文字・言語

2025年1月19日 (日)

明治37年の「因幡の兎」

 明治37年発行の『高等小学読本一』を入手しました。
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 最初に載っている話は「因幡の兎」です。
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 概ね古事記に準拠していますが、話の順序を少し変えたところがあります。

 次の見開き。
M37koto1c

 右ページの最後の部分を拡大します。
M37koto1d
 兎が住んでいた島は「沖の島」ではなく「隠岐の島」となっています。
 また、ワニは「わにざめ」となっています。

 その次の見開き。
M37koto1e
 セリフは、「 」で括った上に、1字下げで書かれています。
 左ページの最後の行に「がまのほ」とあります。蒲の花粉ではありません。

 さらにその次の見開き。
M37koto1f

 表記に関しては、先日の同じく明治37年発行の修身の教科書と同じく、オ段長音が長音記号で表記されています。
M37koto1g
 歴史的仮名遣いの中に長音記号が現れると、なんかミスマッチといいますか、違和感があります。←楽しいです。(^_^)

2025年1月14日 (火)

長音表記&リンコルン

 明治時代の修身の教科書を入手しました。
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 明治37年発行の高等小学修身書の第2学年用です。

 中身はこんな感じです。
M37shushinkoto2b
 右ページから左ページの4行目までは第十課「忍耐」の後半で、前野良沢と杉田玄白とを中心とする人々によるオランダの解剖書の翻訳をめぐる話です。
 左ページの残りは第十一課「勉学」の冒頭で、アメリカのリンコルンが主人公です。

 眺めていると、表記に関してあれこれ興味深いことが目に付きました。
 文字が小さいので、部分的に拡大します。
 左右ページに跨がる部分。
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 長音が「よーになり」「そーこー」「こーぞー」と、長音記号を使って表記しています。

 もう1つは何といっても「リンコルン」です。
 アメリカ合衆国大統領のリンカーンのことですが、このように表記されています。
M37shushinkoto2d

 「リンコルン」は以前入手した「東西英雄絵巻双六」(小学館の『せうがく3年生』昭和5年新年号の付録)にも登場していました。
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 リンカーンの綴りは「Lincoln」なので、綴りからはリンコルンと読まれても不思議はありません。
 ただ、明治から昭和1ケタまでずっと「リンコルン」だったわけではなく、「リンカーン」表記も並行して行われていたようです。

 いつもながら、同時代資料は楽しいです。

2025年1月12日 (日)

『起源でたどる日本語表現事典』(丸善出版)

 このような本を購入しました。
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 令和6年12月25日刊という、最近発行された本です。
 この本のことは、Twitter(現X)かFacebookで、木下信一氏のポストで知りました。

 内容は2部構成で、第1部は「ことばの歴史を探るための基礎知識」、第2部は「身近な日本語の起源」です。
 第1部は35ページ、第2部は215ページから成ります。
 第2部がメインで、第1部は音韻変化を中心にした日本語史概説といった内容です。
 第2部の後に、引用文献一覧(五十音順と時代順)が付いています。

 メインである第2部の内容は、基礎的な279語の語義と起源とを解説したもので、考察は古文献に加えて、現代の方言も用いています。
 現代の方言が効果的な役割を果たしているように思われました。

 ハンディながら参考になる本と思います。

2025年1月 9日 (木)

伊予弁のバリィさん

 渋川の家で発見されました。
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 愛媛県今治市のゆるキャラ「バリィさん」のクリアファイルです。

 上の画像でも十分に読めますけど、文字の部分をアップにします。
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 「ないなったらいかんけん こんなかいれとーき」とあります。
 今治弁か伊予弁ですね。
 すてきな言葉です。
 このクリアファイルの説明ですね。

 反対側です。
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 バリィさんが右手に持っているのは船ですね。

2024年12月17日 (火)

根来麻子氏『こてんみゅーじあむ』(文学通信)

 根来麻子氏の『こてんみゅーじあむ』(文学通信)全5冊が刊行されました。
 この本のこともTwitter(現X)で知りました。
 対象は小学校高学年から大人までです。
 各巻とも全12章から成り、各章はそれぞれ4話から成っています。

