明治41年の『惣菜料理』
このような本を入手しました。
明治41年初版で、これは大正4年の第9版です。
書名の角書きにありますように、「家庭百科全書」という全50冊の叢書の10冊目に当たります。
共著者の3人はいずれも赤堀姓ですね。親族なのでしょうね。ググってみたら、赤堀吉松は現在の赤堀料理学園の前身である赤堀割烹教場の創立者で、赤堀峰吉は明治34年に開校した日本女子大学校の創立時のメンバーであり、割烹着の創案者でもあるようです。
版元は博文館です。
目次の冒頭。
基礎から説かれていますね。
このページの左端に「芋類の調理法」とあります。次のページは以下の通りです。
という次第で、以前、当ブログでご紹介した大正時代の料理本とは異なり、料理別の構成ではなく、素材別の構成になっています。
集計してみると、以下のようになりました。
植物系(芋、野菜、豆、海苔、きのこ、果物等)……111ページ強
魚類(イワシ、アジ、サバ、タイなど21種)……78ページ強
エビ・カニ・イカ・タコ・貝類……36ページ半
肉類(鶏肉、鶏卵、鯨肉、牛肉)……21ページ強
植物が中心です。魚介類も多いですが、肉類はあまり多くありません。明治の終わり頃はまだこのような状況だったのでしょうかね。
文字表記としては、上の目次の左側に見えるように、だいこんを「蘿葡」と書いています。画像は省略しますが、次のページには「胡蘿葡」が項目に立っていて、これには「にんじん」のルビがあります。文中には「やはり」を「且尚」、「どうしても」を「甚麽しても」と表記するなど、今は全く見ない表記もありますが、多くはありません。
裏表紙の裏にこのようなシールが貼ってありました。
東京堂とあるのは神田神保町の東京堂でしょうかね? これまたググってみたら、東京堂書店は博文館の小売り書店として開業したとのことです。この本の版元が博文館であるということと関係するのかもしれません。
シールの中央に.360という赤字の数字があります。この本の定価は奥付によれば45銭です。45×0.8=36となります。定価の2割引きの値付けかもしれません。
あれこれ興味深いです。(^_^)
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