未裁断の「おとぎかるた」
未裁断の「おとぎかるた」を入手しました。
絵札。
読み札。
4分割して、絵札と読み札とを並べます。
右上。
当ブログでこれまで取り上げてきたおとぎかるたは、日本のおとぎ話だけを対象にしていたものばかりでしたが、このかるたは国際的です。
おやゆび姫、ピノキオ、アラビアンナイト、マッチ売りの少女などがあります。
「れ」の札は「れいにもらったたまてばこ」とありますが、お礼じゃないですよね。
「ろ」の札の「ろばはそのまににげてゆく」は恥ずかしながら分かりませんでした。
左上。
「ほ」の札の「ほしのくにのはたおりひめ」が分かりません。
「そ」の札の「そうだんはねこのすず」はイソップでしょうか。
「わ」の札の「わたしはことばがわからない」は童謡「青い眼の人形」ですよね。おとぎ話じゃない。
右下。
「ま」の「まとをいとめたテルのゆみ」はウイリアム・テルの逸話ですが、おとぎ話ではないような。
「し」のガリバーも。
「ゑ」の「ゑんとつからサンタクロース」もおとぎ話ではありませんね。
「き」の「きんのふねがそらをとぶ」は分かりませんでした。
「て」の「てんまでとどいたヂックのまめのき」は、「ジャック」ではなくて「ヂック」とあります。
左下。
「め」の絵札のカニですが、他の絵札の動物はみな体丸ごとですが、このカニだけは体は人間の姿で頭だけがカニです。
これは、このかるただけでなく、他のおとぎかるたでも同様に描かれていることが多いです。
このかるたは、いろはカルタ形式「い」から始まり「京」で終わっています。
それで、「ゐ」「ゑ」「を」がありますが、これは発音上は「い」「え」「お」と同じなので、絵札の絵を見ないとどちらの札か分かりません。
それはそれで、お手つきを誘ってゲームとしては楽しくなるかもしれませんが、小さい子には難易度が高くなりましょう。
「ゐ」と「ゑ」の読み札は以下の通りです。
どちらも仮名違いで不条理です。
それはそれとして、それぞれ左側に「ゐの字はこれから(い)をつかう」「ゑの字はこれから(え)をつかう」とあります。
このかるたはいつのものか分かりませんが、この注記によって、現代かなづかいが制定された昭和21年11月からほど遠からぬ頃に作られたものと推測されます。
読み札もほぼ現代かなづかいで書かれています。
紙質もあまり良くなく、あまりもののなかった時代に作られたのだろうことを推測させます。
このかるたが未裁断であることについては、最初は製作途中のものかと思ったのですが、右上に「おとぎかるた 日光社」とありますので、どうやらこれで完成品ですね。
あまり厚みもありませんので、買った人が手持ちの厚紙で裏打ちをして、裁断したのでしょう。
もののない時代、こういう売り方をすれば、日光社は裏打ち用の厚紙も用意しなくて済みますし、箱も作らなくて済みます。裁断してしまうと箱が要りますものね。
あるいは、このかるたは、おもちゃ屋さんではなく、駄菓子屋さんで売られていたのか、などとも考えました。
どうでしょ。
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