『英雄百人一首』(2)
昨日の『英雄百人一首』(1)の続きです。
冒頭の2葉の口絵のあと、「軍器略抄」という項目が15ページ(7丁半)あります。
様々な武器に関する話題です。
このあと、本題の100人の人物が登場します。1人1ページあてです。
最初は素戔嗚尊。
おなじみの「八雲立つ」の歌が載っています。
歌詞は、「八雲立つ 出雲八重垣 妻ごめに 八重垣作る その八重垣を」です。
この歌、日本書紀では、「八雲立つ 出雲八重垣 妻ごめに 八重垣作る その八重垣ゑ」
古事記では「八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を」です。
ほとんど同じですが、記紀の相違は、第3句が「妻ごめ」か「妻ごみ」か、第5句が「八重垣ゑ」か「八重垣を」かです。
英雄百人一首の歌詞は、第3句は書紀と同じ、第5句は古事記と同じで、両者の折衷です。
最後の100人目は室町幕府の第9代将軍の足利義尚です。
このように、時代の範囲は一応戦国時代の初めまでなのですが、例外的に三好長慶や北条氏康が入っています。
なぜこういった例外があるのか分かりませんが、武田信玄や上杉謙信、今川義元、織田信長、豊臣秀吉などの著名な戦国大名は入っていません。
これはよく分かります。戦国時代まで含めてしまうと、神君家康公を取り上げざるを得ず、江戸時代の出版としてはそれは恐らく大変に困難なことになるのでしょう。それで、戦国時代の前で切ってしまったものと思われます。
八幡太郎義家と安倍貞任は左右のページに配されています。
ライバルですものね。
「吹く風を」の歌は義家のだったのですね。(^_^;
木曽義仲と巴も左右のページです。
和田殿、お気の毒ですが、仕方ありませんね。
上段には、木曽義仲が討ち死にした後、巴は和田義盛の妻になり、91歳で往生を遂げたという伝承も記されています。
続きます。
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