和食の英文
先日のお食事会のお品書きです。
字が小さくて見にくいですが、日本語の下に英語表記もあります。
私は中学校以来英語が苦手で今に至っていますが、日本語との対比には関心があります。
そこで、ちょっと見てみました。英和辞典はランダムハウスに拠ります。
3分割して載せます。
まず最初。
appetizer は知りませんでした。辞書には次のようにありました。
アペタイザー,食前酒,前菜;食欲をそそる飲み物または食べ物.
なるほどです。
halta jute がモロヘイヤに当たるのでしょうが、辞書には載っていませんでした。
jute は次のようにありました。
1 ジュート(繊維),黄麻(こうま).
2 ツナソ,ジュート,コウマ:ジュートを採るシナノキ科ツナソ属の植物 Corchorus capsularis (white jute)および C.olitorius (tossa jute);東インド原産.
3 2と同属の植物の通称.
「おつくり」は刺し身のことですけど、「刺す」と言うのを嫌って、「つくり」と言ったものと思います。
そうだとすれば忌詞ですね。
日国の「つくり」の項には以下のようにあります。
(3)魚などの刺身(さしみ)。おつくり。つくりみ。
*雑俳・冠独歩行〔1702〕「いそがしや・涼の鯉の作り売」
*兵隊の宿〔1915〕〈上司小剣〉七「造身(ツクリ)を十人前出けまへんやろかて」
*青井戸〔1972〕〈秦恒平〉「鯛の造りもなくなると」
元禄時代にはこういう言い方のあったことが分かります。忌詞という記述はありません。
日国で「おつくり」には次のようにあります。
(2)(「つくり」は「つくりもの」の略)「さしみ(刺身)」を丁寧にいう語。もと、女房詞。
*青草〔1914〕〈近松秋江〉五「小い弁当箱に入った鮮麗な鯛のおつくりなどを食べつつ」
こちらには「もと、女房詞」とありますが、やはり特に忌詞とは書いてありません。
用例は大正まで降ります。
2番目。
eel は次のようにありました。
1 ウナギ:無足目 Apodes の腹びれのない長い魚の総称;アナゴ,ハモ,ウツボなどを含む
穴子も鱧もeel なのですね。sea eelで鱧ということでしょうか。
conger は次のようにありました。
1 ヨーロッパアナゴ,モトアナゴ:3m にもなるアナゴ科の海産魚;食用.
2 アナゴ:アナゴ科 Congridae の魚の総称. (また cónger èel)
conger eel で穴子なのでしょう。
最後。
赤出汁は miso soup ですね。単にみそ汁ということで、特に赤だしというわけではありません。
Tempura と Sushi は1字目のみ大文字なのに対して、SASHIMI は語全体が大文字なのですね。
あれこれおもしろいです。
【追記】
モロヘイヤに当たると思われる Halta jute が気になりましたので、ネットのDeepl翻訳で、逆に日本語のモロヘイヤを英語に翻訳してみました。
そうしたら、その結果は、Nalta jute と出ました。
お品書きの Halta jute は Nalta jute の誤植だったようです。
すっきりしました。
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