明治4年の『ちゑのいとぐち』(3)
一昨日からご披露している明治4年の『ちゑのいとぐち』の第3弾です。
昨日の次のページです。
右ページは、「よく」と「よう」、「おもしろく」と「おもしろう」というウ音便と、最後のは「みごとに」の例文です。
左ページからは、助詞が続きます。最初は「と」です。
このページは、「をとこ と をんな」「うま と うし」という穏健な例です。
次のページはこうです。
右ページは挿絵付きで、
「よい こ と ほん」
「おほざけのみ と かんどくり」
「なまけもの と さみせん」です。
この本の読者対象は、まだひらがな・カタカナしか憶えていない小児と思われますので、そこに、大酒飲みと燗徳利というのは例文としていかがなものかと思います。(^_^)
そして、怠け者と三味線ですね。
プロで三味線を弾いている人は対象外なのでしょうが、今とは娯楽の内容が大きく異なる当時、三味線にうつつを抜かすというのは、道楽者(=怠け者)の1つの形だったのかもしれません。
左ページには、同じく助詞の「や」「て」「ば」が続きます。
「ば」には、「ほん を さらへ ば わすれ ぬ」があり、それと対応する例文として、次のページにかけて、「さらへ ね ば わすれる」が挙がっています。
次のページ。
「てならひ を すれ ば て が あがる」
「さけ を たくさんに のめ ば ばか に なる」とあります。
上達する意味で「手が上がる」というのは今はあまり一般的ではないかもしれませんね。「腕が上がる」でしょうか。
もう1つの例文は、「酒をたくさんに飲めばバカになる」ですねぇ。「バカになる」って。(^_^)
「にじうに よみきり」は感動詞です。
次のページ。
「にじうさん よみきり」は時制。
「ます」の現在、過去、未来の形が、「ます」「ました」「ましよう」として例文が挙がっています。
未来の仮名遣いは、「ませう」ではなくて「ましよう」ですね。興味を惹かれました。
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