複製本『宸翰』(2)嵯峨天皇宸翰、酒人内親王願文
先日の「複製本『宸翰』(1)」の続きです。
巻頭の嵯峨天皇宸翰は3紙に亙ります。それを切り貼りします。
「哭澄上人詩」と呼ばれ、「澄上人」は弘仁13年(822)に入寂した最澄のこと。
最澄の入寂を悲しんだ嵯峨天皇の五言排律(12句60字)の詩で、青蓮院に伝来し、現在は個人蔵とのことです。
2番目は「酒人内親王願文」です。これも3紙に亙るものを切り貼りします。
現在は「酒人内親王献入帳」の名で呼ばれているようです。
酒人内親王は光仁天皇の皇女で、母は井上内親王。弟に他戸親王がいます。
伊勢斎宮であった時に、母と弟が幽閉中に謎の急逝を遂げ、伊勢を退下して桓武天皇の妃となります。
この献入帳は、弘仁8年(817)に亡くなった娘の朝原内親王の遺言により、翌弘仁9年の一周忌を前に東大寺に施入された経典や荘園等の目録、及びその趣旨を記した文書です。
冒頭部分。
大般若経と金剛般若経、そして3ヶ所の荘園が記載されています。
署名部分。
筆跡が同じと思われますので、全文が酒人内親王本人の自筆ですね。
内容にも依るのでしょうが、謹直な筆跡と感じます。
全面に捺された印。
「酒」の1文字です。
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