岩崎本日本書紀の複製(ほるぷ版)
岩崎本日本書紀推古紀と皇極紀の複製(ほるぷ版)を買いました。
桐箱。
中身。
奥付。
昭和47年、日本古典文学刊行会の刊行で、製作はほるぷ出版です。
日本書紀の複製は、戦前の秘籍大観本を持ってはいるのですが、秘籍大観がモノクロなのに対し、ほるぷはカラーですので、意味があるかと。
あと、お金のことを言ってはなんですけど、ネットオークションでそれぞれ1000円スタートでした。そして、私以外に誰も入札せず、そのまま落札できました。
2巻で2000円。良い買物をしました。
推古紀の十七条憲法の部分。
皇極紀の入鹿斬殺の部分。
その一部のアップ。
ヲコト点も見えます。
1行目の下の方、「咄嗟」の右に朱で「ヤア」続けて墨で「トノタマフ」とあります。
中大兄が入鹿に斬りつけた部分です。「ヤアトノタマフ」ですね。
左には「ヤアト*ヱテ」とありますが、「*」が分かりません。「ニ」のように見えますが、「ヤアトニヱテ」では意味が通りません。
「ヤアトホヱテ」なら分かりますが、「*」を「ホ」とは読めないでしょうねぇ。
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【追記】
中大兄皇子が蘇我入鹿に斬り付ける場面の左傍書の読みについて、蜂矢真郷先生からご教示頂きました。
「咄嗟」の左の傍書です。
私はこれを「ヤアト*ヱテ」と読んだのですが、蜂矢先生は「ヤアト宣テ」と読むのではないかとお考えになり、念のため、築島裕・石塚晴通両氏『東洋文庫蔵 岩崎本 日本書紀 本文と索引』[1978.11 日本古典文学会]を見てくださったそうです。
同書には、「BヤアCト宣テ」(BCは丸囲み)とあったとのことです。Bは「院政期点」、Cは「室町時代宝徳三年及文明六年点(ともに一條兼良点)」とのことです。
蜂矢先生に厚く御礼申し上げます。
私が片仮名2文字と考えた部分は漢字1文字なのでした。
そして私がカタカナの「ニ」かもしれないと思った部分は、ウ冠なのでした。
いろいろとお恥ずかしく思います。
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裏書もきちんと複製されています。
推古紀の厩戸皇子誕生の部分です。
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カラー版の購入は正解でしたね。
やはり朱書がわかりやすいです。
それにしても,2000円で手に入るとは,よかったですね。
投稿: 萩さん | 2023年3月24日 (金) 07時11分
萩さん
コメントをありがとうございます。
はい。仰るとおり、モノクロだと朱は薄くなってしまいますし、墨か朱か分かりにくいこともありますので、やはりカラーが良いです。
2点で2000円はありがたかったです。
保存状態も大変良好でした。
投稿: 玉村の源さん | 2023年3月24日 (金) 09時12分