼したところ、X線撮影をして、表裏に銘文のあることが分かったのでした。
昭和53年9月です。
当時、私は修士課程の3年生でした。他の上代専攻の院生仲間ともども大いに興奮して、稲荷山古墳に行ってしまいました。
行っても何もないんですけどね。
でも、実地踏査は大切。
そのメンバーの1人は今、古事記学会の代表理事です。
稲荷山古墳も見ましたし、近くにあった丸墓山古墳にも登りました。この古墳は、石田三成が忍城攻めの際に本陣を置いた場所だそうです。
関ヶ原の敗戦はこの祟りでしょうか。(^_^;
当時、恩師O先生の後期のお授業もこの銘文一色になりました。
このころはまだシラバス重視がうるさくなかった時代です。
こういった未知の貴重な資料が発見されたりしたときには、それで良いのではないかと思います。
報告書に戻って、X線撮影写真が載っています。
鉄剣の表裏に銘文が刻まれていますので、両面の文字が重なっています。
一部分のアップです。
これを表裏に分けたオモテ側。
裏側。
上のように表裏が重なった文字が、良くぞこのように両面それぞれに分離できたものと思います。
奥付です。
今はもう錆が落とされて、金象嵌銘を直接見ることができますが、それはそれとして、貴重な報告書と思います。
最近のコメント