複製本『宸翰』(1)
この様な巻子本を入手しました。
題簽には雨冠の「震翰」とありますが、天皇の自筆を意味するウ冠の「宸翰」のことでしょう。
雨冠、ウ冠、通じて用いられたものと思われます。
冒頭には嵯峨天皇の詩が載っています。
左下に小さい文字で、このように印刷されています。
中央公論社の『書道藝術』によれば、この「哭澄上人詩」は「伝嵯峨天皇筆」とされています。
別の箇所には、数ヶ所に亙って、以下の様な記述があります。
奥付はありませんが、これによって、この巻子本は明治17年に博物局によって制作されたことが知られます。
冒頭の嵯峨天皇の詩は平安初期弘仁年間のものですが、ここに採録されている文書の多くは奈良時代のものです。
藤原仲麻呂などの自筆署名のある文書もありますし、
弓削道鏡の自筆署名のある文書もあります。
正倉院文書の影印は、八木書店から『正倉院古文書影印集成』が刊行されていますので、これらの文書はその影印本でも見ることはできますが、それはそれとして、これもまあ楽しいです。
この複製本の紹介、続きます。
« 『墨書土器と文字瓦』(八木書店) | トップページ | 『トビウオが飛ぶとき』 »
「文字・言語」カテゴリの記事
- けろけろけろっぴの回文かるた(2023.09.26)
- 「英語かるた」(2023.09.19)
- 根来麻子氏『上代日本語の表記とことば』(2023.09.11)
- 越中ことば番附の絵はがき(2023.09.09)
- 和食の英文(2023.09.02)
「史料・資料」カテゴリの記事
- 楠公像の絵はがき6点(2023.09.25)
- 大正10年の彦根市街図(2023.08.21)
- 「武者鑑」(2023.08.11)
- 「武者見立鏡」と「智勇鑑」(2023.08.06)
- 「智勇鑑」(2023.08.04)
「歴史」カテゴリの記事
- 楠公像の絵はがき6点(2023.09.25)
- 阪神がアレしましたけど、関ヶ原では(2023.09.15)
- 『歴史人』最新号の特集は「古代史研究最前線」(2023.09.14)
- 昨日の「ブラタモリ」は新潟県長岡市(2023.09.03)
- 佐紀古墳群の航空レーザー計測(2023.08.20)
コメント