踊り字と改行
先ごろ、ツイッターに「#日本語史研究上有名な用例100」というハッシュタグが立ったので、面白がって、いくつか書き込みました。
その1つが以下のものです。
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古事記
「内者富良々々、外者須々夫々」(上・大国主)。
「ほらほら」と「すぶすぶ」とで、踊り字の使い方が異なる。
両様あったのか、あるいは一方は誤写か。
「塩許々袁々呂々迩」「我御心須々賀々斯」「登々富々斯」などを見ると、「富良々々」が誤写か。
#日本語史研究上有名な用例100
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「塩許々袁々呂々迩」は冒頭付近の国生みの段に出てきますけど、現代だと、これでは「ここををろろ」になってしまいます。
大国主の根堅州国訪問の部分では、現代と同じ形式の「ほらほら型」と、「こをろこをろ」と同型の「すぶすぶ型」とが連続して出てきます。
古事記全体では「すぶすぶ型」が多いので、こちらが標準形で、「ほらほら型」は誤写の可能性が高そうですが、それにしても、連続した部分ですので、果して誤写するだろうかと不思議に思っていました。
そうしたところ、私のツイートが蜂矢真郷先生のお目に止まり、蜂矢先生からメールを頂きました。
「富良々々」は、真福寺本では「富良」が行末で、そこで改行されているというご教示でした。
「何と!」です。私は真福寺本を見ていませんでした。
万葉集だったら校本を見たと思うのですが、古事記は日頃、写本や校本をあまり見ていません。大いに反省しました。
真福寺本では、「富々/良々」(/は改行。以下同)という改行になるのを嫌って、「富良/々々」としている、ということになります。
現代とは逆ですね。現代では、むしろ「々」は行頭に来ないように禁則処理の対象になりそうです。
しかし、古事記では「富々/良々」などという形で改行がなされると、「ほほらら」と訓まれる怖れが生じてしまうのでしょうか。
大いに興味を持ちました。
古事記では「ほらほら型」がもう1例あります。応神記の47番の歌謡の末尾の「佐夜々々」です。こちらは真福寺本では行中でした。
とすると、こちらの例では、真福寺本の親本か、それ以前のどこかの段階で「佐夜/々々」と書かれた本があったのかもしれません。
おもしろいです。
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>ツイッターに「#日本語史研究上有名な用例100」というハッシュタグが立った・・・
これ、面白いですよね。見ていて勉強になるし、それぞれの方ごとになにに意識が向いているのかもわかるようで・・・
「内者富良々々、外者須々夫々」は、子どもの頃に読んだ、子供向けに訳された古事記でも「うちはほらほら、そとはすぶすぶ」とそのまま出ていたので、その言葉の調子が面白くてすぐに覚えました。今でも何かの調子に「うちはほらほら・・・」とつぶやくことがあります。あとは「なりなりてなり余れる・・・」(これは大人になってからですけど)。
それにしても・・・「改行」ですか。イロイロと昔の人も工夫していたんですねえ。
投稿: | 2020年9月25日 (金) 06時27分
スミマセン、名前を入れるの忘れていました。
投稿: 三友亭主人 | 2020年9月25日 (金) 06時31分
三友亭主人さん
コメントをありがとうございます。
面白いハッシュタグですよね。それぞれの方の専門もあらわれますよね。
「内はほらほら、外はすぶすぶ」って、神話が文字化される前の詞章なのでしょうね。
こういうの、漢文ではどうにもなりませんね。万葉仮名のお陰で、形として残せたのですよね。
真福寺本を見なかったのは誠に迂闊でした。反省しています。
改行が絡んでいたとは、ほんと油断なりません。(^_^)
投稿: 玉村の源さん | 2020年9月25日 (金) 09時39分