光明皇后楽毅論の明治16年の複製
このようなものを入手しました。
左右のうさぎは、大きさの比較のために置きました。
と言いたいところですが、うさぎの大きさが分かりませんね。(^_^;
そこそこ分量のある巻物です。
題簽には「朝陽閣集古」とあります。
巻頭です。
お馴染みの、光明皇后の楽毅論である旨の注記があります。
楽毅論の末尾。
これまたお馴染みの「藤三娘」という署名があります。
そして、これに続いて、杜家立成という注記があります。
巻末。
朱印がいくつか捺してあります。
最初の朱印。
「積善藤家」の印が斜めに捺してあります。
次の朱印2つ。
上の丸印は「明治癸未」でしょうか。明治16年の干支は癸未になります。
下の角印は「大蔵省印刷局/鑑賞**」、最後の2字が恥ずかしながら読めません。(^_^;
最後の朱印。
明治16年に大蔵省印刷局から刊行されたことが分かります。
さて、この巻物の正体ですが、題簽にある「朝陽閣集古」でググってみると、「朝陽閣」は大蔵省印刷局のことであることが分かりました。
そして、国会図書館のデジタルコレクションに写真が載っています。
全部で、8巻作成されたようです。リストは以下の通りです。
・1.菅公書 (長谷寺蔵)
・2.道風書 (御物)
・3.請来目録 / 弘法大師 書 (東寺蔵)
・4.聖武帝宸翰. 諸國封戸牒. 東大寺献物帳. 孝謙帝勅書. 高野天皇勅書. 聖武帝雑集 (御物, 東大寺正倉院所傳)
・5.光明皇后御筆. 杜家立成雑書要略 (東大寺御物)
・6.弘法大師書 (高野山金剛峯寺蔵)
・7.五悔文 / 弘法大師 書 (寶性院蔵)
・8.佐理卿書. 道風書. 貫之書. 家隆書. 弘法大師書 (御物)
私が入手したのは、このうちの5つめに当たります。
また、お札と切手の博物館のHPには、以下のようにあります。
>朝陽閣集古は、本邦の名筆による手跡を石版印刷によって再現したもので、光明皇后や空海などの書が収められています。
>本資料もまた、これを製造した印刷局の工場の通称である朝陽閣がその名に付けられています。
>これは、明治16(1883)年に完成、販売されました。
>初版時は全8巻でしたが、大正時代に復刻されたものは細分化されて全14巻となっています。
とのことです。
印刷は石版(リトグラフ)で行ったのですね。
それは分かりましたが、その版はどうやって作ったのでしょうか。
写真撮影して、そこから版を起こしたのでしょうね。
素人なので、具体的には分かりません。
明治16年にこのような精巧な複製が作られていたことに驚きました。
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下の印は「大藏省印刷局鑑賞上石之記」です。版木に刻つて印刷刊行することを上梓とか上木と言ひますが、この場合は石版印刷ですので上石と記したわけです。
投稿: 筒井茂徳 | 2022年1月12日 (水) 00時45分
筒井先生
いつもいつもありがとうございます。
「上石之記」でしたか。その4文字を2文字と思っていました。
なるほど、教えて頂ければ、確かにそう読めます。
本当に不勉強でお恥ずかしく存じます。
ご教示、本当にありがとうございました。
投稿: 玉村の源さん | 2022年1月12日 (水) 00時51分
「上」字は古くは基準線を示す橫線の上に短い橫線または點が在る字形でした(「下」字はその逆)。つまり劃數は二劃でした。このことを知つてゐると、見當がつくかと思ひます。
石版印刷については以下に簡單な紹介があります。
https://www.npb.go.jp/ja/museum/tenji/gallery/lithography.html
http://tt3dmovie.com/intaglio-printing/
投稿: 筒井茂徳 | 2022年1月12日 (水) 07時22分
筒井先生
ご教示をありがとうございます。
「上」「下」については指事文字ですね。文字のでき方がよく分かります。
お札と切手の博物館のHPのご紹介をありがとうございます。
これは見たのですが、石の表面に図柄を描くに当たって、写真からどのように描くのかが分かりませんでした。
投稿: 玉村の源さん | 2022年1月12日 (水) 08時25分