明治7年の『童蒙 画引単語篇 一』(4)
3回に亙ってご披露してきた明治7年の『童蒙 画引単語篇 一』の続きで、項目は「地理」です。
1行目「大洋」の解説の中に「大平洋大西洋」とあります。
「太平洋」ではなく「大平洋」と書かれています。
当時、「大平洋」と表記されることも少なからずあったのではないでしょうか。
これも興味ありますが、自分では調べません。(^_^;
「大洋」の挿絵には外輪船、「海」には帆船が描かれています。
左ページの2行目の「半島」の解説に、「三方は海にて一方は大地に続きし海に出たる島をいふ肥前島原などをいふ」とあります。
今、半島というと、紀伊半島、房総半島、伊豆半島、能登半島、下北半島など大きなものがある中で、ここで例示されているのは島原半島ですね。
解説のように、半島を「大地に続きし海に出たる島」と定義してしまうと、紀伊半島などはスケールが大きすぎてしまうのでしょうね。
これまた、他の資料ではどうなっているのか、紀伊半島というような呼称はいつ頃から出現するのか、などなど興味深いです。
深掘りが可能ですが、たぶんやりません。(^_^;
少し先の、鉄道や鉄橋などのページ。
左ページの1行目「鉄橋」の解説に「鉄を以て悉く造る近年大阪高麗橋心斎橋等鉄橋を架更る甚だ壮観にて他所の人の目を驚歎せしむ」とあり、明治初期の大阪の町の様子の一端が伺えます。
その次のページ。
右ページの最終行「灯台」の解説に「近年海岸に設け置灯明台にて船の目的なり」とあり、「目的」には「めあて」というルビがあります。
「めあて」はよく理解できますが、現代だと漢字表記は「目標」でしょうか。
これも興味深いです。
左ページの最終行の「電信線」の左側に「テレガラフ」というルビが付いています。
「電信線」ではなく、「電信」かと思います。
解説文に「西洋は勿論日本にも追々に成就す」とあります。この「成就」も現代の語感とは若干異なるように思います。
その次のページ。
右ページの1行目は「電信線」の解説の続きです。
ここに、電信は光線よりも速いと書いてありますが、どうなのでしょう。
恥ずかしながら、地球上では光が一番速いと思い込んでいます。(^_^;
理系の人に笑われそうな気がします。
今回は、いろいろと興味深い事柄がありながら、自分では調べないだろうというものが多く、お恥ずかしいです。
気が向いたら調べます。
この本については今回で一応終了ですが、何か興味深い内容が目に付いたら補遺として載せるかもしれません。
とても面白い本でした。
« 今日の園芸(1) | トップページ | 飴細工の金魚 »
「文字・言語」カテゴリの記事
- 『続日本紀研究』70周年記念号(2025.02.09)
- 明治37年の「因幡の兎」(2025.01.19)
- 長音表記&リンコルン(2025.01.14)
- 『起源でたどる日本語表現事典』(丸善出版)(2025.01.12)
- 伊予弁のバリィさん(2025.01.09)
「史料・資料」カテゴリの記事
- 明治37年の「因幡の兎」(2025.01.19)
- 「ハナ ハト マメ マス」(2025.01.15)
- 長音表記&リンコルン(2025.01.14)
- 広瀬中佐の評価は(2024.11.24)
- 老農船津伝次平(2024.11.23)
« 今日の園芸(1) | トップページ | 飴細工の金魚 »
コメント