高崎商大駅前の万葉歌碑
上信電鉄の高崎商科大学前駅のすぐ側に万葉歌碑が2基あります。
この歌碑は、「石碑(いしぶみ)の路」の歌碑群と一体のものです。「石碑の路」というのは、山名八幡宮の脇から山上碑を経て金井沢碑に至る道で、この道の傍らに万葉歌を刻んだ歌碑が二十数基も建てられています。これらの石碑を建てたのは、会社社長の信澤克己氏で、1970年代以降、私財を投じてこれらの石碑を建立していったそうです。
ところが、歌碑は完成しながら、信澤氏が亡くなったことで、設置されないままに放置されていたものが数基残っていたということで、それらについては、近年、地元の高崎商科大学が順次設置して行きました。駅前の2基もそうです。
先週の木曜日に高崎商科大学に行く用事がありましたので、その折に見て来ました。
1基目。
巻4の710番歌「み空行く月の光にただ一目あひ見し人の夢にし見ゆる」が刻まれています。
碑文の拡大。
「三空由九 月之比可里二 直一目 安比三四人之 由面二四三遊流」とあります。
原文は「三空去 月之光二 直一目 相三師人之 夢西所見」ですので、若干変えてあります。書家の考えがあってのことでしょうが、個人的には、原文のままか、訓読文にした方が良いのではないかと思います。
もう1基。
巻1の39番歌「山川も依りて仕ふる神ながらたぎつ河内に舟出せすかも」だそうですが、こちらは拡大しても碑文がよく読めません。
2基とも、揮毫者は、高崎市出身の書家大澤雅休氏です。石碑の路の歌碑の中には大澤氏の揮毫したものが他に数点あります。ただ、大澤氏は昭和28年に亡くなっていますので、歌碑の年代とは合いません。これらの歌碑のために揮毫したものではなく、大澤氏の遺作を歌碑に刻んだものということになります。
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・・・・若干変えてあります。
変えた意図がよくわかりませんね。
あえて変えた以上は何か考えがあったのでしょうが・・・
三空去 月之光二 直一目 相三師人之 夢西所見
一、二、三と数字が入っていますから、それに興味が引かれて数字を多く入れようとしたんでしょうかね・・・
投稿: 三友亭主人 | 2019年2月11日 (月) 07時40分
三友亭主人さん
コメントをありがとうございます。
なるほど。原文では漢数字は4字ですが、歌碑では9字ありますね。漢数字を増やそうという意図は明らかにありましたでしょうね。万葉集でも漢数字を入れられるだけ入れた文字遊びのような歌がありますけど、それと通い合う感じですね。
あとは、読みにくい正訓字を万葉仮名に置き換える傾向も覗えますかね。
投稿: 玉村の源さん | 2019年2月11日 (月) 14時34分