おおまみゅうだ(大豆生田)
一昨日、スーパーに買い物に行くのが遅くなってしまいました。夕飯、まだです。
先日は、買い物に行くのが遅くなったために、うな重が半額で買えたのでしたが、一昨日はさらに遅い時間でしたので、ご飯ものは全く残っていなくて、麺類があるくらいでした。
仕方なく(と言っては商品に失礼ですが)、チンして食べるきつねうどんを買いました。
帰宅してよく見たら、群馬県産の小麦を使っているとのことです。
小麦の銘柄については全く知りませんが、あえて産地と銘柄名まで書くということは、その筋ではよく知られた小麦なのでしょうかね。
群馬のメーカーかと思って、メーカー名を見たら、こうありました。
おお! おおまみゅうだ!!
いえ、何かというと、大昔(半世紀も前)、テレビで、金田一春彦氏が、日本語(外来語は除く)の音節の中で「みゅ」という音は、「おおまみゅうだ(大豆生田)」という名字の例しか知らない、と仰っていたのを思い出したからです。
大昔のことですが、「おおまみゅうだ」という音の響きが印象深かったでしょう、自分で他の「みゅ」を探してみようということは全くありませんでしたが、しぶとく憶えていました。
その語に半世紀を経て対面できました。こちらは名字ではなく、地名ですが。
ラベルをよく見ると、「大豆生田」ではなく「大豆田」となっていて、1字足りません。
また、ネットで読みを調べてみると、この地名の読みは「おおまめだ」だそうです。
名字サイトを見てみると、名字の大豆生田さんは栃木県に多い苗字だそうです。
栃木市、佐野市、下都賀郡に多いとのことですので、栃木県でも西の方です。
一方、このきつねうどんの会社がある大田原市は栃木県の北東部ですので、ちょっと離れています。
さて、結びつけて良いものやら分かりませんが、それはともかく、「おおまみゅうだ」。
今は、ジャパンナレッジなどという便利なものがあります。
これを使って、日本国語大辞典の見出し語に「みゅ」を含むものを検索してみました。
ミュージカル、ミュージックなどという外国語・外来語を除くと、確かに「みゅ」はありませんね。
唯一、「あみうど(網人)」に「あみゅうど」ともいう、というのが見つかっただけです。以下の通りです。
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あみ‐うど 【網人】〔名〕(「あみゅうど」とも)
「あみびと(網人)」の変化した語。
*平家物語〔13C前〕三・有王「片手にはあらめをひろひもち、片手には網うどに魚(うを)をもらふてもち」
*天草本平家物語〔1592〕一・一二「カタテ ニワ amiu〓(^の逆)do (アミュウド) ニ ウヲ ヲ モラウテ モチ」
*日葡辞書〔1603~04〕「Amiudo (アミュウド)〈訳〉漁師」
方言
漁師。《あみゅうど》広島県安芸郡783《あみっと》岩手県上閉伊郡097
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もともと日本語には拗音はなかったとすると、拗音が出現するのは、音韻変化形に限られるのでしょうね。
「にゅ」ならば、「にゅう(丹生)」「はにゅう(埴生、羽生)」「きりゅう(桐生)」などがありますけど、いずれも音韻変化形ですね。
スーパーに行った時間が遅かったお陰で「おおまみゅうだ」(違うかもしれませんが)に出会えました。
世の中、何が幸いするか分かりません。
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大臣の萩生田(はぎゅうだ)さんを思わず思い出してしまいました。
投稿: 三友亭主人 | 2021年10月 3日 (日) 07時46分
三友亭主人さん
コメントをありがとうございます。
あ、確かに。
こちらは「ぎゅ」の例ですね。
これは、はぎ+おふ+た→はぎふだ→はぎうだ→はぎゅうだ、となりましょうか。
投稿: 玉村の源さん | 2021年10月 3日 (日) 08時25分