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2020年3月20日 (金)

大正15年の「大傑作双六」(2)

 一昨日、昨日と取り上げている「大傑作双六」。
 相変わらず「よく分からないなぁ」というレベルで留まっています。

 当時としても、広く知られていたのは海幸山幸と水戸黄門くらいでしょうから、他のあまり有名でない話を集めて双六を作ろうとは、普通思わないのではないでしょうか。遊ぶ方も、よく知らない内容の双六で遊んでも楽しくないと思います。

 ひょっとしたら、これらの話は、この双六を付録とした雑誌『少年少女美談』に掲載されたものなのかもしれないと思いました。
 創刊以来の掲載された話の中で、読者に人気のあった話を集めて(もしかしたら人気投票もして)、それで構成された双六ではないのかと考えました。そういうことなら、「大傑作」という名も分かる気がします。
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 さて、この双六の「上り」は「御馳走の国」です。紙面全体の面積の4割近くを占めていましょうか。ちょっと大きすぎという気もします。(^_^)
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 左側に建物があって、入口におねえさんが2人います。上にはローマ字で「GOCHISONOKUNI」とあります。ヘボン式。
 日本におけるローマ字の表記史は全く知りませんので、そういう身には新鮮な気がしました。

 建物の脇の木の左側にはりんごとバナナが実っています。右側にはスイカが中を見せて。幹に巻き付いているのはいちごのようです。夢のような木。(^_^)

 袋を背負った男の人の足もと右側。
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 ビンが実っています。紅茶かコーヒーのカップも。

 男の人の左側には、丼物、缶詰、寿司が。魚も顔を出しています。この魚がお寿司になってしまうのでしょうか。(^_^;
T15kessaku08

 そのさらに左側。
T15kessaku10
 串団子が咲いているというのが愉快です。

 これらを見ると、「御馳走」と言っても、果物が多いですね。あとは菓子類と魚。
 丼物の中身が不明ですけど、全体的に肉類がなさげです。
 大正15年の頃、日本ではまだあまり肉を食べていなかった、などという結論は短絡過ぎましょうね。(^_^)

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コメント

 面白い双六ですね。『大傑作』の意味は、ご推察で合っているような気がします。今だったら『名作』とでもするところでしょうか。

 近代の童話については詳しくないのですが、「トム物語」は「トム・ソーヤーの冒険」のような気がします。墓地が舞台の話があったような。

 「天上の桃」は、『聊斎志異』の「偸桃」かもしれません。子どもが天上世界の桃を取りに行く話。

 「西河津村」は、伊豆の河津にカッパ伝説があったという記憶があります。ただ、女の子が出てきたかはあいまいです。

 「魔法の巨龍」は、かなり当てずっぽうですが、「美女と野獣」の異伝では?と思いました。

朝倉山のオニさん

 コメントをありがとうございます。

 「大傑作」の意味、合っていそうですか。ご賛同頂き、嬉しいです。
 なるほど。今ならば「『少年少女美談』名作選双六」という感じでしょうかね。

 この雑誌のバックナンバーを見るのが早道かと思い、国立国会図書館のデジタルコレクションを検索してみたのですが、この雑誌はヒットしませんでした。残念です。

 4項目もご教示頂き、ありがとうございます。

 『トムソーヤの冒険』と『ハックルベリー』は子供の頃に読んだ覚えがあるのですが、中身はすっかり忘れてしまって。(^_^; 墓地の話があるのでしたら、可能性が高そうですね。

 「天上の桃」の絵は確かに中国のようですね。『聊斎志異』ですか。

 地名としては、上河津村、下河津村は実在したようなのですが、西河津村が見つからず、お手上げになっていました。伊豆の河津に河童伝説があったとすると、これまた有力ですね。

 「魔法の巨龍」が「美女と野獣」の異伝とは思いもよりませんでした。絵の龍、悲しそうな顔をしていますね。

 あれこれありがとうございました。特に、「トム物語」と「天上の桃」は拡大した絵を載せませんでしたので、小さな絵でご覧になりにくかったことと思います。申し訳ありません。

 ありがとうございました。

確かになかなかみつかりませんでした。

該当の雑誌は
『美談 : 少年少女』ヨウネン社, 1922-
https://ci.nii.ac.jp/ncid/AA11724416
ではないかと思われます。
ヨウネン社は双六の写真の上部にも入っています。

この雑誌は国会図書館のデジタルコレクションにはありませんでしたが
ヨウネン社で検索したところ、この出版社が出している子供向け図書が出てきました。
『支那の童話』https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1168376
には「天上の桃」という作品が含まれています。

あまり決め手になる情報がなく、すみません。
でも、当時、これを見て楽しんでいた子供たちのことを思うと微笑ましいですね。

源さんの後輩さん

 ご教示ありがとうございます。

 まず、雑誌については間違いありません。
 ヨウネン社という出版社も合っていますし、大正11年創刊という年も合っています。
 近代文学館にしか所蔵されていないのですね。その近代文学館にも一部しかないようで。
 昨夜、「日本の古本屋」も当たってみたのですが、そこでも1冊ずつ数店でした。
 あまり発行部数が多くなかったのかもしれませんね。
 この出版社、所在地は本郷ですね。この雑誌創刊の翌年に関東大震災ですね。何号か休刊せざるを得なかったかもしれませんね。

 同社発行の『支那の童話』をご教示頂きましてありがとうございます。
 昭和2年の発行ですね。
 「天上の桃」という題名が同じですので、たぶんこの話と思います。
 昨日の私の推測が正しければ、この話は最初に『少年少女美談』に掲載され、それが双六の題材にも選ばれ、また『支那の童話』にも再録された、という経緯になりましょうか。

 どうもありがとうございました。

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