ある日の3人組うさぎ
動物のぬいぐるみや置物も、毎日一緒に暮らしていると、言葉が聞こえてきたりします。
去年うちに来た、帽子をかぶった3人組うさぎの関係がよく分からなかったのですが、学校の同級生ということが見えてきました。
雀の学校や、めだかの学校があるのですから、うさぎの学校があっても不思議はありません。
ある日曜日、仲良し3人組がハイキングに出かけました。
暑く、日差しの厳しい日でした。
うさ太「暑いなぁ。でも、きのこを帽子にしたので、快適さ」
うさ美「あ。いいなぁ。私はお花を帽子にしたよ」
うさ吉「ぼくはスイカの帽子だよ」
うさ太「わ! 重そう。そんなのかぶって、首痛くない」
うさ美「中身ごとじゃない。顔がスイカの汁でベトベトになりそう」
うさ太「てか、そのスイカ、どうしたの? まさか」
うさ吉「違う違う。スイカ泥棒なんかしてないよ。そこの道に落ちてたんだよ」
うさ美「落ちていたんなら、落とし物だから、交番に届けなきゃ」
うさ太「このあたりでスイカを作っているのは校長先生の畑だけだから、校長先生の落とし物じゃないかなぁ。校長先生に聞いてみたら。僕も一緒に行ってあげるよ」
うさ美「私も行くわ」
うさ吉「みんなありがとう。一緒に行ってくれたら心強いよ」
全員「校長先生。こんにちは」
校長「おや。仲良し3人組、みんな揃ってどうしたい?」
うさ吉「実はこれこれで」
校長「ああ。そういうことか。それは確かにうちの畑のスイカだね。今朝いくつか収穫したんだけど、うちに運ぶ道の途中で、重かったんで、ちょっと休憩したんだよ。そのあと、うちに帰るときに1つだけ忘れてしまって、あとで取りに行こうと思っていたんだ」
うさ吉「あ、そうでしたか。御免なさい。帽子にしてしまいました」
校長「ああ、いいさ。置き忘れた私も悪かったんだし。それより、よく正直に来てくれたね」
うさ吉「はい。2人がそう言ってくれて、しかも一緒に来てくれたんです。嬉しかった」
校長「いい友達だね。そして、正直は大事」
うさ太「はい。学校で朝礼の度に『 一、うそを言ふことはなりませぬ。一、卑怯な振舞をしてはなりませぬ』って暗唱していますもの」
校長「おお。エラいエラい」
うさ美「ところで、どーもくんはお留守ですか?」
校長「どーもは自分の部屋にこもってラジオを聴いてるよ。大月ひなたのラジオ英語講座さ」
すみません。長くなりました。メルヘン第3弾でした。
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