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2021年5月10日 (月)

明治6年の『単語篇』(新潟の教科書)(7)蝸牛

 明治6年の『単語篇』の第7弾です。
 もう飽きたと言われそう。そろそろおしまいです。(^_^;

 文部省の親本を元に多数の異版が作られた『単語篇』には、はじめから訓の付いたものもあります。
 「蝸牛」の部分を例に示します。
M06tango18
 右から順に、新潟版『単語篇』、明治7年2月刊行の『旁訓単語篇』(浦野鋭翁編)、明治8年5月刊行の『単語篇 音訓附』(奥川留吉編)です。

 新潟版については、5月7日に「明治6年の『単語篇』(新潟の教科書)(4)新潟方言2」でご紹介しましたように、『日本方言大辞典』によれば、新潟県には「だいろ」「だいろー」が、新潟県中頸城郡には「でーろ」があります。
 新潟版『単語篇』の「タイラウ」はこれらに相当するものと思われます。

 新潟版は「タイラウ」という語形ですが、これ、実際には「タイロー」(または「ダイロー」)という発音なのではないでしょうか。
 そうだとすれば、これは、実際の発音を歴史的仮名遣いに合わせて「タイラウ」という語形にしたのではないかと推測されます。
 これまた興味深い事例です。

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コメント

今回の発見(?)に伴う連続も論考、大変興味深く読ませていただいてます。
何となく…言葉に訛のある先生が自分では標準の発音をしているつもりで読んで聞かせていても、子供たちは訛った発音で聞き取ってゆく…そんなドラマのようなシーンが思い浮かびました。
天皇の名の読みで「天武」には「ム」とあって「文武」には「ブ」とあるのは「?」でした。

三友亭主人さん

 コメントをありがとうございます。

 本当に興味深いものを入手しました。
 ネットオークションで、興味を惹かれたものをあれこれ買ってきましたが、これは随所に興味深いものがあって、大当たりでした。(^_^)
 見ていけばまだまだ面白い箇所がありそうですが、このあたりでそろそろ。

 天皇の漢風諡号の読み、確かに不思議ですね。
 天武の武がムならば、読みはテンムでしょうが、文武の武がブだとすると、読みはブンブになってしまいますね。

先年入手した4巻物の武鑑(安政六年)の背に手書きで『天ノ沢 伊佐早甚左エ門』とあるものを所有しております。『甚』という字は『勘』にも見えます。内部には『穆清堂蔵書印』と読める朱印が捺してあります。御参考まで

多田乙山様

 コメントをありがとうございます。

 「明治6年の『単語篇』(新潟の教科書)(2)持ち主」
http://mahoroba3.cocolog-nifty.com/blog/2021/05/post-c73794.html

へのコメントですね。

 多田さんご所蔵の武鑑は、この『単語篇』の持ち主の一族が所持していたものかもしれませんね。

 面白いです。どうもありがとうございます。

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