明治27年の『尋常小学習字帖』
ネットオークションで入手しました。
尋常小学校2年生前期の教科書で、習字のお手本帖です。
最初のページ。
「日用文字」とあるように、日々の生活でよく出てくる文字を採り上げているように見えます。
奥付。
明治27年の発行で、版元は滋賀県の大津です。
最初の見開きページと、次の見開きページ。
いきなり変体仮名登場です。国定読本を初めとする他の教科書では、音節ごとに仮名字体は1つに統一されているはずですが、習字の場合はそうではないのですね。
平仮名の「な」が両方に出てきますが、字体が異なります。あえて変えたのでしょう。
このような見開きページ2組。
これらでも、「は」と「に」があえて異なる字体で書かれています。
「赤き花/青き草」。
こちらも「き」が異なります。
「目は~」と「耳は~」。
こちらも同様に「は」と「を」。
このような感じでページが構成されています。
変体仮名の習得も大事な要素だったのでしょう。
そして、巻末はこういうページから始まります。
体積と重さですね。尺貫法。
その先はこのように続きます。
長さ、貨幣、十二支、左右前後ですね。
ずいぶん画数の多い文字もあります。2年生には難しすぎるように思いますが、尋常小学校だけで社会に出る子供も多かったでしょうから、卒業までにこういった文字を書けるようになることが必要だったのでしょうね。
そうすると、1年生の習字帖に載っている漢字は、一二三四五六七八九十百千万、大中小、上下、年月日、木火土金水、道府県市町村、などということになりましょうか。
やはり同時代資料は楽しいです。
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美しい文字ですねえ。
見惚れてしまいます。
私もこれで習字の練習をすれば、少しはましな字になるでしょうか。笑
投稿: 朝倉山のオニ | 2021年3月 9日 (火) 23時20分
朝倉山のオニさん
コメントをありがとうございます。
本当に、のびのびとした良い字ですよね。
私は字が下手で。
あ、中1の時の担任が書道の先生で、保護者との面談の折に、母は、「字は下手ですねぇ」と言われたそうです。(^_^;
「字は」というからには、その前に何か誉めてくれたのだと思いますけど、そちらの方はすっかり忘れてしまって、「字は下手ですねぇ」の方だけ、良く憶えています。
別に、恨んでいるとか、傷ついたとか、そういうことは全くなく、「確かにそうだなぁ」という感じで。(^_^)
しかし、このお手本で勉強していた子供たち、まだ2年生なのに変体仮名やら難しい漢字やらを勉強しなくてはならず、ずいぶん大変だったことでしょうね。
このお手本帖にたくさん墨が付いていることからもそれが伺えます。
投稿: 玉村の源さん | 2021年3月10日 (水) 00時17分
小學校で假名が一音一字體に決められたのは明治33年に改正された小學校令施行規則第16條によるものです。決められた字體以外の假名は變體假名といふ奇妙な呼び方をされるやうになりました。
投稿: 筒井茂徳 | 2021年3月10日 (水) 23時36分
筒井先生
ご教示ありがとうございます。
小学校で、仮名が1音1字体に定められたのは明治33年でしたか。ではこの時点ではまだそうではないのですね。
ありがとうございます。どうも不勉強でいけません。
調べれば良かったと反省しています。
投稿: 玉村の源さん | 2021年3月11日 (木) 00時00分