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2023年10月 3日 (火)

創作童話「金魚とスピスピ」

 待望の創作童話の第8弾です。

 金太郎くんたち5兄弟が、いつものように用水路を泳いでいると、今まで見たこともないような魚に出会いました。
Supisupi01
 サメのようでもあり、フグのようでもあり、ナマズのようでもあります。
 「こんにちは。はじめまして」
 「あ、こんにちは。はじめまして」
Supisupi02
 「失礼だけど、君はだあれ?」
 「私、どこかの海で暮らしていたんだけど、大地震が起きて、海が裂けて、その裂け目に落ちてしまったの。そして、気がついたらここにいたのよ」
 「へー。不思議な話だね。海が裂けるって、聞いたこともないよ」

 「あ、かえるのけろきちくんだ。彼は物知りだから、何か分かるかもしれない。おーい。けろきちくん、ちょっと来て」
 「なんだい?」
Supisupi03
 「実は、かくかくしかじか」
 「そうかぁ。あっ! 君は!……。まさか!……」
 「なに、なに?」
 「いや、彼女、サカバンバスピスじゃないかな。5億年前の古代魚だよ。
  海が裂けてできた時空の裂け目に落ちて、この用水路に現れたんじゃないかな」
 「えー。5億年前の古代魚? じゃぁ、彼女は僕たちのご先祖?」
 「いや、そうとも限らないんだ。サカバンバスピスが天智天皇だとして、君たちの先祖が天武天皇なら、直接のご先祖じゃないよね。そういうこと」
 「ふ~ん。いつもながら、君は物知りだねぇ」
 「たにぐくのさ渡る極み、だからね。いや、サカバンバスピスは去年あたりからネットなどで話題になっているんだよ。かわいいからね。
  ま、僕の知り合いのおじさんは全然知らなかったらしいけど」
 「知り合いのおじさん?」
 「そう。仕事が溜っているらしいんだけど、毎日欠かさずブログを書いているヘンなおじさん」
 「ふ~ん。それはヘンだね」
Supisupi01
 「あ、挨拶が遅くなったね。僕は金太郎。力自慢だよ」
 「僕は金次郎。勤勉で勉強家」
 「僕は金三郎。キャラはまだよく分からないんだ」
 「僕は金四郎。正義感の強い遊び人で、腕も立つ」
 「僕は金五郎。落語が好きで、噺家になりたいと思っているよ」
 「という5人兄弟だよ。君の名前は?」
 「私には名前はないの。5億年前には、まだ名前ってなかったのよ」
 「そうか。じゃぁ、スピスピはどう?」
 「ありがとう。じゃぁ、私は今日からスピスピね」
 「うん。じゃぁよろしく。で、これからどうするの? 5億年前の世界に戻れるような方法を考える?」
 「そうねぇ。でも、それはとても難しいと思うから、ここで頑張ってみる。私の他にも時空の裂け目に落ちてしまった仲間もいると思うので、その仲間が来るかもしれないのを待つわ」
 「わかった。じゃ、またね」
 「ありがとう。またね」

 金太郎くんたちは家に帰るとすぐ、お母さんにこの話をしました。
Supisupi04
 「へぇ。不思議なことがあるのね。新しいお友達ができて良かったわね」
 「うん。とってもかわいい子だよ。でも、5億年前は天皇だったんだって。で、僕たちのご先祖も天皇だったらしいよ」←違
 「名前、なんていうの」
 「スピスピだよ。僕たちが付けたの」
 「その古代魚の名前は?」
 「あ、けろきちくんはすらすらと言ってたけど、長くて憶えられなかった」
 「なんとかかんとかスピスピ」
 「いや、濁りがあったよ。なんとかかんとかズビズバじゃなかった?」
 「う~ん。濁り、あったね」
 「オンベレブンスピスパじゃなかった?」
 「あ、それなら濁りも入っているね。それだ、それだ」
 「じゃ、忘れないように繰り返し唱えてみよう」
 「オンベレブンスピスパ」
 「オンベレブンスピスパ」
 「オンベレブンスピスパ」
 「よし。ばっちりだ」

 *正しくは、サカバンバスピスである。

 ということで、新しい劇団員をお招きしたことで、その紹介です。
 その割には長くなってしまいました。
 スピスピはまた登場することでしょう。

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