かるた

2024年11月23日 (土)

老農船津伝次平

 最近、戦前の教科書も収集品に入ってきました。
 結局、私は昔のものが好きなのでしょう。

 この様なものを入手しました。
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 昭和2年の高等小学読本です。
 「農村用」とあります。
 一般用の他にこういうのもあったのですね。
 他に、商業用や工業用もあったのかどうかは不明です。

 この教科書にこういう単元がありました。
S02nousontototokuhon02
 この「船津伝次平」の話は全部で5ページに及びます。
 船津伝次平は、幕末から明治にかけて活動した農業研究者であり、教育者です。
 今、この人物のことを知っている人は少ないことでしょう。

 しかし、群馬県だけは違います。
 群馬県民はほぼ全員が知っているのではないかと思います。
 その理由は「上毛かるた」です。

 このかるたは戦後しばらくして生まれたもので、群馬県の子供は誰でも知っています。
 その中に「老農船津伝次平」という札があるのです。
Funatsudenjibei
 群馬県の地理、人物、産業、産物などを幅広く学ぶことのできるこのかるたはなかなか貴重です。

 今や「上毛かるた」の中だけの人物になってしまったかのような船津伝次平は、かつては「農村用」限定とはいえ、高等小学読本にも載る全国区の存在だったのですね。もっと顕彰されても良い人物と思います。

2024年7月31日 (水)

「小学生国史満点かるた」

 この様なものを入手しました。
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 「小学生 国史満点かるた」とあります。
 全部で40組です。
 「株式会社 不動貯金銀行」の印が印刷してあります。この銀行が顧客に配ったものでしょうか。

 読み札から6枚。
Kokushimanten02
 こんな感じで、読み札は短歌形式になっていて、下の句の冒頭が年号になっています。
 ただし、その年号は西暦ではなく、神武紀元なので、西暦よりも660年多い数字になっています。

 これに対応する取り札。
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 下の句が取り札になっています。

 仏教公伝は1212年です。660を引いて西暦に直すと552年になります。
 これは日本書紀による年代です。
 現在、仏教公伝は538年ですね。これは『上宮聖徳法王帝説』『元興寺縁起』による年代です。
 戦前の教育を受けた亡母は「おいちにおいちに(1212)と仏教伝来」と憶えたそうです。このかるたと重なりますね。
 平安遷都は「なくよ(794)うぐいす」と憶えますけど、このかるたの時代には「いよいよ(1454)つづく」ですね。
 1414と憶えてしまう子供もいそうです。

 読み札の裏側は解説ではなく、問題になっています。
 裏側から2枚。
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 こんな感じで、1枚につき何問か問と答とが載っています。
 年号を憶えるだけでなく、そのできごとの内容も学べます。
 「建武の中興」については、特に功のあった人物として、護良親王、楠木正成、新田義貞、名和長年、足利尊氏の名が並んでいます。
 この5人の中で尊氏だけボロクソな形容が付いています。ちょっとひどい。
 「江戸幕府開く」については、家康を高く評価していますね。

 奥付等は全くなく、いつのものか分かりませんが、一番新しい年代が昭和7年の満州国建国ですので、それ以降です。

2024年6月15日 (土)

「時代劇かるた」

 「時代劇かるた」を入手しました。
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 パッケージの反対側です。
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 中身はこんな感じです。
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 絵札、読み札ともに未裁断です。
 サイズは小さく、紙質も悪く、もののない時代に作られた品のようです。
 仮名遣いも定まっていませんね。

 登場人物や作品から、およそいつ頃のものか推測できるかもしれません。
 ここに示したかるたには、市川右太右衛門、古川緑波、長谷川一夫、美空ひばり、榎本健一、嵐寛寿郎などが取り上げられています。
 なんか、懐かしいです。
 実際の映画はまだモノクロが多かったことでしょう。
 その映画を見て、このカラーの絵札を見るのも楽しかったかもしれません。

2024年6月13日 (木)

昭和3年の「教育偉人かるた」(10)

 今年の3月に初めて取り上げた昭和3年の「教育偉人かるた」、あと5名残っていましたので、第10弾として取り上げます。
 これで結局全員取り上げることになります。

 徳川光圀。
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 『大日本史』の編纂が大きく評価されているのかもしれませんね。
 水戸学は明治維新にも繋がったわけですし。

