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2019年5月21日 (火)

代表的な万葉歌(2)

 かねて「代表的な万葉歌」のリストを作成しています。
 これは、『万葉秀歌』(斎藤茂吉)、『万葉百歌』(山本健吉・池田弥三郎)、『私の万葉集』(大岡信)、『日めくり万葉集』(NHK)などが選んでいる歌を集計したものです。新しいデータを加える度に順位が変動します。
 昨年の2月に美夫君志会の『萬葉百首』というかるたを加えたときもだいぶ順位の変動がありました。その結果はブログにも「代表的な万葉歌」のタイトルで載せました。

 先日、4日間にわたって、戦前の旧制中学校、高等女学校、戦後の高等学校の国語教科書に掲載された万葉歌をご紹介しました。今回、そのデータを加えてみました。ベスト30をご披露します。

 01.田子の浦ゆうち出でて見れば真白にぞ富士の高嶺に雪は降りける(3・318)山部赤人
 02.天地の 分れし時ゆ 神さびて 高く貴き 駿河なる 布士の高嶺を 天の原 振り放け見れば 渡る日の 影も隠らひ 照る月の 光も見えず 白雲も い行きはばかり 時じくそ 雪は降りける 語り継ぎ 言ひ継ぎ行かむ 不尽の高嶺は(3・317)山部赤人
 03.銀も金も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも(5・803)山上憶良
 04.瓜食めば 子ども思ほゆ 栗食めば まして偲はゆ いづくより 来りしものそ まなかひに もとなかかりて 安寐し寝なさぬ(5・802)山上憶良
 05.東の野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ(1・48)柿本人麻呂
 06.我が宿のいささ群竹吹く風の音のかそけきこの夕かも(19・4291)大伴家持
 07.うらうらに照れる春日にひばり上がり心悲しも独し思へば(19・4292)大伴家持
 08.近江の海夕波千鳥汝が鳴けば心もしのにいにしへ思ほゆ(3・266)柿本人麻呂
 09.あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る(1・20)額田王
 10.石走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも(8・1418)志貴皇子
 11.若の浦に潮満ち来れば潟をなみ葦辺をさして鶴鳴き渡る(6・919)山部赤人
 12.憶良らは今は罷らむ子泣くらむそれその母も我を待つらむぞ(3・337)山上憶良
 13.多摩川に曝す手作さらさらに何そこの児のここだ愛しき(14・3373)東歌(武蔵)
 14.ぬばたまの夜の更けゆけば久木生ふる清き川原に千鳥しば鳴く(6・925)山部赤人
 15.熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな(1・8)額田王
 16.楽浪の志賀の辛崎幸くあれど大宮人の舟待ちかねつ(1・30)柿本人麻呂
 17.紫草のにほへる妹を憎くあらば人妻ゆゑにわれ恋ひめやも(1・21)天武天皇
 18.春の野に霞たなびきうら悲しこの夕影に鴬鳴くも(19・4292)大伴家持
 19.み吉野の象山の際の木末にはここだも騒く鳥の声かも(6・924)山部赤人
 20.玉たすき 畝傍の山の 橿原の ひじりの御代ゆ 生れましし 神のことごと 栂の木の いや継ぎ継ぎに 天の下 知らしめししを そらにみつ 大和を置きて あをによし 奈良山を越え いかさまに 思ほしめせか 天離る 鄙にはあれど 石走る 近江の国の 楽浪の 大津の宮に 天の下 知らしめしけむ 天皇の 神の命の 大宮は ここと聞けども 大殿は ここと言へども 春草の 茂く生ひたる 霞立つ 春日の霧れる ももしきの 大宮ところ 見れば悲しも (1・29)柿本人麻呂
 21.笹の葉はみ山もさやにさやげども我れは妹思ふ別れ来ぬれば(2・133)柿本人麻呂
 22.春の園紅にほふ桃の花下照る道に出で立つ娘子(19・4139)大伴家持
 23.あをによし奈良の都は咲く花のにほふがごとく今盛りなり(3・328)小野老
 24.わたつみの豊旗雲に入り日差し今夜の月夜清く照りこそ(1・15)天智天皇
 25.家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る(2・142)有間皇子
 26.春の野にすみれ採みにと来しわれそ野をなつかしみ一夜寝にける(8・1424)山部赤人
 27.士やも空しくあるべき万代に語り継ぐべき名は立てずして(6・978)山上憶良
 28.我が背子を大和へ遣るとさ夜更けて暁露に我れ立ち濡れし(2・105)大伯皇女
 29.吉野なる菜摘の川の川淀に鴨ぞ鳴くなる山蔭にして(3・375)湯原王
 30.楽浪の志賀の大わだ淀むとも昔の人にまたも逢はめやも(1・31)柿本人麻呂

 いかがでしょうか。戦前戦後の国語教科書の影響が結構強く出ているように思いますが、かなり妥当なところではないでしょうか。

 この30首を作者別に集計すると次のようになります。

 山部赤人、柿本人麻呂:6
 山上憶良、大伴家持:4
 額田王:2
 志貴皇子、東歌(武蔵)、天武天皇、小野老、天智天皇、有間皇子、大伯皇女、湯原王:1

 赤人が人麻呂と並んで1位というのは意外でした。授業や講座などで、歌人別に万葉集をよむことがありましたが、赤人を特に取り上げたことはなかったと思います。認識不足でした。「山柿の門」の「山」は赤人で良いのかも。(^_^;

 思えば、学校で最初に習った古文の教科書の巻頭に載っていたのが、赤人の富士山の歌でした。半世紀以上も昔。(^_^;
Fuji20170129a
 その教科書で次のページに載っていたのは、十訓抄の小式部内侍の話(大江山の歌)だったような記憶があります。

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