明治4年の『ちゑのいとぐち』(2)
昨日の『ちゑのいとぐち』(1)の続きです。
右ページの後半からの「じうろく よみきり」では、「くろ いぬ」「くろい いぬ」「くろき いぬ」のように、形容詞の語幹、口語の形容詞、文語の形容詞が列挙されています。
次のページです。
「じうしち よみきり」には、「おほ をとこ」「おほきい をとこ」「おほきな をとこ」「おほいなる をとこ」が並びます。
形容動詞から生じた連体詞「おほきな」という形と、その文語系の「おほいなる」が挙がっていますね。
左ページの末尾には、「せい の たかい ひと」と「たけたかき ひと」という、やや高度な口語・文語の対応が並んでいます。
こういうページもあります。
右ページには、上段と下段とに、口語と文語とが対照されています。
左ページの「じうはち よみきり」は敬語です。
まずは「よむ」です。
「わたくし が よむ」「あなた が およみ なさる」
「おまへ が よむ」「あのひと が よむ」「あのおかた が およみ なさる」が対照されています。
「およみなさる」は、今は普通の言い方ではなさそうですね。「およみになる」でしょうか。
小学校の試験で、「よむ」の敬語を書きなさい、という問題が出たとして、「およみなさる」と書いたら×でしょうかね。
この『ちゑのいとぐち』を先生に見ていただいたら、○に変えてもらえましょうか。あるいは、「あなた、明治の子?」などと言われてしまうかも。(^_^;
こういった単純な形が並んだ後、「たべる」があります。
ここでは、敬体は「おたべなさる」ではなく、「めしあがる」になっていますが、「おあがりなさる」も載っています。
「のむ」は、「めしあがる」と「おのみなさる」でした。
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