おうふうの『萬葉集』が……
昭和60年に就職して以来、授業で使う万葉集のテキストにはずっとおうふうの『萬葉集』(鶴久・森山隆)を使ってきました。もう30年以上です。
来年度も非常勤が続きますので、いつものようにこれをテキストに指定していたところ、昨日、教務の担当者からメールが来て、この本は「品切れ・重版未定」のため用意することができないので、どうしましょう、とのことでした。
早速、おうふうのHPを見てみたら、確かにそうなっていました。
ううむ。4月は、1年中でこの本が一番売れる時期でしょう。それが品切れということは、おうふうはもうこの本を増刷しないつもりなのでしょうかね?
新学期に備えて増刷中ならば、「品切れ・○月○日重版予定」などとなっていそうです。
確かに、この本、刷を重ねて、大分版面が劣化していたのが気になっていました。消えてしまっている文字すらあります。
例を示そうと思いましたが、いざ探してみると簡単には見つかりません。(^_^;
劣化の例としては例えば次のような感じです。
1460の題詞の「宿」、1461の4句目の「君」、5句目の「和」などが少し欠けています。他にもふりがなにちょっと厳しいのがいくつかあります。これは平成24年の版です。
昔の版ではこんなことはなかったはずです。手もとにあった平成7年の版では次の通りです。
ね、以前はこんなに鮮明だったのに……、というつもりでスキャンしたら、上に示した文字はもうすでに劣化の兆しが見えますね。(^_^; どうもあまり良くない版面での印刷をずっと続けていたようです。(^_^;
活字ではなく、写真製版でしょうから、写真製版した時点からあまり変わっていないのかもしれません。
比べるなら、活字の頃のとでなくては意味がなかったかもしれません。
そんなわけで、もしもこの本を自炊するなら、なるべく古い刷を使うのが良いと思います。
さて、テキスト。
おうふうの『萬葉集』が入手できないとすると、別のを考えなくてはなりません。至急にということでしたので、あまり考えずに塙版を選びました。後から考えると、井手先生・毛利先生の万葉集(和泉書院)という選択肢もありましたね。
おうふう版の復活がないとすると(復活があったとしても)、再来年度のテキストには何が良いか考えねばなりません。←再来年度も非常勤が続くことになるかどうかは分かりませんが。(^_^;
来年度の新2年生が私の万葉集の授業を取るのは初めてなので、その学生さん達は全員塙版を買うことになります。しかし、3年生以上は、すでにおうふう版を持っている可能性が高いです。その学生さん達に塙版を買わせるわけにはゆきませんので、おうふう版で良いことにします。同じ教室に、異なったテキストを持った学生が混在することになります。
ちょっと厄介。
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「品切れ・重版未定」・・・ですと・・・
もう増刷しないってことなんでしょうかねえ、それとも・・・?
私は学生時代に3種類のテキストを使っていました。1年の時、購読の授業では新校が指定のものでした。講座の担当は当時奈良大学におられたH田先生。H田兄弟の弟先生でした。ただ・・・輪講会で先輩が使っていたのは桜楓社(おうふう)のもの。なぜかそれがほしくなりまして、H田先生の講義の時間以外は桜楓社のものを使っていました。2年になって師匠になったM田先生が塙本を使っているのを見て早速塙本を購入・・・しばらくは桜楓社と塙本の併用の時期がありましたが、結局塙本が今は一番傷んで、背表紙を何とか補修して使っています。
>異なったテキストを持った学生が混在すること
上記のような私の経験から言えば・・・その都度主要なテキストの訓の違いがその場ではっきりして、それはそれでよかったような気がします。先生方もその状況を把握して逆にその状況を活用していたように記憶します。
投稿: 三友亭主人 | 2018年3月24日 (土) 22時42分
三友亭主人さん
版が痛んできたので改版するという可能性はありましょうね。その予定だったのに新学期に間に合わなかったのだとか。
何とも不明です。
同じ教室にいる学生が異なったテキストを持っている場合、演習などでは確かにむしろプラス面がありそうですね。
大人数の講義講読の場合は、事前にこちらで双方の訓を確認しておかないとまずいかもしれません。
投稿: 玉村の源さん | 2018年3月25日 (日) 04時36分