明治34年の『尋常小学修身教本巻三』
明治34年の『尋常小学修身教本巻三』を入手しました。
入手方法は例によってネットオークションです。
表紙見開きです。
育英舎編輯所編纂とあります。
画像は省略しますが、奥付に拠れば、育英舎は東京市下谷区の書肆で、明治34年の発行です。
国定教科書ではなくて、文部省検定済教科書ですね。
表紙裏に持ち主の名前が「北村すへ」と書いてあります。
個人情報ですけど、いいでしょう。
ところが、裏表紙にはこうあります。
こちらには「北村すゑ」さん。
固有名詞、しかも自分の名前なのに「すへ」と「すゑ」。
自由な表記です。
各課は歴史上の人物を採り上げることが多いです。
例えば、第八課は毛利元就の3本の矢の教えです。

この課の終わりには、大きな文字で「兄弟は左右の手の如し。」とあります。
これがこの課の教えの要約ということになりましょう。
第十六課は「かんにん」。
この課では具体的な人物を採り上げてはいません。
末尾には「ならぬかんにんするがかんにん。」とあります。
どのページにも、「モーリ」「よーいに」「なきよーに」「しょーぢきに」など長音記号が用いられています。
文語文に長音記号が用いられていると、なんか力が抜けます。(^_^)
あれこれ面白いです。
毎度毎度書きますが、やはり、同時代資料は楽しいです。
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表紙裏の記名と裏表紙の記名、字体が違う感じがしますね。
表紙裏の方は、いかにも子どもらしい字です。
裏表紙の方は、比較的しっかり書かれているように見えます。
表紙裏はこの教科書を使っていた子どもが書いたもので、裏表紙の方は保護者かだれか、より年かさの人が書いたのでは、と想像しました。
正しい表記は「すゑ」さんなのではないでしょうか。
表紙裏の名前を書いた段階で子ども本人は「ゑ」がまだうまく書けなかったか、理解していなかったか、面倒だった(笑)か…?
文字を書けるようになるためには、縦横斜めの線をまっすぐ書けること、○をバランス良く書けることがポイントと聞いたことがあります。特に丸は幼い子どもには書きにくいようで、丸まった部分を含む「ね」や「あ」「ぬ」が名前に入っている子どもは記名に苦労をするようです。
「ゑ」は、丸まった部分に加えて波打つような箇所もあります。幼い子どもには大変なのでは。
あるいは、この教科書を使い始めたときには「ゑ」が上手く書けなかったけれども、使い終わる頃には書けるようになったので、改めて裏表紙に書いてみたとか。
もしもそうなら、すゑさんに「がんばりましたで賞」を差し上げたい。
投稿: 朝倉山のオニ | 2025年8月 9日 (土) 02時05分
朝倉山のオニさん
お久しぶりです。
コメントをありがとうございます。
筆跡鑑定……ではなくて、筆跡推理、なるほどと思いながら拝読しました。
「ゑ」は、私が生まれて初めて書いたのはいつだったでしょうか。
学部2年生の時に変体仮名を読む授業を受けたときかもしれません。
確かに書きにくいですよね。大人でも。
仰るように、丸い部分が終わった後すぐに波打つ部分に移るのも難しかったです。
裏表紙の記名は極端に右肩上がりなのでしょうか。それとも斜めに書いているのか。
「ゑ」の字はそれなりに形になっていますね。
「がんばりましたで賞」授賞、異議ありません。
投稿: 玉村の源さん | 2025年8月 9日 (土) 03時57分