「道中記にみる吉田・二川の名所」
このようなものを入手しました。
道中記に関心があるのと、たった1度ですけど二川宿に行ったことがあるのとで、興味を覚えました。
萩さんゆかりの地でもあります。
発行者は豊橋市二川宿本陣資料館でした。
平成12年にこの資料館が開催した展覧会の図録です。
最後のページには展示目録があります。
全49点という充実した展覧会です。
展示品の8割方は本陣資料館の所蔵で、残りは豊橋市中央図書館や豊橋市美術博物館の所蔵です。
私の持っている道中記は見当たりませんでした。
私の収集品、道中記ではなく定宿帳と呼ぶべきものかもしれません。
さて、この図録、裏表紙の隅に蔵書印が捺してありました。
ハンコの文字は難しいです。(^_^;
全部で8文字。
7文字目と8文字目は「館蔵」と読めます。2字目と3文字目は「居関」でしょう。「関」の下が「所」とすると「関所」ですね。
4文字目の「所」のツクリと1文字目のツクリは同じに見えます。1文字目は左側が欠けていますが、「*居関所」という繋がりを考えると、1文字目は「新」と思われます。
ということで、8文字は「新居関所**館蔵」となります。以外とスムースでした。(^_^)
ここまで読めたので、ググってみたら、新居関所史料館という施設のあることが分かりました。
「史」と「料」とを確認せねばなりません。
書架にこういう本があります。
これを見てみました。
「史」は数ページにわたります。その一部。
OKですね。
「料」はなぜかこの本に載っていませんでした。不思議です。
ダメかと思いましたが、ツクリの「斗」だけでも有効と思い、「斗」を見てみました。
どうなんでしょう。
図録の蔵書印では「料」とおぼしき文字のツクリの部分はひらがなの「ち」を90度左に倒したような形です。
一方、『金石大字典』のこのページの右下の文字は「さ」を90度右に倒したような形です。
似てはいますけど。同じではありません。
そこに引っ掛かりながらも、印面はやはり「新居関所史料館蔵」で良いのだと思います。
読めてめでたいところですが、そうとばかりも言えません。
最近、大学図書館や公共図書館などで蔵書の盗難が増えているようです。
この図録、新居関所史料館が除籍したのであれば問題ありませんが、盗難品だとしたら返さねばなりません。
そこで、新居関所史料館に問い合わせのメールを送りました。
今日、ご丁寧な返信を頂きました。
それによれば、この史料館はもと浜名郡新居町の行政区だったのが、平成22年に湖西市と合併した関係もあり、重複していた資料を整理して除籍扱いにしたとのことでした。
これで安心してブログに載せることができました。(^_^)
史料館が除籍扱いした書籍や冊子を廃棄せずに、古書店等に売却してくれたことはありがたいことでした。
廃棄されてしまったらそれまでですけど、売却されれば、巡り巡って有効活用される可能性が出てきますものね。
ただ、私の手に落ちてしまうと、ブログのネタにされて、あとは死蔵という運命を辿ることになりそうで、有効活用とはゆかなそうですけど。(^_^;
« ぐんまちゃん・ちょきんぎょグラス | トップページ | フチのりぐんまちゃん »
「文字・言語」カテゴリの記事
- 日本のハロウィンはいつ頃から?(2023.10.20)
- お寺のねこ&英語のお経(2023.09.28)
- けろけろけろっぴの回文かるた(2023.09.26)
- 「英語かるた」(2023.09.19)
- 根来麻子氏『上代日本語の表記とことば』(2023.09.11)
「史料・資料」カテゴリの記事
- 「黒百合城の兄弟」の主題歌(2023.10.26)
- 東横・目蒲電車沿線案内(2023.10.24)
- 日本のハロウィンはいつ頃から?(2023.10.20)
- 楠公像の絵はがき6点(2023.09.25)
- 大正10年の彦根市街図(2023.08.21)
「歴史」カテゴリの記事
- 昭和7年の「日本名将大鑑」(8)(2023.12.05)
- 一昨日の「ブラタモリ」は世田谷(2023.12.04)
- 『ならら』最新号の特集は春日若宮おん祭(2023.11.30)
- 昭和7年の「日本名将大鑑」(7)(2023.11.27)
- 昭和7年の「日本名将大鑑」(6)(2023.11.23)
「新居関所史料館蔵」のつもりなのでせう。「料」は無茶な字體になつてをり、「関」「蔵」は新字體の形にこしらへてしまつた。歴とした篆書があるのに。國語で言へば、「シクラメンのかほり」や「よゐこ」「龍が如く」がまかり通る不思議な時代。かうして文化破壞が着着と進行し、歎かはしいと思ふ人もゐない「文化國家」日本。
投稿: 筒井茂徳 | 2019年12月19日 (木) 00時46分
筒井先生
コメントをありがとうございます。
すぐ手の届くところにあったのが金石大字典で、篆書の字典ではありませんので、ひょっとしたら「料」はああいう字体もあるのかと思いましたが、あの蔵書印の文字はアウトなのですね。(^_^;
油断のならない世の中です。
「関」「蔵」は、確かに新字体を篆書風に作ってしまっていますね。
ありがとうございます。
投稿: 玉村の源さん | 2019年12月19日 (木) 00時58分
さすが源さんですね。
地元豊橋にいても持っていないものを,手に入れてくださるなんて,ありがたいことです。
でも,湖西市の対応には残念だとしか言いようがありません。
いくら新居町と湖西市が合併したからといって,整理していいものと悪いものがあるのでは無いでしょうか。
こういう類いのものは,寄贈でしょうから・・・。
保存の道はあったはず。
それに,湖西市は豊橋市の隣接市町村で,県は違うけれども人的交流が多いのです。
残念。
ごめんなさい。こんな批判的なことを書いてしまって。
源さんには,感謝です。
投稿: 萩さん | 2019年12月19日 (木) 17時36分
萩さん
コメントをありがとうございます。
良いものが手に入りました。
図版は、それぞれの文献ごとに見開き1枚ずつですので、まあ、内容見本のような感じですけど、雰囲気は伝わってきます。
除籍は、本文に書きましたように、重複していたものを整理したとのことですので、各資料につき、状態の良いものを1~2部残して、他を処分ということでしょう。
投稿: 玉村の源さん | 2019年12月19日 (木) 17時50分