古事記

2020年4月 6日 (月)

『日本お伽噺集』と稲羽の素兎

 ネットオークションで買いました。
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 扉。
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 著者は巌谷小波、装幀は恩地孝四郎です。

 奥付。
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 発行所はアルス、「日本児童文庫」というシリーズの中の1冊です。

 目次。2ページにわたるのを上下に切り貼りしました。
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 以上の通り、全部で19話が収められています。
 有名な話が多いですね。

 上段の後ろから4行目にある「玉の井」というのは、海幸山幸です。
 山幸が海宮に到着した時のエピソードがタイトルになっているのでしょう。
 次のような挿絵があります。
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 挿絵は、泉鏡花の著書の装幀などで知られる小村雪岱です。
 「玉の井」という作品名は、海幸山幸を題材にした観世信光作の「玉の井」という謡曲がありますので、そこから取ったものと思います。

 目次下段の後ろから5行目にある「兎と鰐」は稲羽の素兎です。
 古事記の稲羽の素兎は、八十神が兎と出会う→大国主が兎と出会う→兎がいきさつを語る→大国主が兎を救う
という順序で話が展開します。
 このお伽噺集では兎が隠岐の島にいて鰐をだますところから話が始まり、以下、時系列の順序で話が進みます。
 その点が大きな相違点です。
 鰐は鰐です。
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 かなり波がありそうですね。このように波立っているところに鰐が浮いているというのはやはり違和感があります。

 大国主と兎との場面の一部。
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 続き。
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 大国主の問いかけに対して、兎の言葉は、「へいへい」で始まっています。現代から見ると違和感があります。昭和2年というと、今から93年前になりますか。
 兎のセリフに「~まして、」の多用が目立ちます。「だます」が「だまかす」ですね。
 この場面ではまだ大国主という名は出てきていません。「神様」と呼ばれています。「大国主」の名が出るのは兎が治った後です。
 兎の治療に何を使ったのかについては、蒲の穂綿ではなくて、蒲の花となっています。

 なかなかおもしろい本です。やはり同時代資料は楽しいです。

 あ、どの話もみな「めでたしめでたし」で終わっています。
 気の重い今日この頃、話がめでたく終わるのは良いです。

2020年3月18日 (水)

塩盈珠・塩乾珠は緑と赤?

 このようなものを入手しました。
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 大正11年に創刊された『少年少女美談』という雑誌(これは全く知りませんでした)の大正15年新年号の付録です。
 「大傑作双六」という、意味不明な名前が付いています。
 この双六についてはまた改めて扱うかもしれません。

 右上隅にこのような絵があります。
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 海神の宮から葦原中国に帰って行く山幸ですね。
 鰐の背中にまたがって、手に2つの玉を持っています。緑の玉と赤い玉。
 私、塩盈珠・塩乾珠は、2つとも無色透明な球体をイメージしていました。水晶玉のような感じです。
 この絵では色が付いていますね。新鮮な気がしました。
 確かに、同じ玉だとどちらがどちらだか区別がつきません。(^_^)

 稲羽の素兎は、絵本があったり、教科書に取り上げられていたりするそうですけど、海幸山幸はどうなのでしょう。
 もしもそういうものがあるとすると、そこでは2つの玉はどう描かれているのでしょうね。

 また、山幸がまたがっているのは鰐ですけれども、これはどう描かれていましょうかね。
 稲羽の素兎の場合は、近年は鮫の姿で描かれることが多いようですけど。

 あれこれ興味深いです。

2020年1月30日 (木)

「日本昔絵すごろく」

 こういうものを入手しました。
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 「日本昔絵すごろく」。いつのものか分かりません。
 文字が左横書きですし、絵柄から見ても、間違いなく戦後のものでしょう。いつごろのものでしょうね。
 編集は神社本庁、絵はひらさわていじん氏です。

 項目(というのか?)は次の通りです。

  1.天のうきはし
  2.いなばのしろうさぎ
  3.やまたのおろち
  4.くにびき
  5.すくなひこなのみこと
  6.くさなぎのつるぎ
  7.ちいさこべのすがる
  8.きんのとび
  上り.あめのいわと

 記紀神代巻の神話が多いですけど、神武紀の「きんのとび」や、雄略紀の「ちいさこべのすがる」、出雲国風土記の「くにびき」もあります。「くにびき」のみならず「すくなひこなのみこと」も採られているあたり、出雲への配慮が見られましょうか。

 天孫降臨がないのは、戦後の時代背景を意識して、あえて外したのでしょうかね。

 1.天のうきはし。
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 天浮橋は虹とみているのですね。

 2.いなばのしろうさぎ
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 うさぎは白兎として描かれています。また蒲は花粉ではなくて穂綿を念頭に置いてのものでしょう。

