明治4年の『ちゑのいとぐち』(4)
連日御披露している明治4年の『ちゑのいとぐち』、今日は第4弾です。
昨日の次には、「ゐる」と「あり」の例文が並んでいます。
「ゐる」は生物、「あり」は無生物ですが、「あり」の部の最後には「ひと」が登場します。それが下の画像の右ページです。
左ページには「にじうご よみきり」として「なり」が並んでいます。
最初は「ほん を せいだして よむ こ は よい こ なり」
次は、「あそびずき の こども は わるい こども なり」です。
子供は元来遊び好きだと思いますので、「悪い子供」と言われてはつらいです。
そのあと、牛や馬は人のために役に立つ良い動物だと述べられています。
次のページに続きます。
牛馬が様々な点で有用であると述べられ、牛の皮も役に立つと書かれています。
そして、右ページから左ページにかけて、
「なまけもの は よ の ため に ならぬ もの なり」
「なまけもの の かは は なに にも ならぬ もの なり」
ということで、怠け者は牛以下といわんばかりです。辛辣。
左ページの途中から始まる「にじうろく よみきり」以下は、ちょっと傾向が変わります。
それまでは言葉の使い方や書き方という国語的な内容が中心でしたが、この項からは、事柄の紹介になります。
最初は絹で、次は木綿と綿です。
身近な産業ということでしょうか。
次のページ。
左ページの「にじうはち よみきり」以下は、羊、ラクダ、象、虎という外国の動物が挿絵入りで紹介されています。
これまた、国語の学習というより、事項の紹介ですので、木に竹を接いだ状態が続きます。
この4種の動物はいずれも人間にとって有用であると書かれています。
ただ、最後の虎については、「とら は たけき けもの なり○とら は ひと を ころし これ を くらふ○とら は ひと の ため に ならぬ もの なり」とあります。
虎の記述は次のページに続きます。
「されども その かは は みごと にて せまけれ ども しきもの など に よし」とあって、皮の有用性が説かれています。
そして、その次。
「されば とら さへ あしき ひと より も よき ところ あり」とあります。
またまた辛辣です。
まさか、これを言おうとして、羊以下の4種の動物について記述したわけでもないと思いますが、可能性はありそうです。(^_^)
このあと、左ページには、「は」「ひ」「ふ」「へ」「ほ」と書いて、「わ」「い」「う」「え」「を」と読む語の例が挙がっています。
最後のは、「お」ではなくて「を」となっていますね。
これが最後のページです。
次のページは奥付です。
以上です。
4回に亙る連載にお付き合いくださり、ありがとうございました。
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>「あそびずき の こども は わるい こども なり」
確かにつらい言葉ですねえ…
ところで、「あそびすぎ の おとな」はどうなるんでしょうねえ。
投稿: | 2021年6月26日 (土) 09時28分
すみませんまたやってしまいました。
名前の入れ忘れです。
投稿: 三友亭主人 | 2021年6月26日 (土) 09時30分
三友亭主人さん
コメントをありがとうございます。
辛辣ですよねぇ。
子供は、真面目なだけではなくて、よく学び、よく遊び、でないと。
大人の場合は、「あそびずき」とは少しズレるかもしれませんが、
「なまけもの は よ の ため に ならぬ もの なり」
「なまけもの の かは は なに にも ならぬ もの なり」
というのが近いかもしれませんね。
明治4年という時代もありそうですね。
みんなで頑張って、少しでも早く西洋に追いつかねば、という風潮があったのでしょうね。
投稿: 玉村の源さん | 2021年6月26日 (土) 14時37分