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2020年4月14日 (火)

『日本名所記』

 このようなものを入手しました。
Nihonmeishoki01
 書名は「日本名所記 上」とあります。
 1冊本で、冊の途中に「中編」「下編」とあり、「上」「中編」は各4丁、「下編」は3丁で、三編合冊です。

 最終丁の裏は次の通りです。
Nihonmeishoki06
 国別に五畿七道順に並んでいますが、最終丁の最後が豊後ですので、このあとさらに肥前、肥後、日向、大隅、薩摩、壱岐、対馬を載せる分がもう1丁あったのが脱落したものと思います。
 上方と下方の2ヶ所をこよりで綴じてありますが、他に綴じ穴がありますので、この2ヶ所の綴じは下綴じで、本来は表紙が付いていたのでしょう。

 最終丁や表紙が脱落しているために刊記がなく、刊年や出版者は不明です。
 国文学研究資料館の「日本古典籍総合目録データベース」を検索してみました。同名のものが複数ありましたが、いずれも刊年不明でした。

 中身の冒頭はこんな感じです。上下左右の余白は省略し、枠内のみ示します。
Nihonmeishoki02
 国名の次に、「城州」「和州」などという国の別名と郡数、国の総石高が記載されています。
 その先は、「一ノ宮」「郡」「城」「陣屋」「宮」「寺」「名所」の各項目ごとに記載されています。
 ふりがなが付いているのがありがたいです。

 さすがに山城は寺や名所が多いですね。
 分量が一番多いのは山城と陸奥で、ともに10行あります。
 陸奥は郡数が多いことが大きな理由です。広いですから。

 「一ノ宮」については、「加茂下上大明神 上は雷神 下は天神 愛宕郡」「三輪大明神 大物主神 城上郡」のように、神社名、祭神、所在郡が書かれています。

 大和国の郡名の読みを見ると、添上・添下、城上・城下は「そふのかみ(しも)」、「しきのかみ(しも)」と訓読みですが、葛城葛上の誤りでした)・葛下は「かつじやう・かつげ」と音読みです。

 次のページ。
Nihonmeishoki03
 大和の寺は、東大寺、興福寺、法隆寺、西大寺、当麻寺が挙がっています。薬師寺、唐招提寺、飛鳥寺、岡寺、橘寺などは載っていません。どこが載っていて、どこが載っていないのか、なかなか興味あります。

 大和の名所に、畝火山と天香久山は載っていますが、耳成山はありません。大和三山という括りは意識されていなかったのでしょうかね。

 信濃、上野のページ。
Nihonmeishoki04
 上野は4行しかありません。ちょっと寂しい。
 名所の部に佐野の舟橋がありませんが、次ページの下野国に載っていました。今も栃木県には佐野市があります。これと紛れたのでしょうね。

 長野県の2行目の下の方から「城」の部が始まり、松代、上田、飯田、松本、小諸、高嶋、飯山と7城が並んでいますが、この国の再末尾にまた「城」があって、高遠が載っています。高遠城を漏らしてしまい、末尾に補ったのでしょうかね。それならばなかなかおおらかです。

 このページの上欄外にこのような書き込みがあります。
Nihonmeishoki05
 「一万五千石 牧野周防守」「十万石 真田弾正大弼」などとあります。藩の石高と藩主名ですね。この本の持ち主が書き込んだのでしょう。こういった書き込みは他のページにもちらほら見えます。それらを丹念に見て行けば、これらの書き込みの時期の範囲が決まり、この本の刊年の下限が推定できましょう。
 その考証をしてみたい気はしますが、するかどうか。(^_^; 最近どうも怠け者になりました。

 いつも行く近所のスーパー、今日は少し混んでいました。理由は分かりません。特売でもないし。
 このところ、3000円以上買うと200ポイント貰えるというクーポンも出ていません。自粛しているのでしょう。
 あれがないと、暗算しながら買い物をしなくても良いので楽です。

 久しく品切れ気味だったトイレットペーパーとティッシュペーパーがそこそこ復活していました。マスクは相変わらずありません。

 運動不足なので、買い物のあと、かなり大回りをして帰りました。通ったことのない道も通って。
 行き交う人もあまりいませんでした。今後も少し歩くようにしたいと思います。
 渋川の家に行きたい気がします。浜木綿の水やりと、郵便物の取り込みです。でも、もうしばらく我慢ですね。浜木綿、何とか無事でいて欲しいです。

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コメント

>添上・添下、城上・城下は・・・・葛城・葛下は「かつじやう・かつげ」と音読み

面白いですね。ちなみに現在のところの読みは、知ってる限りで「添上」(そえかみ)、「城下」(しきげ 「式下中学校」というのがあります)、「葛城」(かつらぎ  これはご存知の通り)、葛上(かつじょう 「葛上中学校」というのがあります)というところでしょうか。

三友亭主人さん

 コメントをありがとうございます。

 元々が表記を無理やり2字にしたことで生じた表記と読みとの齟齬ですけど、読みが時代とともにどのように変遷していったのか、興味があります。

 すみません。本文中に「葛城」と書いたのは「葛上」の誤りでした。「葛上」と入力しようと思って「かつじょう」と打ったら、「葛城」と変換され、それを見落としてしまいました。

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