複製本『宸翰』(1)
この様な巻子本を入手しました。
題簽には雨冠の「震翰」とありますが、天皇の自筆を意味するウ冠の「宸翰」のことでしょう。
雨冠、ウ冠、通じて用いられたものと思われます。
冒頭には嵯峨天皇の詩が載っています。
左下に小さい文字で、このように印刷されています。
中央公論社の『書道藝術』によれば、この「哭澄上人詩」は「伝嵯峨天皇筆」とされています。
別の箇所には、数ヶ所に亙って、以下の様な記述があります。
奥付はありませんが、これによって、この巻子本は明治17年に博物局によって制作されたことが知られます。
冒頭の嵯峨天皇の詩は平安初期弘仁年間のものですが、ここに採録されている文書の多くは奈良時代のものです。
藤原仲麻呂などの自筆署名のある文書もありますし、
弓削道鏡の自筆署名のある文書もあります。
正倉院文書の影印は、八木書店から『正倉院古文書影印集成』が刊行されていますので、これらの文書はその影印本でも見ることはできますが、それはそれとして、これもまあ楽しいです。
この複製本の紹介、続きます。
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