文政5年の『懐宝 和漢年代記大全』(1)
このようなものを入手しました。
字が随分薄くなっていますが、『懐宝 和漢年代記大全』とあります。
綴じてはありません。1枚紙を縦に22面に屏風状に折り、それをさらに横に2つ折りにしています。
広げた大きさは、140cm×31.5cmほどです。
用紙の和紙は厚手です。
裏です。
「文政五壬年再刻」とあります。
「浄書 田中正造」とありますが、著者名はありません。
江戸の書肆の名が5軒挙がっています。
広げるとこのようになります。
字が小さすぎてよく分かりませんね。(^_^;
推古天皇12年(604)から文政10年(1827)までの1224年間の年表です。
横は12段になっています。1段目が子年、2段目が丑年……というように、格段は同じ干支になるように作られています。
冒頭部。
欄外に「隋」「唐」とあります。
1年はさらに2段になっていて、上段(白い部分)は日本、下段(黄色い部分)は中国です。
右上に推古十二があります。左に「日本式目のはじめ」とあるのは十七条憲法を指すものと思われます。
下段の黄色い部分には「隋 文帝 仁寿四」とあります。
なぜ推古12年から始まっているのかについては、この年が甲子でキリが良かったということがあると思います。
もう1つ、歴史年表を見ると、この年は日本で初めて暦が使われた年とあります。
ただ、日本書紀にはその記事はありません。政事要略に「儒伝云、以小治田朝十二年歳次甲子正月戊辰朔、始用暦日」(巻25)とあるのが典拠と思われます。この年がわが国における暦の初めであるなら、この年から年表が始まるのはよく理解できます。
ただ、『和漢年代記大全』の編集者は政事要略を見ていたのでしょうかね。それが疑問です。
和銅3年付近は次の通りです。
和銅3年は右下隅です。「みやこをならにうつす」とあります。
同年下段の中国の部には「睿宗 景雲」とあり、「中宗 皇后韋氏にころさる」とあります。
こんな感じで、毎年、日本と中国の年号と、その年の主な出来事が記されています。
南北朝時代には両朝の年号が併記されています。
両面印刷で、裏面は次のようになっています。
これまた細かいです。こちらについては後日(たぶん明日)改めて。
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