北野本日本書紀が……
渋川の家の片づけの最中に見つかった古びた紙の手提げの中に、このような紙袋がありました。
この紙袋以外は雑々としたものです。
中から出てきたのは、これ。
北野本日本書紀の巻二十七です。
分不相応に北野本日本書紀の複製を架蔵(死蔵)しています。そのうちの1冊です。
全く記憶にありませんが、巻二十七だけを持ち出して、大学でどこかのコピーを取ったのかもしれません。
使ったものは元のところに戻すというのが鉄則ですよね。それを守らないと物が行方不明になります。
危ないところでした。片づけに際して、1つ1つ見てゆかないと、大事なものが無くなってしまいます。
片づけにあまり日は掛けたくありませんが、それよりも慎重さを優先させないと。
いくら複製とはいえ、精巧で、発行部数も限られた複製は、文化財と考えないといけませんね。
巻二十七をなぜ持ち出したのか不明です。
天智紀ですね。近江遷都や蒲生野遊猟などが目的かもしれません。
でも、単に本文ならば活字本で足りそうです。
わざわざ北野本を、ということになると、目的は古訓でしょうか。
近江遷都の記事は次の通りです。
「都を近江に遷す。是の時に、天下の百姓、都遷すことを願はずして、諷(そ)へ諫(あざむ)く者多し。
童謡(わざうた)亦衆(おほ)し。日日夜夜(ひるよる)、失火の処多し。」(日本書紀 天智六・三・一九)
「失火」に、北野本にはこのような訓が付いています。
本文には虫損がありますが、訓は「ミツナカレ」(水流れ)です。
「火(ひ)」という語を使いたくなくて、それを避けるべく、「水(みづ)」と言ったのでしょう。
最近、水害が多く、水害も困ったことですが、当時は、火を特に怖れたのでしょうね。
目的はここかと思いますが、全く記憶にありません。(^_^;
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