オ列長音について(辞書の見出し)
昨日のブログでご紹介した「映画かるた」の仮名遣いについて、昨日今日、お二方から御教示頂きました。
お一方は友人の木下信一氏からで、「映画かるた」と同様の仮名遣いは、金田一京助氏編(実態は見坊豪紀氏編だそうですが)の『明解国語辞典』でなされているとのことでした。この辞書の初版発行は昭和18年ですが、現代仮名遣いが制定されたあとに発行された改訂版でも同様だそうです。
そして、今日、蜂矢真郷先生からは、時枝誠記氏編の『例解国語辞典』も同様であるとの御教示を頂きました。
ブログをご覧いただいている上に、御教示まで頂いて、大変にありがたいことです。
下は、たぶんその辞書のものと推定される画像です。
昭和21年に答申された現代仮名遣いは、歴史的仮名遣いを原則として発音通りにすべく決められたものですが、例外も多いですね。
昨日の点に関しては、歴史的仮名遣いの「あう」「かう」「さう」「たう」「なう」「はう」「まう」「やう」「らう」を「おう」「こう」「そう」「とう」「のう」「ほう」「もう」「よう」「ろう」と表記するという方式ですが、「映画かるた」は、これらを「おお」「こお」「そお」「とお」「のお」「ほお」「もお」「よお」「ろお」と表記しているのでした。
確かにこちらの方が、より発音に近いでしょう。ただ、さらに言えば、「おー」「こー」「そー」……のように、長音記号を使う方が、より発音に近いと言えそうです。
「水戸黄門」は「みとこおもん」ではなく「みとこーもん」になりましょう。でも、長音記号を使うと軽い印象になりますよね。固有名詞で「おーともりゅーたろー」と書かれたら、本人はイヤでしょうね。(^_^;
また、長音記号は、記号であって仮名ではないので、長音記号を使ってしまっては仮名遣いとは言えないかもしれません。
たまたま気づいた「映画かるた」の仮名遣いでしたが、なんか深みにはまりそうになっています。(^_^;
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「映画かるた」ねえ・・・
源さんの収集癖・・・いや、失礼、収集のご趣味のたまものでしたねえ。本当に、どこに興味の対象が潜んでいるかわかりませんね。
投稿: 三友亭主人 | 2018年4月22日 (日) 08時32分
三友亭主人さん
いえいえ、「収集癖」でいいですよ。その方が実態と合っている気がします。(^_^)
たまたま気づいた(というか、気になった)「みとこおもん」等のルビでしたが、思わぬ展開を見せています。やはり同時代資料は貴重だと思います。←こればっかりですけど。(^_^)
投稿: 玉村の源さん | 2018年4月22日 (日) 15時26分