 3.やまたのおろち
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 頭も尾も1つのように見えますけど、場所が狭いので省略したのでしょうか。姿は蛇というより龍ですね。

 7.ちいさこべのすがる
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 右下にねこがいますね。かわいいです。絵師はねこ好きなのでしょうかね。(^_^)
 ……と考えましたが、ひょっとすると、このねこは、蚕を食べるねずみ除けなのかもしれません。←深読みが過ぎるかも。(^_^;

 ほのぼのとしたすごろくと思います。

2020年1月28日 (火)

勾玉のお守り

 今日は、元勤務先である非常勤先の授業の日でした。3限と4限。
 大雪が心配されましたが、雨に変わり、1限から通常通りの授業でした。
 火曜日は今日が今学期最後の授業になります。

 4限の上代文学演習には、上代で卒論を書いた4年生4人が聴講生として出席しています。
 その4人が出雲に卒業旅行に行ってきたということで、このようなおみやげを買ってきてくれました。
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 お守り袋には、勾玉の絵や雲の絵が描いてありますね。雲は「八雲立つ出雲」の雲なのでしょう。

 お守り袋の中には勾玉が2つ入っていました。パワーストーンですね。
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 緑の勾玉は青瑪瑙で健康、青の勾玉はソーダライトで学業だそうです。

 希望によって勾玉の種類を選べるそうです。健康と学業というのは、本当に良いものを選んでくれました。ありがたいことです。
 健康に留意して、学業成就に励む所存です。

2019年10月27日 (日)

國學院大學で国際シンポジウム

 昨日は、このようなシンポジウムを聴きに、渋谷の國學院大學に行ってきました。
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 このうちの左側、第2回目です。

国際シンポジウム「神話・伝承の教材化と実践―『子ども古事記』がひらく世界―」
【日時】令和元年10月26日(土)13時~17時30分
【場所】國學院大學 渋谷キャンパス 学術メディアセンター1階 常磐松ホール

 小学校の国語科の学習指導要領で、1年生・2年生に昔話や神話・伝承などのわが国の伝統的な言語文化に親しむことが定められているのを受けてのシンポジウムです。

 松本久史先生(國學院大學/神道学)の総合司会のもと、会が始まりました。

 学長挨拶の後、4人のパネリストによる報告がありました。

■吉永安里氏(國學院大學/国語科教育法・保育内容指導法(言葉))
 「国語科教育と神話・伝承」

■原田留美氏(東京都市大学/上代文学・児童文学)
 「教育・保育の素材のための古事記神話の再話について考える」

■シャロンドン・エミリア氏(元関西学院大学/比較文化論)
 「日本神話を伝える方法と対象を考えて」

■岩瀬由佳氏(國學院大學/説話文学)
 「現代インドにおける説話の伝承:子どもパンチャタントラの構成と内容」

 吉永先生は、小学校における実践報告、教材化にあたっての工夫や問題点、
 原田先生は、古事記の概説と、幼い子供たちが物語に親しむ意義、神話に親しむ意味、神話に親しむ上での難しさと、それに対する工夫、
 シャロンドン先生は、神話の特徴、神話を伝える方法について、
 岩瀬先生は、インドの古物語「パンチャタントラ」の子供向けリライト版から猿とワニの物語を取り上げてお話しくださいました。

 その後、成田信子先生(國學院大學/国語教育学)の司会のもと、4人のパネリストによる討議が行われました。

 充実した内容で興味深く、勉強になりました。

 それから、第2部として、小山茉美氏(声優・ナレーター)による「日本神話イザナミ語り」がありました。

 小山氏は著名な声優さんですが、古事記の専門家ではありませんので、果してどんな語りになるのかという不安がありましたが、語りが始まったら、ほんの数分で、それが大変に失礼な思いであったことが分かりました。

 すばらしかったです。

 台本もご自身で作られたそうです。古事記の内容に忠実に従いながら、適宜省略して、とてもわかりやすい内容になっていました。1時間かけて、天地開闢から国譲りまでを語られました。稲羽の素兎やスクナビコナのセリフはおなじみのアニメ声で語られ、楽しかったです。

 國學院大學の学生さんの雅楽サークルによる演奏もありました。

 とても充実した4時間半でした。行って良かったです。

 昨日の渋谷駅付近はハロウィーンの混乱が予想されましたので、帰りは渋谷駅ではなく、恵比寿駅に出ました。平穏に帰れました。(^_^)

2019年8月 5日 (月)

「日本誕生」の台本

 「日本誕生」という東宝映画があります。
 昭和34年の作品で、東宝の制作本数1000本の記念作品です。
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 メインストーリーは倭建命ですが、途中、天石屋戸と八俣大蛇の話が挿入されています。

