生きていた油坂池
「奈良名勝案内図」という地図の異版を集めています。
今のところ、大正8年版から昭和8年版まで集まりました。
最近、昭和18年版を入手しました。
この版は戦争中のものですので、紙質はあまり良くありません。
別の版と比較すると、なかなか興味深いですが、国鉄(当時は「省線」でしょうか)奈良駅の北東に位置する油坂池に注目しました。
昭和3年1月版。
同年8月版。
1月版と比べて、8月版では、油坂池の西側が小さくなっています。埋め立てられたのでしょうか。
他には、東の開化天皇陵の堀の形が異なります。
昭和5年版。
油坂池が消えてしまいました。
埋め立てがさらに進んで、完全に消滅してしまったのかと思いました。
そして、それを、年代不明の魚佐旅館のパンフレットの年代推定にも使いました。
ところが、その後、「古都の焼け門」さんからコメントを頂き、空中写真によれば油坂池は昭和42年までは存在している旨、ご教示頂きました。ありがたいことです。
地図とは整合しませんが、空中写真は確かです。
そこで止まっていたのですが、新たに入手した昭和18年の地図にはこうありました。
油坂池、復活していますね。昭和3年8月版と同じような形です。
一度埋め立てたものをまた元通りに掘ったとも考えにくいです。
とすると、昭和5年版に油坂池がないのは、地図上で間違って消してしまったということですかね。
なぜ間違ったのかも含めて、ナゾのままです。
南の三條池は、道路整備のために西側が削られてしまっていますね。
刊行年の異なる地図を比較するのは楽しいのですが、地図が正しくない場合もあるということになると、なかなか油断がなりません。
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