明治10年の『新撰年代記』(7)外国の都市名
度々載せている明治10年『新撰年代記』の第7弾です。
前回ご紹介した(6)では、外国の国名を取り上げました。
それぞれの国の項目の中に「都府」というのがあります。都市のことですね。
各国の主要都市が漢字で列挙されています。1国につき、1~3都市です。
これまたリストアップしてみました。
倫敦、ロンドン/イギリス
哥拉斯哥、グラスゴー/イギリス
都伯林、ダブリン/イギリス
百爾霊、ベルリン/プロシア
斯徳哥爾摩、ストツクホルム/スエーデン
其利斯的那、キリスチアナ/ベルギー
不?捨拉斯、フリムウセルス/ベルギー
力士門、リスボン/ポルトガル
加義羅、カイロー/エジプト
里約熱内霊、リヲデジヤネロ/ブラジル
北京、ペキン/シナ
南京、ナンキン/シナ
定海、シヤャンハイ/シナ
巴黎斯、パリス/フランス
馬耳塞里亜、マルセール/フランス
里昂、リヨン/フランス
維也納、ウインナ/オーストリア
可品哈肯、コツペンヘーケン/デンマーク
伯爾尼、ベルジ/スイス
雅典、アデンス/ギリシャ
華盛頓、ワシントン/アメリカ合衆国
紐句爾、ニユヨルク/アメリカ合衆国
費拉地費、フイラトルフイヤ/アメリカ合衆国
散地牙峩、サンチカコ/チリ
徳墨蘭、テヘラン/ペルシャ
彼得羅堡、セントピートルスブルク/ロシア
墨斯科、モスコー/ロシア
仏羅稜薩、フロレンス/イタリア
羅馬、(ルビなし)/イタリア
海牙、ベーク/オランダ
安時堤、アムステルダム/オランダ
馬徳里地、マトリツト/イスパニア
墨西哥、メキシコ/メキシコ
利馬、リマ/ペルー
全部で34都市です。/のあとに国名を記しました。
こちらにも普段は使わないような文字が結構出てきます。
昨日のブログに書いた、集中講義を履修している中国からの留学生に聞いてみました。
以下の都市名が今も同じ表記だそうです。
倫敦(ロンドン)、都伯林(ダブリン)、斯徳哥爾摩(ストックホルム)、加義羅(カイロ)、里約熱内霊(リオデジャネイロ)、
里昂(リヨン)、維也納(ウイン)、雅典(アテネ)、華盛頓(ワシントン)、彼得羅堡(セントペテルスブルク)、
墨斯科(モスコー)、羅馬(ローマ)、墨西哥(メキシコ)
この明治10年の年代記では、都市のことを「都府」と称しています。
以前、当ブログで『万国地誌略』という資料をご紹介しました。これまた明治10年の刊行です。
そこにこういうページがあります。
アジアの地図です。右上隅に小さな○印があり、「都府又港」とあります。
明治10年の頃、都市のことは「都府」と呼ぶことが一般的だったのかもしれません。
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