 その台本を入手しました。
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 ただしこれ、横長ですし、裏表紙に「非売品」という記載もありますので、撮影に使われた台本そのものではないと思われます。
 横長では役者さんが手に持つのも不便でしょう。

 キャストのページの冒頭。
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 三船敏郎がスサノヲとヤマトタケルの二役です。スサノヲと小碓命の両方に名前が載っているのは当然として、日本武尊のところにも載せているのは余計と思います。(^_^;

 焼津の火難の部分。
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 この映画では、ヤマトタケルが焼き殺されそうになったとき、その傍らに弟橘姫がいたことになっています。古事記における「さねさし」の歌を思えば、この設定はアリかと思います。

2019年5月25日 (土)

九州女子大学・九州共立大学で上代文学会

 今日・明日は、2019年度の上代文学会の大会です。
 
 鹿児島本線の折尾駅で降りて会場校に向かって歩いて行くと、会場校の手前に地下歩道がありました。歩道には壁画が。
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 会場校の学生さん達の作品でした。
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 こういう地域貢献は良いことと思います。

 会場校の門。大変に良いお天気でした。
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 会場のある建物。
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 学会挨拶。代表理事の品田悦一先生。
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 会場校挨拶。教育機構副長の中島久代先生。
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 新元号「令和」がらみで、大宰府のことや、大学の校章が梅の花であることなどにも触れられました。

 工藤浩先生の講演。演題は「大嘗祭に関する二、三の問題」。
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 佐藤隆先生の講演。演題は「大伴家持とその意匠ー「白」への関心ー」。
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 このあと懇親会が開かれ、第1日目は無事に終了しました。

2018年12月 4日 (火)

「出雲」ナンバープレート

 もう10日以上前の話題になってしまいますが、出雲地域では、地方版図柄入りナンバープレートのデザインを公募していたようです。

 11月22日(木)に出雲ナンバー推進協議会が開催され、図柄が決定して、国土交通省に提案する運びとなったとのことです。今後、来年度に国による審査が行われ、正式決定すれば、再来年度からナンバープレートの交付開始だそうです。

 最優秀賞は以下の図案です。出雲市のHPに載っています。
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 八岐大蛇ですね。頭がちゃんと8つあります。カラフルできれいです。こういうナンバープレートを付けた車がたくさん走っていたら、壮観でしょうね。でも、運転する人が凶暴化しそうな気がしてちょっと不安。(^_^;

 カラーは寄附金ありのみで、寄附金なしはモノトーンのようです。
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 優秀賞は以下の通りです。
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 右側の図案にはうさぎが登場していて、好感が持てます。稲羽の素兎ですね。左側の図案は出雲大社のしめ縄と八雲ですね。

2018年11月 2日 (金)

映画「日本誕生」のパンフレット

 昭和34年に制作された「日本誕生」という映画があります。主人公はヤマトタケル(三船敏郎)で、嫗(杉村春子)の語る日本神話として、天の岩戸と八岐大蛇の話が劇中劇として描かれます。スサノヲは三船の二役です。この映画のことは当ブログでも取り上げたことがありましたが、この度、そのパンフレットを入手しました。(^_^)
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 中身は一般的な映画パンフレットと同様、配役やあらすじなどが中心ですが、以下の方々の感想文が載っていました。

 西郷信綱氏。
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 久松潜一氏。
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 和歌森太郎氏。
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 和歌森氏の「スサノオノ命のクシイナダヒメの扱いは無理でしょう。」というのが具体的に何を指すのかは分かりません。映画ではクシイナダヒメを櫛に変身させるのですが、それですかねぇ? 八岐大蛇の特撮は円谷英二です(のちのキングギドラに繋がったそうで)。クシイナダヒメを櫛に変えるのも円谷の手になるものと思います。シナリオでなく、実際に映像をご覧になれば、「無理」とは言われなかったかもしれません。いや、やはり言われたかもしれませんが。(^_^;

 こういった方々の感想文が載った映画というのはほとんど例を見ないのではないでしょうか。まさかこういったものが載っているとは思いませんでした。珍しいものが手に入りました。(^_^)

 天照大神の原節子。
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2018年10月26日 (金)

みんな若手

 今日は日帰りで群馬の家に行ってきました。目的は家賃の支払いと郵便物を取り込むことです。

 行ったついでに本を少し持ち帰りました。またリュックに入れて。

 今日持ち帰ったのは以下の面々です。
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 全部辞書類ですね。そこそこ重かったです。(^_^;

 帰りの電車の中で『古事記事典』を読みました。

 あとがきにこのような記載がありました。
Hon20181026b

 この本、昭和63年刊です。30年以上前ですね。皆さん、助教授や講師の若手研究者でした。それが、今、学長をされている方もいらっしゃいます。光陰矢の如しです。

 私について言えば、「少年老いやすく学成り難し」ということばが実感されます。
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