 孔子。
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 儒教の祖ですね。

 諸葛孔明。
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 大軍師です。

 ソクラテス。
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 ギリシャの大思想家。

 コロンブス。
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 大冒険家ですね。

 思えば、随分の大物達が最後まで残っていました。
 これで全員と思います。
 日本人28名、外国人20名です。
 そのわずか28名の日本人枠の中に楠正成と正行の親子が含まれているのは、やはり偏りと言わねばなりません。
 個人的には嬉しいのですけど。やはりねぇ。

 ともあれ昭和3年当時の貴重な同時代資料です。

2024年6月 8日 (土)

昭和3年の「教育偉人かるた」(9)

 今年の3月に初めて取り上げた昭和3年の「教育偉人かるた」、著名な人がまだ残っていましたので、遅ればせながら1ヶ月ぶりに取り上げます。第9弾になります。

 北条時宗。
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 北条時宗は欠かせません。

 上杉謙信。
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 謙信は取り上げられていますが、謙信と並び称される武田信玄は取り上げられていません。
 やはり謙信は義の人というイメージなのでしょうね。

 豊臣秀吉。
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 昭和3年の頃は、秀吉のマイナス面はあまり注目されていなかったのでしょうね。

 徳川家康。
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 家康もやはり欠かせませんね。
 3英傑の中では信長だけが取り上げられていません。
 信長は近世の幕を開いた人物と言えましょうが、人数に限りがあるので、落ちたのでしょう。
 なお、3つの幕府の創設者の中では、頼朝、尊氏は取り上げられておらず、家康のみが取り上げられています。

 加藤清正。
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 加藤清正は忠義の武士というイメージなのでしょうね。

2024年5月26日 (日)

「るるぶ都道府県いちばんかるた」

 この様なものを入手しました。
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 「るるぶ都道府県いちばんかるた」で、平成29年発行という新しい品です。
 箱の右上に「かるた読みあげ音声つき!」とあります。
 昔ならばCDが付属していたことでしょうが、これは今どきのなので、QRコードから専用サイトにアクセスすると、ランダムに読み上げてくれます。便利な世の中になりました。

 読み札から6枚。
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 読み札には、それぞれの都道府県の特産品などが盛り込まれています。
 それぞれにとてもよく納得できます。
 奈良は鹿。♪

 これに対応する取り札。
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 これらの絵もとてもよく納得できます。
 奈良は鹿の絵にしてもらいたかったです。

 取り札の裏面。
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 これまたよく勉強になります。
 奈良はやはり鹿。←他に言うことはないのか。(^_^;

 なお、読み札の裏面にはそれぞれの都道府県のシルエットが描かれていて、それはそれで遊べます。
 いろいろと遊びながら学べます。

 楽しいかるたです。

2024年5月14日 (火)

「日本全国郷土玩具かるた」

 最近、かるたの話題ばかりです。
 今日は、奈良の中川政七商店の「日本全国郷土玩具かるた」です。
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 全国1都1道2府43県それぞれ1枚ずつ、合計47枚のいろはかるたになっています。
 全くの偶然ながら、都道府県の数は丁度いろはかるたの枚数と同じなのでした。

 8組載せます。
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 全く無作為に載せました。
 といいながら、なぜか、鹿が2枚、うさぎ、金魚、猫、犬の郷土玩具が採られていますねぇ。
 全くの偶然です。偶然。

 心温まる楽しいかるたです。

2024年5月11日 (土)

昭和25年の「歴史かるた」(3)

 一昨日からの昭和25年「歴史かるた」の続きです。
 データがあると、並べ替えたり、集計したりしたくなります。サガのようなもので。(^_^;
 しかも、これは既にカードになっているわけですから、並べ替えは簡単です。
 電子機器を使うようになる前は、こうした作業はカードでした。カードの並べ替えは懐かしいです。

 時代順に並べてみました。
  伝承: 1
  飛鳥: 4
  奈良: 2
  平安: 6
  鎌倉: 2
  南北朝:2
  室町: 0
  戦国: 3
  織豊: 5
  江戸:14
  近代: 7
  現代: 2
(合計):48

 昨日、濁音・半濁音の札が4枚あるのが謎でしたが、分かりました。
 このかるたは、いろは48文字のうち、「ゐ」「ゑ」「を」「ん」の4枚がありません。
 その4枚の代わりが濁音・半濁音の4枚なのでしょう。
 別に48枚にこだわることもないのでしょうけど、いろはかるたが48枚であることに合わせたものと思われます。

