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2020年5月18日 (月)

「大和詞」4種

 昨年の3月に、「寛政11年の『増補 大和詞』」という記事を載せました。
Yamatokotoba01

 『増補 大和詞』の内容はこのようなものです。
Yamatokotoba03
 語頭のいろは順になっていて、「一いもせ とは ふうふをいふ」などという形で記述されています。
 江戸時代における古典語を、江戸時代の言葉で説明したものです。
 江戸時代の人が古典を読むための古語辞典といった用途で作られたのかと思います。

 今回、同種のもの4種を一括して入手しました。
Yamatokotoba04

 外題と刊年は以下の通りです。
 1.『新板増補大和詞大全 完』延宝九年(1681)
 2.『やまと詞大成 全』享保十一年(1726)
 3.『大和詞集』宝暦六年(1756)
 4.『新増大和詞大成 全』享保十一年元版/寛政四年再刻(1792)

 それぞれに、巻頭に前書きがあったりなかったり、同じく巻頭付近に挿絵があったりなかったりします。
 「い」の部の冒頭は以下の通りです。
Yamatokotoba05
 順序は、右上が1.左上が2.右下が3.左下が4.です。
 3.は明らかに異なりますが、1.2.4.は極めてよく似ています。内容は同一ですし、文字も同じように見えます。
 それぞれのページの左下の下段うしろから2行目の「十六日の」の部分を並べてみます。
Yamatokotoba06
 どうでしょう。同じようでもあり、仔細に比較すると微妙に違うようでもあり……。微妙です。

 厚さは異なります。
Yamatokotoba07

 内容を仔細に比較してみればいいんですけどね。

 本文を翻字してみたいと思いながら、もう1年2ヶ月も経ってしまいました。
 それも果たせないうちに異本が4種も。(^_^)
 あ、去年ご披露したのは寛政十一年(1799)刊で、今回の4種のどれよりも新しく、上の「い」の部冒頭の比較に見るように、明らかに他の4種とは異なります。

 今回の4種をパラパラと見ていたら、「ちはやふる とは  久しき事を云」という項目がありました。4種全く同一です。
 現代では、この枕詞は「勢い激しく荒々しい」の意で、「神」や「氏」にかかるとされます。
 『大和詞』で「久しき事を云」としているのは、あるいは、「ちはやぶる神世も聞かず龍田川から紅に水くくるとは」の歌が有名なので、この歌を念頭に、「遠く久しい神世」と理解してのことでしょうかね。

 あれこれ興味深いです。

【画像追加】
 「源さんの後輩」さんから頂いたコメントにより、画像を1枚追加します。
 それぞれのページの左下の下段うしろから4行目の「木て」の部分です。
Yamatokotoba08

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コメント

『大和詞』やその関係分野は専門外なので的はずれかもしれませんがご容赦ください。近代の活字印刷の異版をよく見るので興味を持ちました。
1が最も古い刊年とのことですが、「六」や「の」の第1画目の角の箇所が欠けていることから、この刷りは版木がよく使われて欠けがあるのではないかと思います。
2と4は、1が元かどうかは定かではありませんが、元となる紙(?)を版木の上に置いて彫り、新たに版を起こしたものではないかと思います。
その場合、文字の間隔や行の間隔は元の版とほとんど同じに出来上がります。
2と4は「六」の3画目が1と異なります。また「十六日」の2行前の「木」の下の「ニ」(でしょうか?)の2つの画の続き具合や画の反り具合も異なります。
従って2も4も、1かそれに類する版を真似て版を起こしたものではないかと思いました。
勝手な推理が当たっているといいですが。

源さんの後輩さん

 コメントをありがとうございます。
 頂いたコメントにご指摘のあった「木ニて」の部分の画像を追加して載せました。
 確かに、仔細に比べるとそれぞれ異なりますね。
 ご指摘の通りと存じます。
 どうもありがとうございました。
 しかし、あの小さい画像でよく分かりましたね。私はとてもダメです。(^_^;

以前書いた記事
https://ohomiwa.wordpress.com/2019/11/09/%e3%80%8c%e5%a4%a7%e5%92%8c%e8%a8%80%e8%91%89%e3%80%8d%ef%bd%a5%ef%bd%a5%ef%bd%a5%e6%b1%9f%e6%88%b8%e6%99%82%e4%bb%a3%e3%81%ae%e9%9a%a0%e3%82%8c%e3%81%9f%e3%83%ad%e3%83%b3%e3%82%b0%e3%82%bb%e3%83%a9/

や、その前にあった源さんの記事を読むまで、この「大和言葉」というのは私に中では、あくまで大和固有の言葉という意味だけであって、「雅な古語」を集めた書物であるなんてことは全く知りませんでしたから、本当にこの年になっても知らないことばかりです。

上の記事で紹介した書物の方はどうやら売り出されているみたいです。

https://honto.jp/netstore/pd-book_30001812.html

三友亭主人さん

 コメントをありがとうございました。

 ご紹介のご本、以前は、アマゾンを覗いて「まだ扱っていないなぁ」ということで、そのままになってしまっていたのですが、刊行されたのですね。早速注文しました。楽しみです。
 お知らせ、ありがとうございました。

 私も「やまとことば」という書物があることは去年まで全く知りませんでした。そして、「やまとことば」に「雅語」という意味があることも。

 日国には次のようにありました。用例は、出典名のみを記し、用例そのものは割愛しました。

 >やまと‐ことば 【大和言葉・大和詞】〔名〕
  >(1)外国語に対して、日本の国語である日本語。その語彙には漢語などの外来の要素も含まれる。
  > *信心録(ヒイデスの導師)〔1592〕

  >(2)「わご(和語)(2)」に同じ。
  > *愚管抄〔1220〕、*ロドリゲス日本大文典〔1604~08〕

  >(3)和歌。やまとうた。また、主として和歌に用いられる雅語。
  > *源氏物語〔1001~14頃〕、*撰集抄〔1250頃〕、*十六夜日記〔1279~82頃〕、*菟玖波集〔1356〕、*浄瑠璃・浄瑠璃十二段〔1615~44頃〕、*松山集〔江戸中〕

  >(4)女房詞。
  > *女重宝記(元祿五年)〔1692〕、*滑稽本・浮世風呂〔1809~13〕

  >補注
  >(4)で例とした「女重宝記(元祿五年)‐五・九」には「新やまと言葉(コトバ)并に物のから名」の項があって、「一、あきつ嶋とは 日本のな也。一、日のもととはわがてうの事也。一、あづまとはひがしの国也〈略〉一、むばたまとは夜をいふ」と合計一八〇余りの語句を取り上げて説明しているが、これらは(4)の挙例一之巻の「大和詞」とは異なり、多くは歌語で、(3)に当たる。

 この「補注」が参考になりそうですね。

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