明治19年の『西洋遊戯 かるた使用法』
『西洋遊戯 かるた使用法』という本を入手しました。
文庫本をひとまわり小さくしたような大きさです。
奥付。
明治19年の刊行です。
このような「緒言」があります。
2ページ目には、わが国のかるたや花札は「無稽」「卑賤」なのに対し、西洋のトランプは「優長」「高尚」であると言っています。
わが国のゲームをそんなに卑下することはないと思うんですけどね。
ルビとしては「無稽」に「むちゃくちゃ」とあるのが新鮮でした。
「優長」に「しとやか」です。
こういうルビも楽しいです。
目次は次のようになっています。
ルビがなかなか特殊です。
第三章に「混錯法」とあり、そのルビは「まぜかた」となっています。
初めから「混ぜ方」と書く方が分かりやすいと思います。
目次の中に「占絵(えとり)」という語があり、この本のかなりの分量を占めています。
トランプゲームなのですが、どんな遊び方か、説明はあるもののさっぱり理解できません。
そこで、ググってみたところ、ウィキペディアに「絵取り」が項目として立っていました。
その、「概要」の冒頭は以下の通りです。
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絵取りが見える最も古い文献は、1885年の桜城酔士『西洋遊戯 かるた使用法(かるたのとりかた)』である。ここで「占絵(えとり)」と呼んでいるゲームでは、4人が2つのチームに分かれて、絵札の枚数を競う。このほかに、チームに分かれずに、手札を4枚または5枚にして、1トリックごとに山札から手札を補充していくものを「占絵別法」、占絵別法と同じだが絵札の枚数ではなく、ランクごとに異なる点数があるものを「占点(てんとり)」、占絵と同じだがビッドがあり、取る枚数を一番多く宣言した競技者が宣言と同じ枚数を取ると勝つ「ナポレオン」を紹介している。
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ここに、「絵取り」が見える最も古い文献として紹介されているのが、私の入手したこの本です。
自覚せずに貴重なものが手に入りました。
当時、多くの日本人はトランプを知らなかったことでしょうから、この本では初歩的なことから解説されています。
トランプの4種の札について。
ここにはマークが図示されていますが、本全体では挿絵は少ないです。
トランプの混ぜ方の図は載っています。
これは分かりやすいです。
こういう「混錯法」は日本人にとって初めて見るものだったことでしょう。
やはり同時代資料は面白いです。
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