 古いものから4組は以下の通りです。
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 石器・縄文・弥生の札はありません。邪馬台国も。
 一番古い時代の札は、論語・千字文の到来ですが、285年ということはないでしょう。
 聖徳太子の札が2枚あります。バランス的にはどちらか1枚で良さそうです。それだけ聖徳太子に手厚いです。

 新しい方の4組は以下の通りです。
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 満州事変も太平洋戦争も否定的ですね。ハワイ奇襲や原爆はありません。
 また、明治5年の東京・横浜間に鉄道が開通した次の札が満州事変です。日清・日露もありません。

 占領下ということでアメリカに気を使ったかもしれない札がありました。
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 ペリーとハリスと両方要りますかねぇ。ペリーの黒船来航だけでも良いように思います。
 そして、どちらの札の解説にも開港や通商をすすめられたとあります。
 脅されたようなものですけど、大部好意的な書き方になっています。

 南北朝の2枚は楠公さんと後醍醐天皇です。
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 楠公さんの札は湊川の戦いの方が良さそうに思いますが、それは七生報国と繋がるので避けたのかもしれません。
 一方、桜井の別れならば、正成・正行両方を登場させられるという利点もあったかもしれません。

 こうしたかるたにも時代背景は反映しますね。
 あれこれおもしろいです。

2024年5月10日 (金)

昭和25年の「歴史かるた」(2)

 昨日の昭和25年「歴史かるた」の続きです。
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 まず4組。
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 太平洋戦争の転機をガダルカナル撤退に求めているようです。

 続いて4組。
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 「ま」「め」の札は時代を反映していますね。
 日本がポツダム宣言を受諾したのは、民が目覚めたせいではないですけど。
 「ポツダム」ではなく「ポッダム」となっています。「ツ」は促音。
 そういえば、誰だったか、昔、親類が「ポッタム宣言」か「ポッダム宣言」と言っていました。
 当時は「ツ」を促音で発音することもあったのでしょうね。

 この「歴史かるた」には不思議な札があります。この4枚です。
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 この4組、ご覧のように濁音と半濁音です。
 濁音、半濁音を句の頭に置かなくても読み札は作れそうなものですけど、なぜこうしたのか興味深いです。

 「ぶ」の札の解説文には「五八五 欽明天皇 百済より仏像経文を献上す、蘇我稲目、物部尾輿争い尾輿これを難波の堀に棄てる」とあります。
 これ、文脈がおかしいです。585年は敏達天皇14年に当たります。
 欽明天皇の時代に百済から仏教が伝来し、そして、蘇我と物部との争いが敏達天皇14年(585)なのです。

2024年5月 9日 (木)

昭和25年の「歴史かるた」

 「歴史かるた」を入手しました。
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 「楽しい小学学習」とあります。小学生対象のかるたですね。
 作者名の下に「警視庁少年二課監修」とあります。文部省や教育委員会ではなく警視庁なのですね。

 箱の裏側に持ち主とおぼしき人の名前が書いてあります。
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 個人情報なので、どうしようかと思いましたけれど、この人が持っていたというだけで、どこに住んでいた人かも分からないし、後年結婚して名字が変わっているかもしれないしと考え、載せました。
 中村康恵さん、しっかりとした文字ですね。小学生とは思えません。
 「歷」「惠」は正字体です。

 奥付があります。
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 昭和25年11月発行です。
 GHQの占領が終わったのは昭和27年4月28日ですので、まだ占領下です。
 中村康恵さん、当時小学生とすると、今、ご存命ならば80代でしょう。

 まず4組。
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 漢字は正字体、仮名遣いは現代かなづかい、解説は文語文です。
 元明天皇と聖徳太子には敬語が使われています。
 江戸城明け渡しの会見は「安房」「隆盛」とあります。隆盛はともかく、安房は小学生にはどうなのという気がします。

 続けて4組。
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 「かな文字が 出来て竹取、古今集」は良い読み札ですね。
 この読み札の解説に、「一〇一五 長和四 紫式部歿す」とあります。
 紫式部の没年については諸説ある中で、長和3年とする岡一男説、長和5年頃とする与謝野晶子説がある様ですが、長和4年説は見つかりませんでした。
 GHQ占領下ながら、正成・正行の桜井の駅の別れがあるのは嬉しいです。
 中年の星伊能忠敬も取り上げられています。良きです。

 このかるたはまた取り上げます。

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