 第1巻「くらし」。
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 第2巻「たべもの」。
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 第3巻「どうぶつ」。
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 第4巻「ことば」。
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 第5巻「もののけ」。
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 それぞれの表紙に登場する犬張り子がかわいいです。
 さらに第3巻には、うさぎまで登場して、大満足です。

2024年11月15日 (金)

鈴木靖民氏・佐藤長門氏『翻刻・影印天平諸国正税帳』(八木書店)

 鈴木靖民氏・佐藤長門氏『翻刻・影印天平諸国正税帳』(八木書店)を購入しました。
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 これは外箱です。
 中身は、縦長の翻刻編、横長の影印編の2分冊で、令和6年11月1日刊。

 翻刻編。
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 このような感じで、下には注が付いています。

 影印編。
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 写真は、八木書店刊の『正倉院古文書影印集成』と同じ印画紙の提供を宮内庁正倉院事務所から受けたとのことです。

 翻刻編と影印編とが別冊になっていることで、両者を容易に対照させながら読むことができます。
 ありがたい工夫です。

2024年11月 3日 (日)

明治20年ちりめん本の『俵藤太』

 明治20年発行のちりめん本『俵藤太』を入手しました。
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 大きさはほぼ文庫本大です。

 裏表紙。
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 最初のページ。
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 左側が表紙裏で奥付になっており、右ページが巻頭になります。

 奥付を拡大します。
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 明治20年の発行ですが、「著作権登録不許複製」などと、今と同じようなことが書いてあります。
 こんな時代にもう著作権法があったのですね。意外でした。油断ならない明治。
 「日本昔噺第十五号」とあります。いろいろな日本の昔話が英訳されて海を渡ったのですね。
 訳者はチェンバレンです。
 発行者は上根岸の長谷川武次郎さん。
 裏表紙に手紙の絵が描かれていますが、その封筒の宛名がこの人の住所氏名です。

 巻頭ページも冒頭の段落を拡大します。
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 タイトルの「MY LORD BAG-O’-RICE」が俵藤太に当たるのでしょう。
 直訳すると「米俵大名」でしょうか。「藤太」までは訳出されていません。
 「O’」は「OF」と同じでしょうか。英語苦手です。
 冒頭は「ワンスアポンナタイム」ですね。♪

 次のページは見開きに絵が描いてあり、文章もあります。
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 内容は俵藤太のムカデ退治の話のみです。
 俵藤太といえば、私などはNHK大河「風と雲と虹と」で露口茂が演じていたのを思い出します。
 平将門と戦って勝利を収めたわけですが、その話はありません。

2024年10月29日 (火)

シンポジウム「方言で味わう郷土食の多様性」

 このような催しがあります。
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 シンポジウム「方言で味わう郷土食の多様性」、主催は味の素食の文化センターと大学共同利用機関法人人間文化研究機構です。


 趣旨。
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 文字が小さいですが、よろしく御解読ください。

 プログラム。
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 2番目の新井小枝子さんは元同僚です。
 パネリストに土井善晴さんがいらっしゃいますね。

 会場。
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 会場の他にオンラインでの参加も可能ですが、どちらも事前申し込みが必要です。

 受付。
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 まだ申し込みは始まっていません。
 受付開始は11月13日です。

 サイトはこちら

2024年9月16日 (月)

明治26年の『赤穂義士真筆帖』(2)

 先日の明治26年の『赤穂義士真筆帖』の続きです。

 吉田忠左衛門。
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 奥田孫太夫。
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 堀部弥兵衛。
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 堀部安兵衛。
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 やはり読めません。修行します。
 この中では堀部安兵衛の手紙が一番読みやすいように思います。

2024年9月11日 (水)

明治26年の『赤穂義士真筆帖』

 この様なものを入手しました。
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 書名は『赤穂義士真筆帖』。
 折本仕立です。

 奥付は以下の通りです。
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 明治26年の出版、明治34年の発売とあります。
 明治26年に初版発行、34年に再版(あるいは3版以降)ということでしょうかね。

 大石内蔵助の書。
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 大石主税の書。
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 大石主税は16歳で切腹したのですよね。16歳以前でこういう字を書けてしまっているのですね。
 今ならば高校生ですよね。

 翻字は載っていません。
 買ってはみたものの読めません。
 読めるようになりたいです。

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