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2020年2月16日 (日)

チコちゃん「湯船」

 NHKの「チコちゃんに叱られる」が好きで、毎週見ています。
 こんなものも買ってしまったりして。(^_^)
Chikosausage

 前回のチコちゃんで、浴槽をなぜ「湯船」というのか? という問題が出ました。
 正解は、江戸時代の浴槽を設けた船に由来するとのことでした。
 「そうかなぁ?」とは思いました。記紀の八岐大蛇の段で、スサノヲが「さかふね」に酒を盛らせるという記述があります。
 酒を盛る容器が「さかふね」なら、湯を盛る容器が「ゆぶね」で何の不思議もありません。
 ただ、そう思っただけで、そのままにしてしまいました。

 そうしたら、ツイッターに早速「おかしい」という指摘が出ていました。
 「ゆぶね」の例は倭名抄にあるとのことです。
 確かにありました。(^_^)

 また安易に日国を示します。

ゆ‐ぶね 【湯船・湯槽】〔名〕
 (1)入浴用の湯をたたえておき、人がその中にはいる大きな箱・桶。浴槽。湯の船。
  *十巻本和名類聚抄〔934頃〕六「浴斛 楊氏漢語抄云浴斛〈由布禰 下胡谷反〉」
  *栄花物語〔1028~92頃〕玉のうてな「ある所を見ればゆぶねの湯わかして、僧二三十人浴(あ)みののしる」
  *浮世草子・けいせい伝受紙子〔1710〕三・五「五間にあまる湯舟(ユブネ)に掛樋滝をおとし」
  *俳諧・続一夜松前集〔1785〕「あつき日も秋はさすがに草の月〈梧泉〉 湯ぶねのけぶり霧にまぎるる〈文母〉」

 (2)江戸時代、船の出入りの多い港にあった風呂場を設けた小船で、入港した廻船や渡海船に漕ぎつけ、船乗りや旅客から金をとって入浴させた移動式の風呂屋。風呂屋船。
  *御触書寛保集成‐三六・享保六年〔1721〕九月「向後荷物瀬取候茶船并湯船水船之外、一切諸廻船之辺え乗り参間敷候」
  *和漢船用集〔1766〕五・江湖川船之部「湯(ユ)船 武州江戸にあり。舟に浴室を居(すゑ)、湯銭を取て浴せしむる風呂屋舟也」
  *随筆・骨董集〔1813〕上・一五「行水船よりおもひつきて、居風呂船をこしらへ、居風呂船より今の湯船(ユブネ)といふものいできしなるべし」

 ついでに、同じく日国から「ふね」を。

ふね 【船・舟・槽】
【一】〔名〕
 (1)水の上に浮かべ、人や荷物をのせて水上を渡航する交通機関。ふつう木材または鋼で中を空洞に造るが、近年小型船は合成樹脂とガラス繊維とで造るものが多い。
  *古事記〔712〕上(道祥本訓)「此の子は葦(あし)の舩(フネ)に入れて流去(なかしや)る」
  *万葉集〔8C後〕一七・四〇二七「香島より熊来を指して漕ぐ布禰(フネ)の楫(かぢ)とる間なく都し思ほゆ〈大伴家持〉」
  *土左日記〔935頃〕承平四年一二月二〇日「すむたちよりいでて、ふねにのるべきところへわたる」

 (2)(1)のように内部を空洞にした箱形の容器。
  (イ)水・湯・酒など液体を入れる容器。湯ぶね・洗濯桶など。槽(そう)。水槽。
   *古事記〔712〕上(道祥本訓)「其の佐受岐毎に酒(さか)舩(フネ)を置きて船毎に其の八塩折(やしほり)の酒を盛(い)れて」
   *宇津保物語〔970~999頃〕吹上上「〓(きさ)の木に、鉄の脚つけたるふね四つたて並めて、皆、品々なる飯炊ぎ入れたり」
   *とはずがたり〔14C前〕一「まへなるふねに入かけひの水も、こほりとぢつつ」
   *蔭凉軒日録‐文正元年〔1466〕閏二月一七日「所〓浴之船、南北五尺五寸、東西四尺五寸」
   *鱧の皮〔1914〕〈上司小剣〉二「あのまむしが五つ上ると金太に魚槽(フネ)を見にやっとくなはれ」
  (ロ)清酒・醤油などを搾りあげるのに用いる箱。内側面に簀竹を張り詰め、底には凹線をひいたもの。酒槽(さかぶね)。
  (ハ)馬のかいば桶。馬槽。
   *二十巻本和名類聚抄〔934頃〕一五「槽 唐韻云槽〈音曹 和名与舟同〉馬槽也」
   *大和物語〔947~957頃〕一五七「ただのこりたるものは、馬ぶねのみなむありける。それを、この男の従者、真楫(まかぢ)といひけるして、このふねをさへとりにおこせたり」
   (以下は用例省略)
  (ニ)棺桶。ひつぎ。
  (ホ)魚市場や魚屋で、魚や貝などを入れる底の浅い木箱。また、刺身や貝のむき身などを入れて売る底の浅い容器。
  (ヘ)菓子を入れる箱。〔菓子大全{1840}〕
  (ト)米や雑穀を入れる桶。米槽(こめぶね)。
  (チ)盆栽などを安置する容器。

 (3)宝船のこと。

 (4)(「ひきふね(引船)」の略)芝居の正面桟敷のこと。

 (5)紋所の名。(1)の形を図案化したもの。

 (6)「ふなまんじゅう(船饅頭)」に同じ。

 (7)「ひきふねじょろう(引舟女郎)」の略。

【二】〔接尾〕箱形の容器に入れたものを数えるのに用いる。

 明瞭ですね。「ふね」の【一】の(2)で良いと思います。

 その昔、わが家では、毎年年末にお米屋さんがのし餅を配達してくれました。それを切って切り餅にして(切るのは私)、それを木の容器に保存しました。その容器を「もちぶね」と呼んでいました。

 あの番組では、「諸説あります」という断り書きを付けていますけど、断れば良いというわけではないでしょう。
 ツイッターでの指摘に対し、「楽しんで見ているのだから、そんなケチを付けなくても」というコメントが付いたのには驚きました。
 それはおかしい。

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コメント

学生の頃、よく安易に日国や時代別に頼るなと怒られましたが、
逆に日国も見てないのかとも怒られました。

今回のチコちゃんの件をネットで見ていて、ふと、そんなことを思い出しました。

三友亭主人さん

 コメントをありがとうございます。
 そうですね。今回の件、ぴったりですよね。

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