『続日本紀研究』70周年記念号
おととい帰宅したときに、この雑誌も届いていました。
続日本紀研究会の機関誌『続日本紀研究』は昭和29年(1954)初めに創刊されたそうです。
70周年を迎えた記念号です。
通常の号は、大体3本ほどの論考を収録していますが、今号は18本も掲載していて、通常号の何倍もの厚さです。
執筆者は、これまで代表委員、編集委員、運営委員などを務めた方々だそうです。
私、国文学科の出身ですが、初めて入会した学会が続日本紀研究会で、最初に公表した論文の掲載誌が『続日本紀研究』でした。
変わり種です。タイトルは「続日本紀諸本の系統について」です。
そんなことで、この雑誌には思い入れがあります。
私の卒論題目は「続日本紀宣命の国語学的研究」でした。
実は宣命に関心があった訳ではありません。
学部3年の時に恩師O先生の大変に厳しい演習を履修しました。
その授業では、上代における様々な語の用例を集めて、それを分析することが毎週必要でした。
万葉集や記紀風土記の総索引はありましたが、宣命はないんですよね。
宣命の用例を探すのが大変だったので、じゃぁ、卒論で総索引を作ってしまおうと思いました。
索引を作っても、それだけでは卒論になりません。どうなるか分かりませんが、作業を始めることにしました。
その際、底本には本居宣長の『続紀歴朝詔詞解』あたりを使うのが普通でしょうが、続日本紀宣命には校本もないので、じゃぁ、校本も作ってしまおうということになりました。
これが正解で、続日本紀諸本を見てゆくにつれて、続日本紀諸本の系統が見えてきたのです。
ラッキーでした。
それまで、続日本紀諸本の系統って、分かっていなかったんですよね。
その研究が難しかったからではなくて、誰もやっていなかったから。
もう、ラッキーとしか言いようがありません。
研究にはそんなこともあります。
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