明治43年の「女学校すごろく」
このようなものを入手しました。
雑誌『少女世界』明治43年新年号の付録です。
巌谷小波案とあります。
少し前に、明治42年の「名所かるた」を入手しています。こちらは『少女の友』のやはり新年号の付録でした。
なんか共通点のあるものを入手しましたが、偶然です。類が友を呼んだということかもしれません。(^_^)
さてこのすごろく、右下が「ふりだし」の「新入学」で、上部中央が「上リ」の「卒業式」です。
入学から卒業までの様々なイベントなどが素材になっています。
順不同で以下の通りです。
新入学、学友、寄宿舎、当番、同級会、自修、遠足、紀年会、運動会、学芸会、試験前、帰省、雪の日、卒業式
まず、「ふりだし」。
室内の女学生にはなんとなく緊張感が感じられます。立っている二人のうち、前は教員か母親、うしろは女学生のようです。
部屋の入口には「新入生扣處」の掲示が。今だったら「控室」でしょうか。
「扣」の字、恥ずかしながら見たことがありませんでした。画面に出るだろうかと思いましたが、JIS第2水準の字でした。
画面左下に「一 学友」「二 寄宿舎」……などと「六 遠足」まで並んでいます。
私が子供の頃に遊んだすごろくは、サイコロを振って、出た目の数だけ進む方式でしたが、このすごろくには進む順序はなくて、サイコロの目に該当するマス目に進む方式です。
当然ながら「上リ」のマス目には何の指示も書かれていません。
「ふりだし」のマス目には一から六までの指示が書かれていますので、振ったサイコロの目によって、どこかに進めます。
ところが、他のマス目には6つの指示はありません。
例えば「試験前」は次の通りです。
「一」の「雪の日」から「六」の「上リ」まで4つしかありません。
二や四が出た場合はどうするのか? お休みなのでしょうか?
それはさておき、「三」が「ふりだしに帰る」で、「六」が「上リ」というのはシビアですね。
試験の結果次第で天と地の差ということなのでしょうか。(^_^;
「当番」は次のようになっています。
ここにも4つしか項目がなく、その1つに「四 お休み」というのがあります。
お休みの場合はこのように明示されているのだとしたら、該当する数字のない場合は、該当する数字が出るまでサイコロを振るということかもしれません。
この「当番」ですが、これ掃除当番ですね。学校で児童や生徒が掃除をするという仕組みは明治末年の女学校でも行われていたのですね。
運動会や学芸会、遠足も項目になっています。
よく分からないのは、紀年会と同級会です。
紀年会は学校の創立記念日か、あるいは紀元節、天長節などの日に催されたのでしょうか。
同級会は、卒業後の同窓会ではないはずですので、在学中の親睦会のようなものかもしれません。
「遠足」は次のような絵です。
中央の子、コートを着ています。
すごろく全体の中で、唯一の洋装の女学生です。下もスカートのようです。
コートの打合せが男と同じですね。
当時の女性は男性と同じ打合せの服を着ていたのか、あるいは絵が間違っているのか、分かりません。
あれこれ興味深いです。
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