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2018年8月27日 (月)

久米寺前の道しるべ

 奈良女子大の研究集会、無事に終わりました。万葉仮名とは何か、万葉仮名とひらがなとの関係、万葉仮名のみで表記された散文の位置づけ、等々、本質的な内容が取り上げられ、興味深かったですけれど、なかなか難題でした。よくよく考えてみます。

 飛鳥・奈良で見て来たことを報告します。何ヶ所か行きましたが、今回はすべて過去のまほろば記事のフォローです。まほろばファーストです。(^_^)

 まずは、久米寺前の道しるべについて。

 これを最初に書いたのは一昨年の10月でした。「久米寺をゆく」という記事で、その数日後に「道標の左右表記のナゾ」という題でまた書きました。

 ポイントは、この道しるべは向かって左側に「右~」、右側に「左~」と彫ってあるので、何故逆に彫ってあるのだろうという素朴な疑問を抱いたことでした。

 源さんの後輩さん、朝倉山のオニさん、Kさんからご意見のコメントを頂きました。ありがたいことでした。

 前回この道しるべを見たときは、肝腎な設置場所と向きとをしっかり把握していませんでした。そういう根本的なことがあやふやでは話になりません。そこで今回、じっくり見てくることにした次第です。

 位置と向きはこんな具合です。
Kumedohyo01
 久米寺の一番南にある仁王門の斜め前です。

 地図を示せば次のようになります。
Kumedohyo02
 T字路ですね。久米寺前の道を挟んだ南にある神社は久米御県神社です。南側からこの神社を右手に見つつ北上してきた人は、この道しるべの「右 おかてら たち花」の文字が目に入ります。その案内通りに右折すれば岡寺・橘寺方面に行けます(右折したあと南下する必要がありますけど)。西から来た人にも「右~」の面が目に入りますので、そこで右折すれば、やはり岡寺・橘寺方面に行けます。問題は東から来た人です。東から来た人には「左 しん武 橿はら」の文字が目に入りますので、それに導かれて左折してしまうと、全く逆方向に行ってしまうことになります。神武天皇陵や橿原神宮は久米寺の北にありますので、本当に全くの逆です。

 広域地図を示します。
Kumedohyo03
 前回はこの道しるべの裏側は全く見なかったのですが、見てみますと、「右~」の裏には下の方に「久米寺」とあります。「左~」の裏には「大正六歳」の文字が。2面とももっと文字があるのですが、陰になってしまっていてよく読めません。

 前回は大きさも測りませんでしたが、今回は計ってみました。といっても、定規は持ってきていませんでしたので、地図などを入れていたA4サイズのクリアファイルを定規代わりにしました。まことにうまい具合に、「右~」の面はクリアファイルの長辺とほぼ同じ、「左~」の面は短辺とほぼ同じでした。ということで、「右~」の面の幅は30cmほど、「左~」の面の幅は21cmほどです。「右~」がメイン、「左~」はサブということになりましょうか。

 調査はここまでにして、次の目的地である甘樫丘に向かいました。甘樫丘の東にこんな道しるべがありました。
Kumedohyo04
 これは素直に、右側に「右たちはな寺」、左側に「左おかてら」とあります。これなら分かり易いですね。

 甘樫丘の話は、明日また改めて。

 あ、移動はレンタサイクルを使いました。自転車を返して帰ろうとしたら、レンタサイクル店のご主人から、「ま、ちょっと休んでおゆき」と言われました。急ぎ旅でもないので、休ませて貰っているときに、いろいろな話をしました。久米寺前の道しるべの話もしたら、そのご主人、そういうものがお好きらしく、碑文の文字起こしをして、コレクションしているのでした。それを見せてくれました。その中に次のようなものがありました。
Kumedohyo05
 設置場所の略図も書いてありますので、上の広域地図にその位置も示しておきました。

 これは三叉路に建っています。そしてやはり左右が逆。ただし、これは全く問題ありません。南東から来た人には「左じんむてんのう くめでら道」の文字が目に入りますので、その通りに左に行けば神武天皇陵や久米寺に行けます。西から来た人には「右たちばなでら おかでら道」の文字が目に入りますので、その通りに右に行けば橘寺や岡寺に行けます。

 設置場所ですね。同じような仕組みの道しるべが五条野の三叉路に建っていれば何の問題もないのに、久米寺前の位置だとおかしなことになる。

 久米寺前の道しるべは本来あった場所から移されたのでしょうかね。でも、背面には「久米寺」の文字が彫ってありますので、久米寺周辺にあったことは間違いないと思います。

 なお、このレンタサイクル店のご主人のコレクションには久米寺前の道しるべもありました。それも撮らせて貰ったのですが、そちらは翻字にやや疑問がありましたので、ここで示すことは控えます。ただ、施主は、五条野の道しるべと同じく井上とみさんでした。設置場所のことをうっかりして、五条野の道しるべと同じように作ってしまったのでしょうかね。

 レンタサイクル店のご主人の「ま、ちょっと休んでおゆき」の一言のお蔭で、大きな収穫がありました。人との出会いは大切。

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コメント

>人との出会いは大切。

やはり現地に足を運ぶということは大切なんですね。

以前読んだ上の先生の御本に遠方から大和にやってきた方が香具山を見て、「春過ぎて 夏来る・・・」の歌とのギャップに驚かれたという話が書いてありましたが、そうやって実物を体感することによって、新たな視点が生まれてくるものだと思います。

・・・だって、あんな平べったい小山をなぜ万葉人があんなにもありがたがったのか・・・興味ありますもんね。

三友亭主人さん

 本当に、現地に足を運ぶことは大切ですね。

 ま、今回のレンタサイクル展のご主人との出会いは想定外でしたけど。

 飛鳥に行くときはいつもこのお店で自転車を借りています。1年に1度あるかないかなので、向こうは私のことを憶えていなかったと思いますが、「糖分補給」と言って、いつもアメちゃんを呉れます。

 そのご主人が石碑マニアだったとは。(^_^)

 万葉人が香具山を特別視したの、本当に不思議ですね。三輪山や耳成山はきれいな形をしているので、分かる気がしますけど。

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