去来本『おくのほそ道』
去来本『おくのほそ道』の複製を買いました。
『おくのほそ道』が好きなのと、苦手なくずし字の勉強をしようと思ったのと、安かったのと、それらが理由です。
帙に貼ってあった奥付。
昭和8年、岩波書店の発行で、コロタイプ印刷です。
冒頭。
「月日は百代の過客にして」という有名な文で始まっています。
巻末。
元禄8年に嵯峨の落柿舎で書写した旨の去来の奥書があります。
1行目には「誤字・落字のおほからん事をおそれ侍るのみ」とあります。
謙遜の気持ちもありましょうが、注意深く書写したつもりでも、誤った本文を後世に残してしまうことを恐れたのでしょうね。
先日の大河がらみで、平泉の部分。
1行目から、
偖(さて)も義臣すぐつて此城に
こもり、功名一時の叢となる。国破
れて山河あり、城春にして草
青みたり、と笠打敷て、時のう
つるまで泪を落し侍りぬ。
夏草や兵どもが夢の跡
読めない文字もあって、活字本を参照しました。
つくづく名文と思います。
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卷末1行目の最後は「おそれ」3字で、釋文の「恐れ」は衍字ですね。
ケアレスミスをあげつらふ氣はさらさら無のですが、あるいは學生が勉強のために見てゐる可能性もあらうかと、「老爺心」ながら記しました。
投稿: 筒井茂徳 | 2022年5月25日 (水) 23時03分
筒井先生
いつもありがとうございます。
おっしゃるとおりです。
漢字で変換してしまい、あとから仮名に直したときに、もとの漢字を削除するのを忘れました。
相変わらず粗忽でいけません。
以後さらに気を付けます。
ありがとうございました。
投稿: 玉村の源さん | 2022年5月25日 (水) 23時58分