大正12年の『大正新脩大蔵経』会則
珍しそうな紙モノの収集癖が止まりません。
今度はこのようなものを入手しました。
『大正新脩大蔵経』の会則及び内容見本で、全40ページの冊子です。
冒頭に、仏教連合会の「決議」があり、この出版事業に対し、仏教各宗派はその成功を希望し賛同の意を表しています。
続いて、3ページに亙って高楠順次郎と渡邊海旭の「刊行趣旨」があります。
それから、「編纂要旨」。
「編纂要旨」という4文字が「卍」で囲われているのがおシャレです。
冒頭部のみ示しますが、ここに見えている「編纂の内容」以下、「編纂の組織」「原典の対校」「厳密なる加点」「校訂の順序」「閲覧の便益」「捜索の利便」「内外の協賛」「本書の出版」「頒布の至廉」と続きます。
そして、「編輯顧問」。
これも冒頭部のみ示しますが、各宗派のトップと思われる大僧正、上人、管長、長老などが並びます。総勢103名。続いて、「外護顧問」として、各国大使や大学教授など、外国人が28名。
『大正新脩大蔵経』というと、国語国文学の研究者にとっては、仏典を手軽に閲覧することのできる研究資料という位置づけになりますけれども、本来は仏教界のための叢書なのですね。遅まきながら、そんなことに気づきました。
次に「編纂評議員」。
これまた冒頭部のみ示します。こちらには大学教授などの文化人や、仏教関係者などが403名。
私が名前を知っている人を挙げると、以下のような方々です。
東京帝国大学教授・工学博士 伊東忠太
東北帝国大学教授・文学博士 宇井伯寿
東京帝国大学教授・文学博士 上田萬年
東京帝国大学教授・文学博士 宇野哲人
東洋大学教授 河口慧海
東京帝国大学教授・文学博士 黒板勝美
文学博士 幸田露伴
貴族院議員・国民新聞社長 徳冨猪一郎
東京帝国大学教授・文学博士 内藤虎次郎
京都帝国大学教授・文学博士 西田幾太郎
國學院大学長・文学博士 芳賀矢一
文学博士 萩野由之
東京帝国大学教授・文学博士 三上参次
帝国博物館長 三宅米吉
史料編纂官・文学博士 和田英松
私にとっては、多くは「お名前は見たことがある」というレベルですが、超大物揃いであることは分かります。
大事業です。
裏ページの裏には予約規定が載っています。
全55巻を毎月1冊ずつ、55ヶ月にわたって刊行する計画です。
このうち、中段の費用の部分を拡大します。
左側の一覧表を見ると、洋装特製本の場合、毎月払いだと月々12円ずつで総額は、12円×55ヶ月=660円になります。
2回分割ならば、315.5円×2回=631円。全額一括払いならば594円。
この他に送料も会員負担なのですね。
大正12年当時の600円というと今のいくら位に当たるのでしょうね。それを知る資料もありましょうが、まあ。
こうした計画ですが、この本を計画通りにきっちり刊行できるものやら。
しかも、大正12年には関東大震災がありましたし。
このあたりのことについても、知る資料はありそうですが、まあ。
まったくツメの甘い人間です。(^_^)
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