昭和5年の「絵入り国史年代表」
このようなものを入手しました。
『少女倶楽部』昭和5年5月号の附録です。
裏表紙。
右下に名前の記入欄がありますので、アップにします。
薄くてよく読めませんが、「Miyo Shii」でしょうか。
どんな字を書くか分かりませんが、「しい みよ」さん。
当時の女学生がローマ字で名前を書いているというのが意外でした。
いえ、むしろ女学生らしいと言うべきかもしれません。
そういう納得感もあります。
ご健在ならば100歳前後かと思われます。
中身は折り本形式になっています。
広げるとこのようになります。
表裏に印刷されていて、オモテは神代から室町幕府滅亡まで。
裏は室町幕府滅亡から昭和天皇の即位までです。
上の画像は小さすぎて分かりにくいですが、上段は代表的な人物の肖像画、その下が年表で、最下段は地図やその他の参考図です。
冒頭部のアップ。
年表部は、薄茶色の「神代」から、神武即位以降の黄色の「上代」に直結しています。
神武即位が元年になっていますので、西暦ではなく皇紀です。
縄文時代や弥生時代という考古学的な年代は一切記載されていません。
日本武尊の西征・東征経路も載っています。
経路に出雲は載っていませんし、碓氷坂ではなく足柄坂を通っていますので、古事記の要素は入っておらず、純粋に日本書紀のみによる経路です。
仏教伝来から白村江の戦いまで。
この辺はちゃんとした年表です。
白村江の敗戦もちゃんと記載されています。
現在、仏教伝来は538年とされていますが、当時は日本書紀の記載に従って552年とされていました。
その年は皇紀では1212年に当たるので、この年表でも1212年として記載されています。
大正12年生まれの亡母は、仏教伝来年を語呂合わせで「おいちに、おいちに(1212)と仏教伝来」と憶えたと言っていました。
こんな風にしてたくさん憶えた年号が、戦後は全部通用しなくなってしまったのは気の毒に思います。
ま、660年を引けば良いのですが、それも面倒です。
裏面の下段の一部分を。
画像の選択がおかしいです。(^_^;
泉岳寺の墓所はともかく、創作上の人物である村上喜剣まで載っています。
忠臣蔵好きの私でも納得できません。(^_^)
全体的に、昭和5年の同時代資料として、あれこれ興味深いです。
« 黒猫感謝の日&栄太楼の黒猫 | トップページ | 「ねこあつめ」に「正述心緒」(3) »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 埴輪ブーム(2024.10.07)
- 『ならら』最新号の特集は「正倉院展」(2024.10.02)
- 宮川禎一氏『鳥獣戯画のヒミツ』(淡交社)(2024.09.21)
- 五味文彦氏『料理の日本史』(勉誠社)(2024.09.08)
- 飯泉健司氏『播磨国風土記を読み解く』(武蔵野書院)(2024.09.02)
「史料・資料」カテゴリの記事
- 明治34年の「一新講社」引き札付き(2024.09.23)
- 明治3年の『絵入智慧の環 二編上』(5)(2024.09.18)
- 明治26年の『赤穂義士真筆帖』(2)(2024.09.16)
- 明治26年の『赤穂義士真筆帖』(2024.09.11)
- 「新(しん)じいらんど」(2024.09.07)
「歴史」カテゴリの記事
- 埴輪ブーム(2024.10.07)
- 大人の図鑑シール(縄文~古墳時代)(2024.09.19)
- 今日は関ヶ原合戦の日(2024.09.15)
- マスカットティー&大化改新のお香(2024.09.14)
- 飛鳥・藤原の遺跡群が世界遺産の国内候補に(2024.09.09)
コメント