高崎商科大学でセミナー
今日は高崎商科大学で、新元号「令和」記念特別セミナー「万葉東歌を巡る石碑の路」に参加してきました。
同大学の地域連携センター主催です。
高崎商科大学はこのような場所にあります。
上野三碑と同じ上信電鉄の沿線ですし、三碑のうち山上碑、金井沢碑はほど遠からぬ所にあります。地図上、赤い点線で示したのが「石碑の路」で、この路沿いに30数基の万葉歌碑が建っています。高崎商科大学の地域連携センターでは、これらの歌碑の紹介に力を入れています。
このようなパンフレットも作っています。
「令和」記念というのはやや便乗気味ではありますけれども、「令和」で万葉集ブームが起きているので、このタイミングで多くの人に石碑の路を知ってもらおうという趣旨で今日のセミナーになったものと思います。
内容は以下の通りです。
字が小さくて済みません。
私のお役目は、石碑の路の万葉歌碑のうち、東歌・防人歌の解説です。レジュメはこちら。
対象となる歌は21首あるのですが、持ち時間40分では足りないので、そのうちの10首ほどを解説しました。そのうち特に、地元と関係があるかもしれない「佐野山に打つや斧(をの)音(と)の遠かども寝(ね)もとか子ろが面(おも)に見えつる」(三四七三)について時間を使いました。
この歌は未勘国歌です。上野国の歌ではないかもしれません。
もしも上野国の歌とすれば、佐野山というのは下の地図の右上にある「佐野」にある山の可能性が高いでしょう。佐野の舟橋や、謡曲鉢の木の佐野です。
現在、上佐野町・下佐野町・佐野窪町という地名が残っています。ところが、地図の色分けから分かるように、この地には「山」と呼べるような高地はありません。佐野の範囲が川を越えてもっと南西にまで及んでいたとすれば、そこには山名丘陵があります。
そして、金井沢碑には「上野国群馬郡下賛郷高田里」の文字があります。「下賛」は「しもさの」と読めます。「下佐野」と書かずに「下賛」と書いたのは地名二字の制約によるものでしょう。
とすると、金井沢碑のある場所は群馬郡の下佐野郷と考えて良いのか。ただ、そうなるとまた別の問題が生じてしまいます。
それは、多胡郡は、甘楽郡、緑野郡、片岡郡からそれぞれ郷を抽出して成立した郡ですけれども、甘楽郡から削った郷(上の地図で赤字で示した郷)と緑野郡から削った郷(緑字で示した郷)は問題ないとしても、片岡郡から削った郷が一体どこなのかが全く分からなくなってしまうという点です。
すなわち、佐野のことを考えなければ、片岡郡から削ったのは山上碑や金井沢碑を含む地域と考えられますが、そうなると、金井沢碑に群馬郡とあることが不審です。この問題、まだ結論が出ません。さらに考えてみます。
そういう結論に至らない話をしてしまいました。(^_^;
今日は120名ほどの参加者があったとのことです。地元の方も多かったと思いますので、関心を持って聴いて貰えたのではないかと思います。
午前10時から12時半までの会でした。お客さんの中に知った顔がちらほら。群馬県立女子大学の公開講座や群馬学連続シンポジウムの常連の方々です。ほんと熱心です。
今日は13時から群馬県立女子大学で群馬学連続シンポジウムがあります。掛け持ちでそちらに移動された方もいらしたと思います。クルマならば、ギリギリ間に合うか、やや遅刻くらいで行けそうです。
電車で高崎駅経由だと、とても間に合いません。私は高崎駅に着いたのが13時前で、新町方面に行く次の電車が13時14分発でした。新町駅から自転車で玉村町文化センターに行くと、着くのは14時近くになってしまいますので、行くのをやめました。群馬学は16時までですから、14時頃に着けば2/3は聴けるんですけどね。ちょっと疲れてしまったので。(^_^;
« 血管年齢が……(2) | トップページ | つつじが満開(でした) »
「古代群馬」カテゴリの記事
- 『古墳人、現る』(2022.12.29)
- 上野三碑「世界の記憶」登録から5年(2022.11.15)
- 「歴史を旅する物語」(新潟・群馬・埼玉)(2022.04.24)
- 「東国文化」のクリアファイル(2021.05.12)
- 「上野三碑かるた」アプリ(2021.03.10)
「公開講座等」カテゴリの記事
- 宇都宮でしもつかれ博(2023.01.29)
- 雪の中、前橋で講演(2022.02.18)
- 「他者と語り合う-在住外国人の日本語から考える-」(2021.11.17)
- 新町で連続講座(2020年 第5回)(2020.10.28)
- 新町で連続講座(2020年 第4回)(2020.10.15)
「万葉集」カテゴリの記事
- 温古堂本元暦校本万葉集(2023.01.19)
- 「倭歌」をめぐって(2022.11.02)
- 「倭歌」木簡の記事(まとめ)(2022.11.01)
- 『国語と国文学』最新号は上代特集(2022.10.25)
- 澤瀉先生ご逝去の折(2022.10.24)
コメント