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2019年2月11日 (月)

明治13年の『万国史略字引』

 こういうものを入手しました。
M13bankokushiryaku01
 明治13年の刊行です。
M13bankokushiryaku02
 書名は、以前当ブログでも同種の例を取り上げましたように、『万国史略』という別の本があって、その「字引」ということになりましょう。「字引」は、その書籍の中に出てくる語の読みや簡単な意味を記したもの、といった意味です。

 『万国史略』というのは世界史の教科書でしょうね。

 巻頭部はこうなっています。
M13bankokushiryaku03
 表紙題簽に「両点」とありますが、これは、語の右にふりがな形式でその語の音が示されているのと、語の下に訓または意味が示されているのと、その両方を指して「両点」と言っているものと思われます。

 このページの最後の行にある「交通」などは、読みは簡単でしょうから、下にある「ヨシミヲムスブコト」という注記が眼目なのでしょう。

 「漢土」の部は詳細で、唐とか元とか、そういった王朝ごとに項目が立っています。
M13bankokushiryaku04
 上のページには、劉備や諸葛孔明の名が見えます。後ろから3行目にある「私」の「ハタクシ」という表記に興味を惹かれました。「ワタクシ」を「ハタクシ」と書いています。語中語尾ならともかく、語頭における「ワ」を「ハ」と書いていますね。仮名遣の混乱ということでしょうか。

 国別の分量の内訳は以下の通りです。数字はページ数です。

 漢土:28
 印度:1.5
 波斯(ペルシャ):1.4
 亜細亜土児其(アジアトルコ):3.9
 希臘(ギリシヤ):2.3
 羅馬(ラウマ):7.3
 人民ノ移転:1.5
 仏蘭西(フランス):7.9
 英吉利(イキリス):2.3
 独逸(ドイツ):3
 瑞西(ズーイス):1.4
 和蘭(ヲルランド):1.4
 嗹馬(テンマルク):2
 西班牙(スベイン):3.3
 以太利(イタリア):3.5
 土児其(トルコ):0.6
 露西亜(ロシヤ):1.4
 亜米利加洲:1
 合衆国:2.1

 漢土が群を抜いて多く、28ページあります。第2位の仏蘭西(フランス)7.9ページの3.5倍以上です。次いで羅馬(ラウマ)の7.3ページ、亜細亜土児其(アジアトルコ)の3.9ページ、以太利(イタリア)の3.5ページ、西班牙(スベイン)の3.3ページとなります。

 漢土が多いのは、歴史が長かったり、わが国に及ぼした影響が大きかったり、という理由もあるでしょうが、ふりがなを振るべき人名が多いということもありそうです。欧米の場合、国名は漢字表記ですが、人名は出てきません。『万国史略』で、欧米の人名はカタカナで表記されているのかもしれません。このあたり、国会図書館のデジタルライブラリなどで、『万国史略』を見てみれば良いのでしょうけど。(^_^;

 フランスの項はこのようになっています。
M13bankokushiryaku05
 語に関しては、最後の行の「豪猛」に付いている「タケシキ」という訓に興味をおぼえました。今なら「タケキ」となるところでしょう。

 内容的には、5行目からの「一女子」「民間」「義兵」「勝利」「焚殺」という箇所、ジャンヌダルクでしょうね。

 あれこれ興味深いです。

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