鼻濁音符
昨日の「明治6年の『単語篇』(新潟の教科書)(7)蝸牛」に載せた「蝸牛」の画像のうちの中央の図は、明治7年2月刊行の『旁訓単語篇』(浦野鋭翁編)のものです。
この右の傍訓「クワギュウ」の「ギ」の濁音符が2点ではなく1点であることに、遅ればせながら気づきました。
一昨日載せた「明治6年の『単語篇』(新潟の教科書)(6)半濁音」に、日国の「鼻濁音」を引用しました。
その用例に『発音教授法』〔1901〕〈高橋龍雄〉が挙がっていて、そこに「近来加行文字に一点を加へてあらはす事あり。」とあります。
その実際の例を見たいものと思いましたが、この「クワギュウ」の「ギ」がまさにそれではないかと思いました。
そこで、この明治7年の『旁訓単語篇』を見てゆきました。どうも間違いないようです。例を示します。
1行目の最初の文字の左側の訓に「そでぐち」とあり、「で」は2点、「ぐ」は1点です。
2行目の「ぼたん」「てぶくろ」の「ぼ」「ぶ」は2点。
3行目の「かっぱ」の「ぱ」は半濁音符、複合語の「とんびがっぱ」「とうゆがっぱ」の「が」は1点。
4行目の「ひがさ」「あまがさ」「かうもりがさ」の「が」は1点です。
1行目の下から2行目にかけての「やなぎちゃ」「やなぎねずみ」の「ぎ」は1点、他の語の濁音はいずれも2点です。
最後の行の「ひるがほ」「あさがほ」の「が」は1点、他の濁音は2点です。
3行目から4行目にかけての「紫陽花」の訓は「あづさゐ」となっています。これはまた別の意味で興味深いです。
ここにとり上げた1点の鼻濁音符は、いずれも単語集の各語における例です。
通常の文章の中で鼻濁音を1点で示した例があるのかどうか、関心があります。
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