明治9年の『小学綴字初歩』
明治9年発行の『小学綴字初歩』を入手しました。
表紙には題簽の貼り跡が残るのみで題簽はありません。
見返し。
こちらも表紙裏は下半分が失われていて、書名は途中までしか分かりません。
編者名も分かりません。
明治9年8月版権免許ということは分かります。
左側が第一丁のオモテで、序文が書かれています。
次のページはその続きです。
序文に拠れば、この本は、仮名遣いについて文部省が編纂した教科書が配当年次である小学八級の生徒には習得が困難であるために、小林某が抜粋編纂したものであるということです。
次の見開き。
左側のページによって、この本の書名は『小学綴字初歩』、編者は武生伝習所校長の小林翼であることが知られます。
語の排列は五十音順です。
筆頭の「あか」は別として、次の「あを」以下はすべて2字目以降の仮名遣いに関する書き方が示されています。
次の見開き。
「いの部」については、第1字目を(「ゐ」ではなくて)「い」と書くもの、そして2字目以降の仮名遣いについて示しています。
次に示すのはうしろの1つ前の見開きです。
「ゐの部」には、第1字を(「い」ではなくて)「ゐ」と書くものを挙げています。
当時の小学生にとって、実際の発音の別とは異なる歴史的仮名遣いを憶えることは大変だったことでしょう。
文部省の教科書にはもっと多くの語が挙がっていたのではないでしょうか。
そんなに多くては負担が大きすぎると考えた小林翼がその抜粋本としてこの本を編纂したものと思われます。
この本は武生伝習所校長が編纂し、敦賀県権大属が序文を寄せていますね。
今の福井県の小学児童に使わせることを目的に編纂されたものでしょう。
教育に関して、各県ごとの裁量が認められていたのでしょうかね。
あれこれ面白いです。
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