「忠君愛国双六」&新聞紙の裏打ち
このような双六を入手しました。
文字が欠けてしまっていますが、上部中央に「忠君愛国双六」とあります。
多分、雑誌の新年号の付録ではないかと思います。
年号等は一切書かれていません(左右の余白を切り取られていますので)が、「忠君愛国」とあるからには、戦前のものでしょう。
新聞紙による裏打ちがあります。
このような部分があり、朝日新聞の大阪本社版であることが分かります。
そして、別の箇所に日付があり、昭和26年3月14日版であることが知られます。
戦後6年目ですね。そして、今から70年前。
この双六で遊んだ少年は、ご存命ならば80代でしょうか。
戦前の双六を、昭和26年に、ある少年が引っ張り出してきて遊んだのでしょう。
こんなもので遊んでいたら、GHQに連れて行かれそうですが、GHQもそんなに暇も人手もなかったことでしょう。(^_^)
右下がフリダシで、中央が上リという、一般的な形です。
以下、それぞれのマスを列挙します。
1フリダシ.二宮金次郎
2.養老滝
3.菅原道真
4.源義家
5.徳川光圀
6.楠木正行
7.織田信長
8.西郷隆盛
9.豊臣秀吉
10.高山彦九郎
11.村上義光
12.和気清麻呂
13.吉田松陰
14.児島高徳
15.新田義貞
16.東郷元帥
17.伊藤博文
18.乃木大将
上リ.阿倍比羅夫
どうでしょ。「忠君愛国」というタイトルとは必ずしもぴったりこない人物も多そうです。
時節柄、「忠君愛国」を謳うことで、雑誌の売上が伸びたり、不足気味の印刷用紙を入手しやすくなるとか、何かあったのかもしれません。
南北朝時代の人物が多いようです。
ところがなぜか、私の好きな楠木正成がいません。正行はいるのに。ナゾです。
近代は、伊藤博文と東郷平八郎、乃木希典の3人です。
このうち、伊藤博文は直接フルネームですが、東郷と乃木は名字+階級で書かれています。
東郷、乃木への敬意の方が高いと見るべきか、それとも階級で呼ぶ方が一般的だったのか。興味があります。
上リは阿倍比羅夫ですね。なんか唐突な気がします。
この双六、昭和26年以降に裏打ちをされたあとに施された加筆が何ヶ所かあります。そのいくつかを見てみます。
絵の向きは見やすいように回転させました。
8.西郷隆盛。
2が出たら「しばかれる」とあります。他の数字は丸に白抜きであるところを見ると、これは加筆ですね。
「しばく」は関西方言でしょう。裏打ちの新聞紙が大阪本社版ということと整合します。
友達をしばくのは乱暴ですね。みんな仲良く。
10.高山彦九郎。
3が出たら、休みで寝ることになります。これは平和的です。
16.東郷元帥。
「帥」の字が「師」と書かれているという、ありがちな誤字があります。
あと、字がよく判読できませんが、5が出たら「フリダシエ」でしょうか。
東郷元帥のマスは上がり直前です。それで、1や4が出れば、さらに上がりに近づけますし、3が出たら上りです。
それにも関わらず、5が出たらフリダシに戻されてしまうというのはあんまりです。(^_^;
あれこれ興味深いです。
やはり、同時代資料は面白い。←いつも、ここに行き着く。
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